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2014年8月の米雇用統計速報値と最近の米国の格差社会から分かる事とは?

  • 投稿日:2014年9月10日

今回は、注目されている割には本質的な事が見えにくい、「米国の雇用統計と格差社会」について、ご一緒に考えてみましょう。米国の本質や今後の投資環境を始め、かなりいろいろな事がまとめて分かります。

 

米労働省が9月5日に発表した8月の雇用統計(速報値、季節調整済み)によると、景気動向を敏感に映す非農業部門の雇用者数は、前月に比べ14万2千人増えました。増加幅は市場予測の平均値(22万5千人)を下回り、8カ月ぶりの低水準でした。失業率は6.1%で、前月より0.1ポイント下落。予想は下回ったものの、米国の雇用回復傾向に大きな変化はないとの見方が、市場では大勢です。

 

雇用者数の増加幅は米国で労働市場の回復の目安といわれる20万人を7カ月ぶりに割り込みました。7月の数字は速報値の20万9千人から21万2千人に上方修正され、6月は29万8千人から26万7千人に下方修正されました。

 

8月の雇用者数は業種別で、教育・医療サービスや建設業が底堅い伸びを示しました。一方、小売りなどが落ち込み、製造業も横ばいにとどまりました。

 

失業率は前月比0.1ポイント低下の6.1%と市場の想定通りに改善し、米国でほぼ完全雇用状態とされる5%台前半に来年春にも到達するペースにも見え、金利上昇が意識されてはいます。

 

雇用者増加数も1~8月の月平均でみると21万5千人と雇用回復の目安である「20万人」を上回ります。こうした状況を踏まえ、市場関係者のあいだでは「来年前半に利上げ時期を前倒しする」との見方もくすぶります。

 

しかし実は、米国の非農業部門雇用増加数は急減中なのです。米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長も、『最近の雇用者数の増加や失業率の低下など「量」の回復は「過大評価されている」』と指摘して来ました。実際、非農業部門の雇用者増加数は、2014年6月から8月にかけて、ほぼ半減しました。

 

FRB(米連邦準備理事会)は政策金利引き上げの可否を、雇用の質量を最重視して判断していますので、米国の低金利が延長される可能性も、意識すべきでしょう。その結果、米国の株式やREIT・ハイ・イールド債などの各種金融商品や新興国の通貨・株式などは、今後も当面高値圏で推移する可能性が高まりそうです。

労働経済が得意なイエレン議長は、明暗入り混じる雇用統計をにらみながら、できるだけ低金利政策を維持して、最大限の雇用創出につなげたい思いをにじませています。その上今後、FRBと市場参加者が最も神経をとがらせることになりそうな指標が、平均時給の動きです。

金融危機後、時給の前年比上昇率は1%台後半から2%台前半の低水準で推移して来ました。賃金の上昇加速は歓迎すべき事ですが、将来のインフレと金利上昇も連想させます。

 

米国を本当に理解する鍵は、格差社会(貧富の格差)の拡大です。

FRBが9月4日公表した家計調査によると、米経済は2007〜09年のリセッション(景気後退)から回復傾向を強めるなか、貧富の格差が更に拡大中なのです。

 

2013年の所得上位10%の世帯のインフレ調整後の税引き前平均所得は10年と比べ10%増加したのに対し、所得下位40%の所得は減少しました。中所得層は、ほとんど変化がありませんでした。特に深刻なのは、上位3~10%の富裕層への、所得と富の圧倒的な集中ぶりです。

 

上位3%の層の所得が全体に占める比率は、10年の27.7%から13年には30.5%に上昇し、所得下位90%の層では、低下しました。

持ち家層や非ヒスパニック系白人、大学卒が世帯主の家計では、13年の平均所得は10年に比べ増加しました。しかし借家層や非白人、ヒスパニック系、中卒者が世帯主の家計の平均所得は減少しています。

 

資産を見ると、米世帯の資産の中間値は10年から2%減少したものの、平均はほぼ変わらずでした。資産面でも格差は拡大中で、保有資産上位3%の層の資産が全体に占める比率は、1989年の44.8%から2013年には何と54.4%に上昇し、下位90%の資産の比率は、33.2%から24.7%に低下しました。

 

株式、自動車、自宅など資産別で見ると、ほとんどで保有比率が低下し、FRBは「さまざまな資産を所有している世帯が少なくなっている事を示している」と述べました。

13年の持ち家世帯比率は約65.2%で、1995年以来の最低水準でした。株式所有世帯比率も低下しているものの、保有資産上位10%の層ではほぼ全員が株式を所有しています。

 

・・・・この様に圧倒的多数の米国人にとって、現在の生活はそれほど楽ではありません。「待遇面を含めた雇用の質量」に特に注目が集まるのは、無理からぬことです。住宅ローンの負担も考えると低金利は多くの米国人にとっては悪い話ではない様に見えますが、銀行預金の金利も低下し、低金利で資産価値が急上昇する米国株や米REITなどを、買いたくても買えない米国人は、いくらでもいます。

 

その気になればじっくりと投資の勉強が出来て、気に入った米国の金融商品も買える私達は、意外と恵まれているのではないでしょうか? もちろん米国の低金利は世界中に波及し、欧州諸国や日本などの財政問題を鎮静化させ、その一方でハイ・イールド債などのハイリスクハイリターンな金融商品の人気を過熱させるなど、メリットも課題もあります。

これらは、「米国人の生活と米国経済、世界経済と投資環境をつなぐ分かり易くて強い関係」だと、私は思います。

 

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今回のブログは、AOIA会員様向けに公開済みの「週刊先読みダイジェスト第49号」の一部を、再編集したものです。以下は、主な内容です。AOIA会員でない方も、AOIAのイベントに参加後には、応相談ですがプレゼントできると思います。

1、欧州中央銀行(ECB)の金融緩和と冷え込む欧州経済

2、インドの経済と株式市場の最新事情 

3、2014年8月の米雇用統計速報値と最近の米国の格差社会から分かる事

※衝撃的な数字が出ます

4、先週のマーケット動向と今後の見通し 米国株は調整近し?

 

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今回は、以上になります。AOIAフェローのDataと小勝負からでした。

 

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