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海外マクロ・コメント—臭いものには蓋—

  • 投稿日:2009年9月16日

引き続き数字としては強めの内容を確認。9末に向けて株価も堅調地合いを維持しそうな感じですが、2番底シナリオの引き金は、あくまで商業銀行を始めとする金融機関のバランスシートの内容だと思っています。臭い物に蓋をして放置されているうちに、醗酵して異臭を放ち始めているのに、見てみぬ振り、気が付かない振りをしていると、後始末がどんどん大変になっていくような気がするのですが。。。

 

○8月米小売売上高は予想以上に強い内容

 

8月小売売上高は前月比+2.7%と市場予想(同+1.9%)を大きく上回った。小売売上高が拡大した最大の理由は自動車買い替え促進策による自動車販売の急増だが(自動車売上は同+10.6%)、自動車を除く売上高も同+1.1%と市場予想(同+0.4%)よりも遥かに強かった。小売売上高の項目のうちGDPの個人消費の基礎統計に用いられない自動車、建設資材と石油価格の影響が大きいガソリン・スタンドの3項目を除く「コア小売売上高」も同+0.7%7月の同-0.3%から増加に転じた(図表1)。コアの中の内訳では、家電(同+1.1%)、衣料品(同+2.4%)、スポーツ用品(同+2.3%)、一般小売店(同+1.6%)など、家具(同-1.6%)を除く主要な項目が軒並み増加している。今回の結果は、最近の消費者信頼感の改善とともに個人消費の回復を示唆するものと評価できよう。

 

図表1:コア小売売上高(自動車・ガソリン・建設資材を除く売上高)

 

9月エンパイア・ステート製造業指数も改善

 

9月エンパイア・ステート製造業指数は+18.888月の+12.08から一段と上昇した。内訳をみると、新規受注(前月比+6.41pt+19.84)、入荷遅延(同+11.83pt+1.19)は改善を続けたが、出荷(同-8.77pt+5.34)、雇用者数(同-0.88pt-8.33)、在庫(同-2.61-25.00)などが低下している。ISMと同方式で作成した総合指数(上記5項目を50が中心となる形に換算した指数の単純平均)は49.38月の48.7からわずかに上昇するにとどまった。しかし、足元の地区連銀サーベイはISM製造業指数よりも弱めに出る傾向があり、全米のISM製造業指数はすでに7月の段階で52.9と拡大・縮小の分岐点である50を上回っている(図表2)。次は17日(木)の9月フィラデルフィア連銀指数が注目される。

 

図表2:地区連銀サーベイとISM製造業指数

 

PPIでは川上段階の物価上昇圧力もみられるが懸念材料ではない

 

8月生産者物価(PPI)は総合で前月比+1.7%、コアで同+0.2%と市場予想(同+0.8%、同+0.1%)よりもやや高めとなった。総合PPIは主にガソリン(同+23.0%)によって押し上げられていた。コアPPIでは乗用車(同+0.7%)、小型トラック(同+0.8%)が高かったが、米労働省は自動車買い換え促進策で在庫不足となったため一時的に自動車価格が引き上げられたと指摘している。

 

一方、川上段階の物価上昇圧力の強まりはさらに明白となった。PPI原材料コアは前月比+6.0%5ヵ月連続、PPI中間財コアは同+0.6%3ヵ月連続の上昇となった。ISM製造業サーベイの価格指数が示唆しているとおり、PPI原材料コアは最近の商品価格の上昇やドル安を受けて前年比でもプラスに転じてくる公算が大きい(図表3)。また、PPI中間財コアは在庫サイクルと連動する傾向があり、在庫積み増しの動きが生じてくれば上昇圧力が強まる可能性がある(図表4)。

 

図表3ISM製造業価格指数とPPI原材料コア

図表4PPI中間財コアとISM製造業在庫指数

 

ただし、現時点で財価格の上昇を特に警戒する必要はないと思われる。特にPPI消費財コアは前月比+0.1%にとどまり、前年比でも7月の+3.1%に対し+2.8%と減速を続けている。図表5で示したとおり、現在は昨年後半以降のPPI消費財コアのピークアウトの影響がCPI財コアに現れ始めた段階であり、消費者段階の財価格はしばらく安定を続けることが予想される。

 

図表5PPI消費財コアとCPI財コア

 情報提供:バークレーズキャピタル証券株式会社

 


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