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米実質GDPでは成長率のマイナス幅が縮小

  • 投稿日:2009年8月3日

○米実質GDPでは成長率のマイナス幅が縮小

 

4-6月期実質GDPは前期比年率-1.0%と市場予想(同-1.5%)よりも良好で、過去2四半期の年率-5~6%台に比べればマイナス幅は大幅に縮小したものの、米国債市場ではむしろ景気にとって「弱い」内容と受け止められたようだ。その理由としては、(1)遡及改定で今回の景気後退局面での実質GDPの落ち込みが従来の発表値よりも大幅となったこと、(2)4-6月期の個人消費が前期比年率-1.2%と1-3月期の同+0.6%から再び減少に転じたこと、などが指摘できる。

 

・実際、今回のGDP統計はやや解釈が難しい内容だった。まず、4-6月期実質GDPの前期比年率成長率に対する需要項目別の寄与度をみると、前述のように個人消費が再び減少に転じ(寄与度は1-3月期+0.44pp→4-6月期-0.88pp)、純輸出のプラス寄与もほぼ半分に縮小(+2.64pp→+1.38pp)する一方、機械・ソフトウェア投資(-3.01pp→-0.59pp)、建設投資(-2.28pp→-0.34pp)、住宅投資(-1.33pp→-0.88pp)、在庫(-2.36pp→-0.83pp)、政府支出(-0.52pp→+1.12pp)の5項目が軒並み成長率を押し上げた。

 

実質GDPの寄与度別内訳


米GDP1.bmp 

・成長率の改善に寄与した5項目のうち、機械・ソフトウェア投資や住宅投資の減少幅縮小と在庫圧縮ペースの弱まりは月次指標とも整合的であり、今後も成長率の回復に寄与する公算が大きい。ただ、建設投資が成長率の改善に約2ppも寄与した形となっていることは、足元で商業用不動産の大幅な悪化が報告されていることからみて違和感がある。また、政府支出の拡大は一見すると景気対策の効果の表れのようにも思えるが、実際は振れの大きい国防支出の増加が半分以上を占めている(寄与度は-0.27pp→+0.67pp)。州・地方政府支出の寄与度も-0.19ppから+0.30ppへと回復したが、大半の州で7月に始まった今財政年度では50州中48州が財政赤字に陥っており、大半の州政府は均衡財政の達成を義務付けられていることから、大幅な支出拡大は期待できない。

 

7-9月期には建設投資や政府支出の反動が現れる可能性も考慮すると、今後の景気回復の持続性を見る上で焦点となるのは、在庫サイクルの循環的な回復が続いているかどうかと、個人消費が再びプラスに転じるかであろう。この意味で、本日発表される7月分のISM製造業指数と新車販売台数は重要である。個人消費に関して明るい兆候としては、7月下旬に開始された新車買い替え促進策の応募が殺到し、すでに10億ドルの当初予算は使い果たされたことである。下院は新たに20億ドルの予算を計上する法案を31日に可決している(上院は今週の審議の見通し)。

 

GDP統計の過去の改定では、2008年以降の成長率が特に大きく押し下げられる形となった。2008年1-3月期が前期比年率+0.9%から同-0.7%へとマイナスに改定されたほか、4-6月期も同+2.8%から同+1.5%へとほぼ半分の成長となり、7-9月期も同-0.5%から同-2.7%へとマイナス幅が拡大された。10-12月期については同-6.3%から同-5.4%と小幅に上方修正されたものの、2009年1-3月期が同-5.5%から同-6.4%へと下方修正されたことで相殺されている。その結果、2008年通年の成長率は+1.1%から+0.4%へと押し下げられたが、需要項目で最も影響が大きかったのは個人消費がプラスからマイナスに改定されたことだった(2008年の寄与度では+0.16pp→-0.17pp)。

 

実質GDPの改定


米GDP2.bmp 

・今回の改定で最も興味深かったのは、過去にわたって個人貯蓄率が大幅に上方修正されたことである。改定前には、個人貯蓄率は2005年にマイナスまで低下し、2007年までは1%以下で推移していたとされていたが、下図で示したように改定後のベースでは貯蓄率は2005年から2007年にかけての最も低下した局面でも1%を下回らなかった形となっている。また、4-6月期の貯蓄率は5.2%と、1998年7-9月期以来の高水準に達している。このデータは、(1)過去数年間の米国の個人消費は従来考えられたほど異例な状況ではなかったため、今後の調整も小幅なものにとどまる可能性が高い、(2)過去の底上げは先行きの判断には関係なく、むしろ2008年以降の貯蓄率上昇はそれほど大幅なものでなかったため調整圧力が残る、という正反対の解釈が可能である。

 

個人貯蓄率の改定


米貯蓄率.bmp

 

情報提供:バークレイズ・キャピタル証券株式会社


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