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海外マクロ・コメント

  • 投稿日:2009年10月15日

FOMC議事録ではメンバーの意見の相違が鮮明に

 

92223日のFOMC議事録では、全体的に前回会合(81112日)時点から景気見通しが引き上げられたものの、多数派はなお景気回復が非常に抑制されたものにとどまると考えており、インフレ見通しと資産買い取り策についての見方が大きく分かれていることが明らかとなった。

 

まず、経済見通しについては、スタッフは2009年後半と2010年の成長率予想を引き上げ、現在では2009年後半の成長率は潜在成長率を小幅に上回ることが見込まれている。また、FOMCの「多くの参加者(many participants)は8月以降に2009年後半とその後数年間の予測を上方修正したと述べた」。ただし、スタッフは「労働市場はゆっくりとしか改善しない」と考えており(2010年末の失業率を9.25%2011年末を8%と予想)、FOMCメンバーも「多くの参加者は景気回復がかなり抑制された(quite restrained)ものにとどまる公算が大きいと指摘」した上で、「(2009年後半と2010年の景気回復ペースは)失業率を大幅に引き下げることは見込み難い」としている。景気抑制要因としては、(1)多くの借り手は銀行信用を得るのが困難でコストも高く、こうした状況の改善は緩やかなものにとどまると予想されること、(2)家計は消費に、企業は新規採用と設備投資に慎重なこと、(3)最近の需要増加の一部は政府の刺激策によるものにすぎず、効果が一巡した後の不透明感が大きいこと、などが挙げられている。

 

こうしたなか、「大半の参加者(most participants)は労働・生産市場の余剰供給力(slack)が今後数年間は大きく、賃金・物価のインフレの抑制または場合によっては低下につながると予想していた」。ただ、「一部の参加者(some participants)」は資源稼動の指標がインフレ圧力を示すかどうかについて懐疑的で、長期インフレ期待の安定が重要と主張した。「大半」と「一部」という言葉の使い分けからみて、現時点では需給ギャップによってインフレ圧力が抑制されるという見方がFOMC内では優勢だということが分かる。ただ、インフレ期待の重要性については全参加者が一致し、「インフレ期待をしっかりと固定するため、FRBは適切な時期に緩和的な金融政策の撤回を開始してインフレ率の持続的な上昇を阻止するために動くためのツールと意思を持ち合わしていることを伝え続けることが重要だということに全員が合意した」。これは、最近のFOMCメンバーが「出口戦略」に関する発言を行っている目的はインフレ期待の抑制であり、決して近い将来の政策の地ならしではないことを示唆するものであろう。なお、インフレ見通しのリスクについては「多くの参加者(many participants)」が「概ね均衡(roughly balanced)」としたが、「数名(a few)」はディスインフレの大幅な進行のリスクを引き続き懸念していた。

 

興味深いことに、FOMC内部では景気見通しの改善にもかかわらず長期金利が低下したことについても議論されていた。その理由としては、(1)超過準備の拡大が市場金利に低下圧力を加えた、(2)インフレ懸念が低下するとともに経済環境の安定化で長期のプレミアムが低下した、という2点が言及されている。いずれにせよFOMCメンバーは長期金利の低下を「総じてポジティブ(broadly positive)」に判断しており、先行きの景気への懸念を反映したものとは考えていないようだ。

 

今回の議事録で最も重要な点は、MBS買い取りに関する議論であろう。「一部のメンバー(some member)」はMBS買い取り枠の増額が経済の余剰供給力の解消に役立つと主張する一方、「他のメンバー(another member)」は買い取り枠の減額が必要だと考えていたという。実際の決定は当初は「年末までに最大1.25兆ドル」だったMBSの買い取り枠を「来年3月末までに全額1.25兆ドル」に変更するというものだったが、9月時点で増額を支持するメンバーもいたという点は重要であろう。資産買い取り策の議論に関するパラグラフは、「メンバーは、景気見通しが悪化すれば資産買い取りプログラムを拡大し、経済・金融環境が予想以上に改善すればプログラムを縮小する柔軟性を維持することが重要だと論じた」という文章で締めくくられている。このため、FRBMBS買い取り策を現在の予定どおり来年3月末で終了するかどうかは景気や金融市場の動向に最終的には左右されることとなろう。なお、議事録には「資産買い取り策の主要な影響は市場で流通している証券のストックによる累積的な効果を通じたものとなる公算が大きい」という指摘もあった。これは、資産買い取り策の効果はフローよりもストックによるものであり、新規の資産買い取りを停止したとしてもその効果は持続するとFRBが考えていることを示唆していよう。

 

9月小売売上高は自動車を除く消費の堅調を示す

 

9月小売売上高は前月比-1.5%8月の同-2.2%から減少に転じた。ただ、これは自動車買い替え促進策の終了により自動車の売上高が8月の同+7.8%から同-10.4%に急減したことが主因である。自動車を除く売上高は前月比+0.5%、コア小売売上高(GDPの個人消費の基礎統計とならない自動車、建設資材と価格要因の影響が大きいガソリンの3項目を除く売上高)も同+0.5%とともにプラスにとどまった。内訳をみると、(チェーンストア売上高統計で示唆されていたとおり)一般小売店(同+0.9%)、アパレル(同+0.5%)などが堅調を維持している。今回の結果は、7-9月期の実質GDPが前期比年率+3.5%に達するという当社予想を支持するものと言えよう。

 

情報提供:バークレーズキャピタル証券株式会社

 


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