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海外マクロ・コメント

  • 投稿日:2009年12月4日

11月米ISM非製造業指数は3ヵ月振りの50割れ

 

11月米ISM非製造業指数は前月比-1.9pt48.73ヵ月振りに拡大・縮小の分岐点である50を割り込んだ。内訳をみると、新規受注指数は前月比-0.5pt55.1と高水準を維持したが、事業活動指数(従来のヘッドライン)が10月の55.2から49.6へと落ち込んだことが大きかった。ISMのプレスリリースによると、「回答者のコメントは事業環境について慎重なままであり、景気回復の期間の長さへの懸念を反映したものとなっている」という。雇用統計の手掛かりとして注目される雇用指数は前月比+0.5pt41.6と小幅に上昇したものの、9月の44.3を下回っている。これは民間非製造業部門の雇用者数の減少ペースの縮小基調が一巡することを示唆する可能性があり、要注意である。

 

ISMによれば、11月に「拡大」を報告した業種数は全18業種のうち6業種と10月の9業種から減少した。個別項目の詳細を10月と11月で比較すると、拡大から縮小に転じたのは「公益」、「卸売」、「不動産・賃貸・リース」、「専門・科学・技術サービス」、「管理・サポートサービス」、「教育サービス」と幅広い業種にわたっている(その一方で、「情報」、「金融・保険」、「その他サービス」は縮小から拡大に転じた)。これは2日発表のベージュ・ブックでサービス産業について「総じてある程度の強まり」と表現されていたことと食い違っている。サービス産業の現状を確認する上でも、本日の雇用統計は特に注目されよう。

 

ECBは資金供給の「出口」を探るが、実際の利上げはまだ先となる見通し

 

3日のECB理事会では、(1)1216日に実施される最後の12ヵ月物LTRO(長期リファイナンス・オペ)の応札金利は期間中の政策金利の平均となること(いわゆる「インデクセーション」)、(2)来年3月末に最後の6ヵ月物LTROを実施すること、(3)来年1-3月期には定例の3ヵ月物LTROのみを実施すること、(4)来年413日に終わる積み期間までの週次の主要リファイナンス・オペでは応札額の全額が供給されること、が決定された。これは金融危機の際に導入した資金供給策を「段階的に」解除することを目指すものと言えよう。ECBはプレスリリースで「20101-3月期の先を見据えると、理事会は2010年後半に満期を迎える12ヵ月物リファイナンス・オペの流動性への影響を円滑化することを考慮するだろう」と記している。今年6月の12ヵ月物LTROで巨額の資金供給が行われた後にEONIA(翌日物金利)が政策金利の1%を大きく下回る0.35%近辺で推移している現状からみて,来年4月以降にはECBが積極的な資金吸収を行って流動性の円滑化を図り始める可能性もあろう。ただし、トリシェ総裁は記者会見で「現時点では金利について何もシグナルを出さないことが非常に重要だとみなしている。・・・金融政策の引き締め(hardening)については一切、何もシグナルを出していない」と述べており、近い将来に政策金利の引き上げという意味での利上げが開始されることは考え難い.

 

今後のECBの金融政策を考える上で、まず重要なのはFRBが利上げに転換するタイミングであろう。過去においてはドイツ連銀またはECBの利上げはFRBに遅れて実施される傾向が顕著だった。特に現在では、トリシェ総裁は「米国当局のドル高に向けた姿勢を信頼している」と繰り返し表明し、ECBはユーロ高・ドル安が進行することに歯止めを掛けようとしている。金融市場が依然として脆弱なことも考慮すると、ECBが利上げを真剣に検討するのはFRBの利上げが市場で十分に消化された後になる公算が大きい。さらに、米国の政策金利が欧州を下回る状況でドイツ連銀/ECBが利上げを実施したことがないことを考慮すると、ECBの利上げはFFレート誘導目標が現行の00.25%から1.0%まで引き上げられた後ということになろう。

さらに、今回発表された最新のECBの経済予測に基づいても、近い将来の利上げは想定されない。過去を振り返ると、ECBは自身の「翌年のインフレ率予想の中央値」が+2%以上となっている局面でしか利上げを行っていない.これは、ECBの「+2%近辺だが+2%未満」のインフレ率を物価安定の定義とし、フォワード・ルッキングな政策を行おうとしているためであろう。今回の予測では、2010年のインフレ率予想(中央値)は+1.3%2011年は+1.4%となっている。2011年のインフレ率予想が+2%まで引き上げられないかぎり、来年中の利上げは見込み難い.

 

また、ユーロ圏の政策金利と景気との関係をみると、ECBが利上げを実施しているのは実質GDPが前年比+2%を上回る局面のみである.ECBの最近予測では、2010年の成長率予想(中央値)は+0.8%2011年は+1.2%となっている。現在の政策金利が異例の低水準であることを考慮しても、近い将来にECBの利上げを予想すべき経済状況ではないと思われる。

 

○ブルームバーグの日本政府の米国債売却に関する憶測は根拠なし

 

市場参加者の間では、「マーケット・ニュース(MNS)は3日、日本政府が国内プログラムの資金を調達するため、米国債1000億ドルの売却計画を米政府に通達するとの『憶測』があると報じた」というブルームバーグの記事が話題となっている。しかし、MNSは正式な「観測記事」で報じたわけではなく、ニューヨーク時間の市場の噂を報じた1行コメントを配信したに過ぎない。そもそも日本の外貨準備による米国債保有はFBで調達されていることを踏まえると、この報道は全く根拠がないと判断される。

 

 

 


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