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強気と弱気3

  • 投稿日:2010年4月27日

引き続きバロンズから

強気の見通しは後退

■ バロンズ・ビッグ・マネー調査

 ファンドマネジャーを対象とした本誌のビッグ・マネー調査はベータ・リサーチ社の協力のもと春と秋の年2回行われる。今回の調査は全米110人のファンドマネジャーから回答を得た。調査の対象は富裕層向けの専属マネジャーから、ミューチュアル・ファンドやヘッジファンド、年金基金などで数十億ドルの資金を運用しているファンドマネジャーに及んでいる。調査は3月中旬に送付されたが、当時ダウ工業株30種平均(NYダウ)は約1万750ドル(先週末は1万1204ドル)、S&P500指数は1166(同1217)、ナスダック総合指数は2384(同2530)であった。過去14カ月に及ぶ市場の力強い上昇の後で、ファンドマネジャーには買い疲れの兆しが見える。割安の銘柄が減少したこともあり、昨年秋の調査と比較すると株式市場に対する強気の見方はやや衰えている。

■ 強気が後退、中立の見方が広がる

 今回、今後6カ月から12カ月の株式市場の見通しについて強気ないし極めて強気と回答したのは約46%にすぎず、昨年秋の59%から大幅に減少している。また、弱気と回答したのは約16%と、前回の13%からわずかな増加にとどまった。一方で、中立との回答は前回の28%から38%に大幅に増加した。2009年3月から株式市場が70%上昇していることを考慮すると、これは驚くべき数字ではない。実際、回答者の48%が株価水準は妥当であると答え、26%は割高であるとしている。

 株価目標に関しても抑制されたものとなっており、強気派は、平均するとNYダウが年末時点で1万1285ドルを付け、2011年6月には1万1655ドルに達すると見ているが、これは現在の水準を4%上回っているにすぎない。S&P500指数およびナスダック総合指数の来年6月の予想水準はそれぞれ1272(5%上昇)と2600(3%)になっている。一方の弱気派は、平均するとNYダウが年末までに約12%下落し、9800ドルを付けると見ている。S&P500指数およびナスダック総合指数も年末には1044と2127まで下落すると予想している。

 主要指数が終値ベースで過去最高値(NYダウ:1万4164ドル、S&P500指数:1565、ナスダック総合指数:5132)を更新する見通しについては、回答者の20%が3年以内、40%が5年以内としたが、回答者の4分の1は今後10年間その見込みはないと答えた。また、今後数カ月で大幅な調整が起きる確率に関しては、ほぼ半数の回答者が25%としたが、残りの半数は50%以上の確率としている。

■ 債券には弱気

 慎重な見通しにもかかわらず、今後6~12カ月で最高のパフォーマンスが期待される資産クラスに関しては、回答者の62%が株式と答えている。コモディティーとしたのは18%、そして13%のファンドマネジャーが現金と答えている。

 回答者は債券、特に国債に関しては弱気であり、ほぼ80%の回答者が国債に弱気であるとしている。また、ほぼ同数の回答者が今後数カ月で債券のミューチュアル・ファンドや上場投資信託(ETF)への資金流入が衰えると予想した。回答者は今後12カ月の株式のリターンを10%と予想しているが、債券のリターンに関してはわずか1.86%にとどまるとみている。

 2009年には新興国市場の人気が高かったが、2010年は回答者の44%が最もパフォーマンスの高い市場は米国市場と予想している。25%は新興アジア、14%は中南米と答えており、11%が日本市場を挙げた。

 今後、株価上昇があるとすれば、その要因は何かという質問に対しては、42%の回答者が企業利益の上昇と答えた。回答者の企業利益に対する予想は2010年が19%増、2011年が9%増と、コンセンサス予想よりも抑制されたものとなっている。逆に、株価の急落がある場合の要因としては、ほぼ50%の回答者が景気悪化の新たな兆候を挙げている。ただし、回答者の62%は「二番底」は予想していない。

■ セクターと銘柄

 今後アウトパフォームが予想されるセクターとしては、ヘルスケアとテクノロジーの人気が高かった。逆にアンダーパフォームが予想されているのは公益と景気敏感消費財であった。ただし、金融に関しては見解が分かれており、14%の回答者は引き続き金融が他のセクターをアウトパフォームすると答えている一方で、19%が金融は今年最低のパフォーマンスになると予想している。

 回答者の56%は今後6~12カ月は大型株がアウトパフォームすると予想しており、小型株が引き続きアウトパフォームすると予想しているのは14%にすぎなかった。これに加えて、回答者の多くは今後1年間ではグロース銘柄がバリュー銘柄をアウトパフォームすると見ている。人気銘柄には、世界最大の携帯電話チップメーカーであるクアルコム(QCOM)、ネットワーク機器大手のシスコシステムズ(CSCO)、エンカナ(ECA)の分割で誕生した石油・ガス生産のセノブス・エナジー(CVE)などが並んでいる。

 逆に回答者が最も割高と見ている銘柄には、アマゾン・ドット・コム(AMZN)、アップル(AAPL)、アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)、グーグル(GOOG)など、テクノロジーと金融銘柄が並んでいる。

■ 米国経済

 米国経済に関しては、調査対象のファンドマネジャーは平均で今年の国内総生産(GDP)成長率を3.05%、来年前半の成長率を2.37%と予想している。またインフレに関しては、消費者物価指数(CPI)は今年2.47%、来年は2.87%と予想されている(直近は2.3%)。

 大半の回答者は、景気回復により今後6~12カ月に連邦準備制度理事会(FRB)が金利を再び引き上げ始めるとみている。2011年6月には、3カ月物財務省短期証券の利回りは1.13%まで上昇すると予想されている(先週0.13%)。10年物国債の利回りは現在の3.82%から年末には4%以上、来年6月には4.67%まで上昇すると予想されている。

 ドルに関しては、回答者は今後12カ月に71%が対ユーロで、そして60%が対円で上昇すると答えた。米国の競争力に関しては意見が分かれており、44%が米国の競争力が増大するとみている一方で、37%が特に新興国に対して競争力が低下すると考えている。

 米国の競争力に対して強気の理由として、米国企業の財務基盤が負債圧縮、コスト削減などを通じて強化されており、現金保有残高も極めて高い水準にあることが背景にある。企業の現金の最善の使途としては、ほぼ40%の回答者が買収、33%が配当、16%が株式買い戻しを挙げている。一方で、弱気の要因としては、「過剰な課税」と「政府による複雑な規制」が挙げられた。86%の回答者がブッシュ政権による減税措置が来年に失効し、経済に悪影響を与えると予想している。

■ 2010年中間選挙と2012年大統領選挙

 11月の中間選挙に関しては、回答者の3分の1が、共和党が上院、下院のいずれにおいても多数を獲得できないと予想している。しかし2012年の大統領選では、回答者の65%がオバマ大統領の再選はないと見ている。現時点では、回答者の35%が共和党の大統領候補としてミット・ロムニー氏を予想しており、サラ・ペイリン氏を予想したのは5%であった。

 将来の予想は困難であり、運用となるとなおさらである。仕事の上ででも個人的にも今年S&P500指数をアウトパフォームしていると答えたのは、回答者のわずか3分の2であった。まだ今年は前半戦であり、アンダーパフォームしている投資家にも、失地回復の余地はまだ大きくある。

 


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