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海外マクロ・コメント

  • 投稿日:2009年10月21日

価格のディスインフレ圧力は一時的なものにとどまる見通し

 

9生産者物価(PPI)は総合で前月比-0.6%と市場予想(0.0%)を下回り、8月の同+1.7%から低下に転じた。これはエネルギーが8月の同+8.0%から同-2.4%に下落したことが主因だが、食品・エネルギーを除くコアも同-0.1%8月の同+0.2%から再び低下した。現在のPPI(完成品)コアには昨年10月以降のPPI中間財コアの急落の影響が遅れて現れており、当面は抑制され続ける公算が大きい。また、PPIコアの鈍化は通常の1年程度のラグを経て消費者物価(CPI)の財コアにも波及しつつあり、当面はCPIコア上昇率にもディスインフレ圧力が掛かるとみられる。

 

ただし、川上段階の物価はすでに循環的な上昇局面に転じているため、財価格のディスインフレが長期化することは考え難い。まず、世界経済の回復を受けて商品価格が上昇している。ISM製造業サーベイでは価格指数が6月に拡大・縮小の分岐点である50に到達し、9月は63.5となっている。PPI原材料コアは3月をボトムに4月から前月比で上昇に転じ、9月までの6ヵ月間の累計ですでに22.4%上昇している(前年比では7月の-35.7%を底に9月は-19.6%までマイナス幅が縮小)。PPI中間財コアも6月から4ヵ月連続で前月比プラスとなっているが、9月は前月比+0.9%まで加速した(前年比でも8月の-8.2%で底打ちし、9月は-7.5%)。PPI中間財コアは製造業の在庫サイクルの影響を強く受ける傾向があり、今後は在庫の積み増しの動きを受けて上昇圧力が強まってくる公算が大きい。景気後退による需給ギャップ拡大の遅行した影響と景気回復を受けた川上段階の循環的な物価上昇圧力が相殺し合い、今後の財価格は緩やかに低下しながらも安定を維持することが予想される。

 

 

9月住宅着工件数は先行きが懸念される内容

 

9月住宅着工統計は強弱まだらの内容だった。まず、住宅着工件数は前月比+0.5%の年率59.0万戸と市場予想(年率61.0万戸)を下回ったが、内訳をみると振れの大きい多世帯住宅が同-15.2%8月の大幅増(同+20.7%)の反動で減少したことによるものであり、トレンドを示す一世帯住宅は同+3.9%8月の同-4.7%から再び増加に転じていた。これはヘッドラインの数字ほどには住宅着工が弱くはないことを示すものと解釈できよう。

 

ただ、その一方で先行指標の住宅着工許可件数は全体で前月比-1.2%、一世帯住宅で同-3.0%と減少した。特に一世帯住宅の着工許可件数は年率45.0万戸と着工件数の50.1万戸を10%も下回っている。住宅着工許可件数と着工件数の比率は住宅着工の伸び率の良好な先行指標となっており、今後の住宅投資のモメンタムが弱まることを示唆している。これは10NAHB住宅市場指数が低下に転じたこととともに、住宅市場の先行きを懸念させるものと言える。

 

この背景としては、第一に11月末に住宅一次取得者の税額控除が期限切れとなることが指摘できる。ドノバン都市開発長官は20日の上院銀行委員会での証言で、巨額の財政赤字を理由に住宅税額控除の延長に消極的な姿勢を示した。第二に、住宅の在庫調整はかなり進捗してきたとはいえ、なお供給過剰感が強いことも考えられる。図表6で示したとおり、現在の一世帯住宅着工の伸びは新築住宅の在庫/販売月数の低下にすでに見合った水準となっている。第三に、リーマン・ショック後の急減からの回復がすでに終わったこともあろう。一世帯住宅着工件数は昨年10月の年率53.4万戸から今年12月の年率35.7万戸まで落ち込んだ後、9月には年率50.1万戸まで持ち直した。反動増が終わった後の回復ペースが緩やかとなってくることは避けられないと思われる。こうしたなか、今後の住宅関連指標の動向が一段と注目されることとなろう。

 

情報提供:バークレーズキャピタル証券株式会社

 


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