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米国経済指標

  • 投稿日:2009年8月24日

7月米中古住宅販売は4ヵ月連続で増加

 

7月米中古住宅販売戸数は前月比+7.2%の年率524万戸と4ヵ月連続で増加し、前年比でも+5.0%6月の-0.2%からプラスに転じた。7月の前月比はコンドミアムを含めた現行ベースのデータが1999年に開始されて以来で最大、前月比の4ヵ月連続の増加は20046月以来、前年比でのプラスは200511月以来である。NAR(全米不動産業協会)はプレスリリースで「住宅市場は決定的に好転した。一次取得者の住宅減税の活用とアフォーダビリティー(取得能力)の大幅な改善が組み合わさって売上の増加に貢献している」とコメントしている。

 

今回の結果は、契約成立段階で計上される先行指標のPHSI(中古住宅販売成約指数)と受渡段階で捕捉される中古住宅販売統計のギャップを一気に埋めた点でも重要である。PHSIは今年1月のボトムから直近6月までに17.7%増加していたが、中古住宅販売は1月のボトムから6月までの間に8.9%しか増加しておらず、一部では「契約が成立しても実際に住宅を購入できないケースが増えているのではないか」という見方もあった。しかし、7月の急増によって1月から7月までの中古住宅販売の増加率は16.7%となり、PHSIにほぼキャッチアップした(図表1)。このため、91日発表の7PHSIが増加傾向の継続を示すかどうかが注目されよう。

 

NARによれば、7月に中古住宅販売に占める差し押さえ物件の割合は31%、一次取得者の割合は30%となった。差し押さえ物件の割合は年初が50%と発表されていたが、5月は33%6月は31%と、5月以降に明らかに低下してきている。ただ、この背景には、気候が温暖となり、6月の学期末が近づくと個人の住宅の新規購入が多くなるという季節的要因も指摘できる(差し押さえ物件の売買は銀行と投資家が中心の取引であり、年間の変動が比較的少ない)。MBAの統計によれば、4-6月期の差し押さえ開始比率は1.36%1-3月期の1.37%からほとんど変わっておらず、差し押さえ在庫比率も4.30%1-3月期の3.85%から一段と上昇するなど、差し押さえの動きが弱まってきた兆しは見られない。このため、差し押さえによる住宅価格の圧迫が一巡したかどうかを判断するには秋以降のデータを確認する必要があろう。

 

FRBは景気底打ちを示唆も先行きには慎重

 

21日の金融市場では、バーナンキFRB議長がジャクソン・ホールでの年次シンポジウムでの講演で「世界経済の底打ち」に言及したことが注目を集めた。具体的には、バーナンキ議長は過去1年間の金融危機と景気後退に対する政策対応を論じた上で「過去1年間の急激な縮小の後、経済活動は米国および外国の双方で横ばいとなりつつあるようであり、近い将来の成長への回帰の見通しも良好だ(economic activity appears to be leveling out, both in the United States and abroad, and the prospects for a return to growth in the near term appear good)」と述べたほか、最後の結論部分で「危機は次に深刻な世界的景気後退を引き起こしたが、そこから我々は今ようやく抜け出しつつある(The crisis in turn sparked a deep global recession, from which we are only now beginning to emerge)」と表明した。特に「横ばい(leveling out)」という言葉は812日のFOMC声明文でも新たに使われていた表現であるため、FRBは米国経済および世界経済のマイナス成長に歯止めが掛かりつつあることに自信を深めていると思われる。

 

ただ、これらの発言の後には、先行きについて慎重な見方を示す文章が続いていることも見逃すことはできない。前者の文章の後には、「この注目すべきプロセスにもかかわらず、決定的に重要な課題が残っている:世界中の多くの金融市場で緊張が残存し、金融機関は大幅な追加損失に直面しており、多くの企業と家計は引き続き信用を得る上で多大な困難を経験している。こうした要因や他の要因から、景気回復は当初は比較的緩慢となり、失業は高水準から緩やかにしか減少しない公算が大きい」と付け加えられていた。また、後者の文章に続くパラグラフでは、「我々は最悪を回避したが、困難な課題が依然として前途に横たわっている」ことが強調されている。

このため、景気の底打ち傾向が強まってきたとしても、現時点でFRBが「出口戦略」の実施を急ごうとはしていないのは明らかであろう。これはECBにも共通しており、トリシェ総裁も同じくジャクソン・ホールのシンポジウムで、世界経済が「フリーフォールの時期から抜け出し始めた」としながらも「非常に凸凹した道が控えている(very bumpy road ahead)」と述べた。

 

また、コーンFRB副議長は、カリフォルニア大学のウォーシュ教授がシンポジウムで「低金利にコミットすることは安定したインフレと整合しない」とする論文を発表したのに対し、「FRBの現在の低金利へのコミットメントはインフレが我々の望む水準を継続的に下回ることを防ぐことを狙いとしている。これはインフレ期待を高めることを目的としていない」と反論した。インフレ期待が安定を維持するかぎり、FRBは引き続き時間軸効果の活用を続ける公算が大きい。

 

 情報提供:バークレーズキャピタル証券株式会社


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