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人民元相場の弾力性強化について

  • 投稿日:2010年6月23日

19日に発表された中国の人民元為替制度改革を受けて、21日の中国元為替相場は対米ドルで1日の変動幅の制限に近い前日比0.4%元高となりました。また、1年物の人民元先物※は前日比約1%の元高となり、今後1年でおよそ2.3%程度の上昇を織り込みました。 ※NDF:ノン・デリバラブル・フォワード

中国人民銀行は、6月19日、「最近の国内外の経済状況および金融市場の動向、中国の国際収支の状況を踏まえ、人民元の為替制度の改革をさらに進め、人民元相場の弾力性を強化することを決定した」と発表しました。これにより、約2年に及んだ米ドルとのペッグ制を終了させることを示唆しました。20日には、今後は米ドルだけでなく複数の通貨の動向を反映した、「通貨バスケット」を人民元相場に反映させる考え方を示し、「1度に大幅な切り上げはしない」ことを強調しました。また、大規模な資本流入が中国国内の金融システムに与える影響を最小化する必要性を示し、人民元の対ドル相場の1日当たりの現行変動幅(上下0.5%)を維持したことで、人民元上昇は緩やかなものに留まる可能性が高いと考えられています。

26日から開催されるG20首脳会議に先がけ中国人民銀行が本表明を行ったことで、同会議において人民元が過小評価されているとの批判をある程度かわすことが可能となったと見られます。しかし、声明は踏み込んだ内容となっておらず、具体的な水準や、通貨バスケットの構成、工程等が明示されていないことから、今後、中国当局がどのような行動を取るのかは依然不透明です。今回の声明を受け、短期的には、米議会が為替操作国と認定する可能性が低下したことからリスク資産にとって好材料であると見られる一方で、今後の中国当局による行動次第では、米議会の満足が得られず、大幅な人民元切り上げ論が再燃する可能性もあります。

市場では、人民元が今後3%から大きければ5%程度上昇していくとみられておりますが、私も人民元は緩やかに上昇していくと見ているものの、そのペースや上昇幅については、通貨バスケットの構成だけでなく、政治的思惑により大きく左右されると見ており、引き続き状況を注視していきたいと思います。

従来の為替管理制度の枠組みに変更は無いこと等から、人民元の上昇は当面小幅にとどまると思いますが、今回の声明の意図は、米国を中心とした人民元切り上げ要請を牽制しながらも、世界経済が安定化に向う中で今後の緩やかな切り上げ容認の意図を、国際社会および金融市場に対して示したものではないかと考えられます。人民元の上昇は、台湾や韓国等、周辺のアジア諸国にとっては短期的には対米ドルでの為替上昇圧力に結びつく可能性があるものの、中国向け輸出の拡大を通じて中長期的にはプラスの効果が期待されます。


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