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「中国利下げ」の要点とその一因となった「ASEAN製造業の台頭」とは?

  • 投稿日:2014年11月24日

今回は、皆さんも気になっている『「中国の利下げ」の一因となった「製造業の国外流出」の現状』について、ご一緒に考えてみましょう。

 中国人民銀行(中央銀行)は11月21日、銀行の貸出と預金の基準金利の引き下げを決めた。貸出金利(期間1年)を0.4%下げて5.6%とし、預金金利(同)は0.25%下げて2.75%とする。11月22日から実施する。利下げは2012年7月以来、およそ2年4カ月ぶりで、企業の資金調達のコストを引き下げ、不動産市場などで不透明感が強まる中国景気の下支えを狙う。

人民銀は21日の声明で「景気に下振れの圧力があるなか、特に中小零細企業の資金調達コストが高止まりしている問題を解決することが安定成長にとって重要だ」と強調した。

中国は7~9月の実質国内総生産(GDP)成長率が前年同期比7.3%と、5年半ぶりの低水準に沈んだ。住宅市況の冷え込みが企業の生産や投資の鈍化に波及し、10月以降も景気の減速感が強まっていた。物価上昇率も年率2%を下回る低水準が、続いている。

人民銀は不動産投機の動きなどをなお警戒しており、声明で「強力な景気刺激は必要ない」としたが、それなりの不動産市場の底入れ効果は期待したいのが現実だ。

中国は昨年7月に貸出金利の下限規制を撤廃し、銀行の自由裁量で貸出金利を決められるようにした。ただ、銀行の企業向け融資では今も基準金利が目安となっているため、貸出基準金利を下げれば、中小企業などに恩恵が広がる可能性はある。

 利下げ効果がさらに大きいのは住宅ローンだ。住宅ローンはいまも金利に下限規制がある。1軒目の購入なら基準金利の0.7倍までだ。「実際の住宅ローン金利は基準金利にほぼ張りついている」(北京の金融筋)ため、基準金利を下げれば、そのまま住宅ローン金利の低下につながる。

中国では住宅価格の下落が全国で続いている。販売不振が新規投資を鈍らせ、建材などの生産の落ち込みへと波及した。中国人民銀はすでに住宅の買い替えを促す住宅ローン規制の緩和に動いており、今回の利下げが住宅市況の不振を意識しているのは明らかだ。

利下げに伴う預金者の不満にも配慮した。預金金利には上限規制が残り、これまでは基準金利の1.1倍だった。利下げ前の基準金利は3%なので、預金金利の上限は3.3%。今回、基準金利を0.25%下げたが、同時に上限規制を1.2倍に引き上げたため、実際の預金金利は従来通り3.3%まで認められる。この結果、従来問題視されてきた「中国の銀行のもうけ過ぎ」は、多少なりとも緩和されそうだ。

「ASEAN諸国の製造業台頭」の最新事情とは?

 近年、中国の輸出成長は急激に減速してきた。その一方で近隣4カ国、ベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマーの輸出額の年間成長率は過去4年間の平均で20%近くにもなっている。その間、中国の輸出額の年間成長率は、31%から8%未満にまで低下した。何か裏がありそうだ。

 そうした新興4カ国の住民にとって、輸出額急増は雇用、工場、消費などの増加を意味している。その4カ国の平均経済成長率も拡大しており、2013年には7.3%(5年前は5.9%だった)に達した。その間に中国の成長率は9.6%から7.7%に低下した。この調子では成長率で中国が抜かれる可能性が出てきた。

 経済規模がより大きく、開発が進んでいるタイと共に、ベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマーは「新たな中国」になろうとしている。

 中国の経済規模と比較すると、そうした国々の経済は合わせてもかなり小さいが、急成長中であり、その製造業には1990年代の中国をほうふつとさせるような、勢いがある。実際、その5カ国の昨年のGDP(国内総生産)を合計すると6410億ドルとなり、20年ほど前の中国のそれと一致する。

製造業者にとって重要な魅力となっているのが、その地域の特に中国と比較した場合の賃金の安さである。この10年間に中国の工場での賃金は年率14%で上がってきた。中国の典型的な工場労働者の月給は約700ドルだが、ベトナムでは250ドル、カンボジアでは130ドル、ミャンマーでは110ドル、ラオスでは140ドルである。

 中国の人件費が高騰しているので、世界的なブランドの企業は中国の納入業者に対して、「新たな中国」やアジアのその他の低賃金地域に工場を建設するようにと圧力をかけている。

欧米の水準からすると大変低い賃金であっても、そうした投資の流入は「新たな中国」に住む数百万の人々の生活を確実に良くする。

 「新たな中国」では依然としてインフラが問題となっているということにも触れておくべきだろう。道路の状態は悪く、輸送は非効率的だ。アジア開発銀行によると、この地域には少なくとも500億ドル規模のインフラ改善が必要だという。スタンダード・チャータード銀行のエコノミスト、ベティ・ワン氏はそれでも「消費者需要と労働力の供給という観点から、その地域は魅力的」であり、長い海岸線は流通に適していると指摘する。ここで注目されるのが「中国が立ち上げようとしている投資銀行」や、「中国のインフラ輸出増加方針」、「急増する中国の対外投資」だ。中国自体の経済成長率は下がって行くだろうが、伸び盛りのインドシナ新興諸国などでは、中国の政府や企業の影響力が今後も強まって行く可能性を、意識すべきだろう。以下はベトナムとカンボジアの最新情報だ。

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 ベトナム

東南アジアの成功の代表格と言えるのが、重要な貿易航路の要所にもなっているベトナムだ。上海在住のマッキンゼー・アンド・カンパニーのコンサルタント、ジョナサン・ウェツェル氏は「貯蓄率の高さ、整地された土地、労働市場の自由度、低コストの労働力などが必要だ」と指摘する。人口に占める貧困層の割合は10%強だが、識字率は94%にも達している。

 それでも、ベトナム経済は銀行制度が抱えている膨大な不良債権の対処に追われていることもあり、国内需要が弱い状態が続いてきた。ベトナム政府は2015年末までに融資残高に占める不良債権の割合を今年7月の4.1%から3%に縮小することを目指している。格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスとフィッチ・レーティングスは最近、ベトナムの信用格付けを引き上げた。来年の国内総生産(GDP)の伸び率は今年の5.4%から6.2%に加速すると見込まれている。

ベトナムの製造業は、織物類からより高機能な製品に移行している。家電製品のサプライチェーン(供給網)に近いことも有利に働いている。半導体大手インテル(INTC)が同国に最初の投資をしたのは2010年だった。その理由の一つは高付加価値型の製造業者への税制優遇措置だった。台湾、日本、韓国の製造業者がこれに続いた。同国に投資している日本企業にはブリヂストン(5108)、パナソニック(6752)、富士ゼロックスなどがある。

既にベトナムに投資している日本企業の70%が同国での事業拡大を計画している。サムスン電子(005930.韓国)やLG電子(066570.韓国)も大規模な投資を発表した。スマートフォン工場への30億ドルの投資で、サムスンのベトナムでの投資総額は約110億ドルになった。2015年には、サムスンの携帯電話の40%がベトナムから出荷されるという。

携帯電話は織物を抜いてベトナムの輸出品目第1位となった。来年には、インテルの半導体の80%がベトナムで製造されることになり、サイゴン・アセット・マネジメントの最高経営責任者(CEO)のルイス・ニュエン氏は「世界中の半導体のほとんどがベトナム製となる」と述べている。

とはいえ、ベトナムで株式を購入するのは難しい。上場銘柄は600以上あるが、その多くは小型株で、外国人は現地の証券会社を通じて買わなければならない。

ベトナムは現地企業への株式投資で儲けるというよりは、通常のビジネスを通じた利益増加に集中した方が良さそうな国だ。

ベトナム経済の課題は、貧弱な金融部門と不動産バブルなどが以前から指摘されているが、私が気にしているのはむしろ、「韓国サムスン電子のスマートフォン(スマホ)へのやや過剰な依存」だ。最近は華為技術(ファーウェイ)や小米科技(シャオミ)などの中国の新興スマホ会社が「良質な割には格安」なスマホを続々と提供しサムスンが押され気味だけに、今後の影響には関心を持つと良いだろう。

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 カンボジア

ベトナムを急速に追い上げているのがカンボジアだ。人口1500万、2013年のGDP(国内総生産)155億ドルという同国の輸出額は昨年12.7%の伸びを示した。その要因としては、スカンジナビアのカジュアル衣料チェーンH&M(HMB.スウェーデン)、VF、大手アパレルPVH(PVH)の一部門であるワーナコ・グループといった世界的なブランド企業を顧客に持つ衣料産業が好調だったことが挙げられる。

 カンボジアの製造業者によるアパレルの価格は低く抑えられてきた。これには操業開始後、利益が出てから5年間も有効な同国の衣料製造業者向けの法人税免税措置が大きく関係している。その上、一般特恵関税制度(GSP)のおかげで、カンボジアは欧州に免税でその製品を輸出できるのだ。ラオスやミャンマーも同様にGSPの恩恵を受けている。

カンボジアの縫製労働者たちは賃上げを求めた抗議運動を行い、一定の成果を上げてきた。今年9月、H&Mを含む8つの大手ブランドは賃金の増加分を負担するためにカンボジアの製品に少し高い価格を支払うと約束した。ただ、カンボジアの課題として気になるのは、「労働生産性(の伸び)の割には賃金上昇率が高過ぎ、実は人件費は安くはない」との気になる指摘が現地進出企業の間で目立ち、現地労働者の権利意識が強い割には、過去のポルポト政権時代の「教師・専門職・エリート大虐殺」の後遺症もあり、識字率レベルも含めた教育水準があまり高くはない現実だ。

 あくまでも一般論にはなるが、こうした国々での事業成功のカギは、「彼らが出来る事」と「当面求めるべきではない事」、そして「時間をかけて支援すれば出来そうな事」を見極め、「やや過剰な期待に対して現実的な対応を穏便に出来る」事も、含まれそうだ。またこれらは、今後の持続的な成長が期待出来る国内外の上場企業に求められる能力の一つでもある。

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今回は、以上になります。AOIAフェローのDataと小勝負からでした。

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