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海外マクロ・コメント

  • 投稿日:2009年11月20日

11月フィラデルフィア連銀指数は製造業の回復の持続を示す

 

11月フィラデルフィア連銀指数は前月比+5.2pt+16.7と上昇した。内訳をみると、新規受注(前月比+8.6pt+14.8)、出荷(同+12.4pt+15.7)、雇用者数(同+6.3pt-0.5)、在庫(同+14.5-17.3)と幅広い分野が改善している。ISM製造業サーベイと同様な方式で作成した総合指数(新規受注、出荷、雇用者数、入荷遅延、在庫を単純平均し、50を中心とした指数に換算)は50.010月の46.2から回復した形となっている。最近のフィラデルフィア連銀指数は全米のISM製造業指数に比べて弱めに出る傾向が顕著だったが、それでも拡大・縮小の分岐点である50を回復してきたことは製造業の拡大の裾野が広がっていることを確認するものと言えよう。

 

また、フィラデルフィア連銀サーベイでは、向こう6ヵ月間の設備投資見通しが9月の+0.8から10+8.511+13.8と急速に改善していることも注目される。この項目は振れが大きいものの、GDP統計の機械・ソフトウェア投資のトレンドを比較的的確に示してきた。7-9月期の機械・ソフトウェア投資は前期比年率+1.1%200710-12月期以来7四半期ぶりに増加に転じていたが、足元の設備投資見通しの好調は10-12月期も設備投資が成長を下支えすることを示唆するものであろう。

 

7-9月期もモーゲージの延滞は増加

 

MBA(モーゲージ銀行協会)の延滞統計によれば、7-9月期の住宅モーゲージの30日以上の延滞率(ローン残高に占める割合)は9.64%4-6月期の9.24%から一段と上昇し、1979年の統計開始以来の最高水準を更新した。内訳では、信用力の高いプライムが前期比+0.43pp6.84%、サブプライムが同+1.07pp26.42%とともに上昇を続けている。

 

今回のサーベイでは信用力の高いプライムの悪化が特に目立った。延滞率の中でも差し押さえ予備軍と言われる90日以上の「深刻な」延滞率は7-9月期に4.41%4-6月期の3.88%から上昇を続けて前年同期の2.20%から倍増しており、その中でもプライムの90日以上の延滞率は3.14%と前年同期の1.27%から2.5倍となっている(サブプライムの90日以上の延滞率は13.70%で前年同期は7.22%)。また、7-9月期の新規差し押さえ比率も全体で1.42%4-6月期の1.36%、前年同期の1.07%から上昇を続けているが、最近の上昇はプライムに偏っており(7-9月期は1.14%と前年同期の0.61%から急増)、サブプライムは1-3月期の4.65%をピークに7-9月期の3.76%までむしろ低下している。こうしたプライムの急速な悪化は失業の増加によるものだと考えられる。

 

 

プライム・モーゲージでも差し押さえが増加している状況では、投げ売りによって幅広い住宅の価格が圧迫されることは避けられないだろう。図表5でみるように、7-9月期時点で差し押さえ在庫は全ローンの4.47%にも達している(プライムは3.20%、サブプライムは15.35%)。MBAによれば、7-9月期の新規差し押さえの43%はフロリダ、カリフォルニア、アリゾナ、ネバダの4州に偏っていた。これらの4州では、全ローンに占める差し押さえ在庫の比率もそれぞれ12.74%5.83%6.17%9.44%と全米平均を大きく上回っていた。興味深いのは、こうした状況にもかかわらず差し押さえ多発4州の住宅価格がS&P/ケース・シラー住宅価格指数では前月比でプラスに転じていたことである(図表6)。これはおそらく「春・夏に(差し押さえ物件でない)通常の住宅売買が増加し、住宅価格が上昇しやすい」という季節要因が強く現われている面が大きいと思われる。今後は差し押さえ在庫が増加を続けるなか、通常の住宅売買の秋・冬の季節的な減少と10月分の住宅関連指標で示された住宅販売の減税終了前の駆け込み需要の反動もあり、住宅価格が再び低下に転じる可能性が高いだろう。

 

情報提供:バークレーズキャピタル証券株式会社

 


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