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海外マクロ・コメント

  • 投稿日:2009年11月11日

 ○米10年債入札は無難な内容

 

10年債入札は応札倍率が2.81倍と前回(10月)の3.01倍を下回り、間接入札者落札比率は47.3%と前回の47.4%と同程度、落札利回りも3.470%で直前のWI(発行日取引)の3.472%とほぼ変わらず、という無難な内容だった。昨日発表された10月分の詳細な落札統計では、10年債入札の非居住者落札比率は9月の31.4%から10月には16.0%へと大幅に低下し、間接入札者に占める国内投資ファンドの割合が高まっていたことが判明している.このため、10年債では外国通貨当局の需要はそれほど強くないとみられる。ただ、入札額が250億ドルとリオープンだった前月の200億ドルから50億ドル、前回の四半期定例入札(8月)の230億ドルから20億ドルの増額となっていたことを考慮すれば、今回の結果は「無難」と評価するのが妥当であろう。本日の米国市場はベテランズ・デーで休場であり、12日に30年債入札が実施される。

 

JOLT統計は米国の雇用の弱さを確認する内容

 

市場ではそれほど注目される指標ではないが、昨日発表された9月分のJOLT求人・労働異動)統計は、雇用が再び悪化していることを示唆する内容だった(JOLT統計は、雇用統計の事業所調査と同じく全非農業部門雇用者を母集団としたサンプル調査であり、米労働統計局はJOLT統計と事業所調査の雇用者数の比率が一定となるような調整を行っている。JOLT統計が月初から月末までの労働異動を計測するのに対し、雇用統計は各月の12日を含む週の雇用者数の水準を調査している。10月分の雇用統計では9月中旬から10月中旬までの雇用者数の変化が捕捉されているため、9月分のJOLT統計と対応する)。10月には新規雇用者数が9月の404.0万人から401.0万人に減少する一方、離職者数は428.4万人から431.1万人に増加した。この結果、雇用純増数(新規雇用?離職)は-30.1万人となり、7月の-20.2万人や8月の-24.4万人からマイナス幅が拡大している.

○中小企業の景況感は低迷

 

10月のNFIB(全米独立企業連盟)サーベイでは、ヘッドラインの中小企業楽観指数(1986年=100)が前月比+0.3pt89.13ヵ月連続で改善した。ただ、これは7-9月期の実質GDP成長率の回復に比べて遥かに弱い。過去20年以上にわたりNFIB中小企業楽観指数は実質GDP成長率の前期比年率伸び率と密接に連動してきたが、これほどまでの乖離が生じたことは初めてである。米国の雇用の大半を生み出す中小企業にマクロ経済の回復の恩恵が行き渡っていないことは明らかであろう。

その背景としては、中小企業は資金調達で銀行借入の依存度が高く、依然として厳しい信用環境に直面していることが考えられる。FRBの最新の融資担当者サーベイでは(基準を「緩和した」と回答した銀行は皆無だったが)企業向けの貸出基準DIのプラス幅(「厳格化」超)が縮小していた(小企業向け貸出基準DI7月調査の+34.0に対し+16.1)。しかし、NFIBサーベイをみると、信用アベイラビリティーDI(「困難」?「容易」)は5月に記録した過去最高の+16をわずかに下回る+143ヵ月連続で推移しており、信用環境見通しDI(「厳格化」?「容易」)は9月の-15から-16へと再び悪化して(200810月、20092月に記録した)過去最低に並んでいる。

 

 

 

○イェレン・サンフランシスコ連銀総裁は「底の線が緩やかに上向いたL字型」の回復を予想

 

昨日は地区連銀総裁の発言が多く伝えられたが、(最大のハト派と目される)イェレン・サンフランシスコ連銀総裁の講演が最も重要だと思われる。イェレン総裁は7-9月期実質GDPが前期比年率+3.5%に達したことを受けて「経済は持続的な拡大局面に入ったようだ」としながらも、「拡大の強さと持続性は疑問視される」との見方を示した。その理由としては、(1)現在の回復は金融・財政面の景気刺激策と在庫循環の転換に支えられており、そうした効果は数四半期しか続かないとみられること、(2)金融機関は通常の信用供給ができる状況まで改善していないこと、(3)失業の悪化、賃金の伸び悩み、重い債務負担、逆資産効果、信用へのアクセスの制約、貯蓄率のより高水準への調整などから長期にわたり個人消費の回復は期待し難いこと、(4)商業用不動産の見通しが懸念されること、などが挙げられている。その上で、今後の景気回復を文字にたとえた場合は「底の線が緩やかに上向いたL字型(”L” with a gradual upward tilt of the base)」になると述べた。そして、巨額の財政赤字がインフレをもたらすとの見方を否定し、経済の余剰供給力と賃金の低下圧力がインフレ率を物価安定に整合的な水準以下まで押し下げる懸念があるとしている。

 

イェレン総裁は講演の結論部分で金融引き締めが最終的に必要になる可能性にも言及したものの、「その時が来るまで、我々は雇用創出を促進し、インフレ率が物価安定の整合的な水準以下まで一段と下落することを阻止することに必要とされるだけの金融緩和を提供する必要がある」と締めくくっている。これは、10月雇用統計を受けてFOMC内のハト派が景気・物価のダウンサイド・リスクへの警戒感を強めた可能性を示唆するものだろう。

情報提供:バークレーズキャピタル証券株式会社


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