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海外マクロ・コメント

  • 投稿日:2009年10月15日

○コーンFRB副議長はインフレ率低下リスクと低金利の維持を強調

 

13日の米国債市場ではコーンFRB副議長の「ハト派的」な発言が注目された。コーン副議長はNABE(全米企業エコノミスト協会)に対して行った「経済見通し」と題する講演で、現在の米国経済は金融市場の改善と在庫サイクルの転換を主因に回復してきたとしながらも、個人消費や企業の機械・ソフトウェア投資など最終需要にも下げ止まりの兆候が出てきたと指摘した。ただ、(1)金融市場環境の全般的な改善にもかかわらず消費者や中小企業に対する信用供給は引き続き抑制される公算が大きいこと、(2)帰属の空室率に加えて差し押さえの高止まりも考慮すれば住宅の過剰供給は続くとみられること、(3)企業も異例に大きな余剰供給力を抱えており銀行融資が得にくい場合は設備投資の拡大に非常に慎重になる可能性が高いこと、などを理由に、過去の深刻な景気後退の後のようなV字型の回復は期待できないとしている。

 

そして、余剰供給力の大きさとインフレ期待の安定を背景に、「私はインフレ率が抑制される公算が大きく、しばらくは基調的なインフレ率が低下するリスクの方が上昇するリスクよりも大きいと予想している」と述べている。さらに、金融危機の後には投資の急減による生産性への悪影響や経済への資源配分の障害から潜在成長率が低下する可能性にも言及したが、「総需要の累積的な減少は今後想定されるいかなる潜在供給力の低下よりも大きい」との見方を示した。その上で、「需要が緩やかにしか強まらずインフレが抑制されるという予測は、これらのギャップ?我々の目標を下回るインフレと生産?がかなり長期間(quite some time)続くであろうことを意味する。こうした環境下、前回の会合で、FOMCは経済環境が長期にわたり異例の低水準金利を正当化する公算が大きいとみていた」としている。

 

もちろん、今回の講演でも最後の方に「我々は時が来れば異例の政策から抜け出す(exit)ためのツールを持ち合わせている。そして我々は需要の圧力またはインフレ期待が物価安定の脅威となるよりもかなり前に(well before)行動しなければならない」と出口戦略の必要性にも触れられている。しかし、バーナンキ議長が8日に行った「FRBのバランスシート」と題する講演では出口戦略の具体的な方法への言及が大半を占めていたことと比較すると、コーン副議長がしばらくは低金利を維持する方針を強調しようとしていることは明らかであろう。FRB全体のスタンスを見る上で、本日公表される92223日分のFOMC議事録が注目される。

 

10IBD/TIPP経済楽観指数は再び低下

 

10IBD/TIPP経済楽観指数は前月比-3.8pt48.73ヵ月振りに拡大・縮小の分岐点である50を下回った。指数を構成する3項目をみると、(1)経済見通しが前月比-4.0pt49.7(2)個人の資金繰り見通しが同-2.8pt54.2(3)連邦政府の政策への信頼感が同-4.5pt42.1となっている。IBD/TIPPサーベイは20012月に開始された比較的新しい指標だが、最も発表のタイミングが早い月次の消費者信頼感サーベイであり、特にミシガン大学サーベイの期待指数との連動性が高い.

このため、16日発表の10月ミシガン大学消費者センチメント指数(速報)も低下に転じる可能性があろう。

IBD/TIPPサーベイのプレスリリースでは、労働市場の弱さが信頼感の低下の理由として指摘されている。実際、これは過去の例でも珍しいことではない。ミシガン大学消費者期待指数と失業率の関係を見ると、消費者信頼感は失業率が改善に転じるよりもかなり前に底打ちするが、失業率がピークアウトするまでは一進一退を繰り返す傾向がある.労働市場の悪化に歯止めがかかるまでは消費者信頼感や個人消費の改善トレンドが定着することは見込み難い。

 


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