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2014年6月30日(月) 知られざるブラジル経済の現状と今後の見通し(前半)

  • 投稿日:2014年6月30日

こんにちは。AOIAフェローのDataと小勝負です。

今回は、サッカー大国にして経済大国でもあるブラジルを、かなり多様な視点からリアルに確認してみましょう。私自身、ブラジルレアル建てのディスカウント債を今でも持っているだけに、興味深いものがあります。

2014年6月30日(月) 「読めば明日の力になる 個人投資家の世界の経済・金融研究日記」

ワールドカップ目前になって、ブラジルからぱっとしないニュースが、相次ぎました。

工事の遅れやワールドカップ開催に反対するデモに関するものが目立ちますが、懸念は経済全般に広がっています。

しかし、割高な社会保険料や物流費、複雑な税法などによるブラジル・コストと呼ばれる構造問題が存在するにもかかわらず、

同国市場や近隣市場の成長の魅力から、外資参入は実は今でも活発です。今後の見通しやいかに?

イメージとは大きく異なるブラジルの産業構造

サッカー・ワールドカップが開幕し、お祭り気分も高揚して来ました。

日本代表は残念な結果に終わりましたが、それでも試合は着々と進んでいきます。

まるで、現実のブラジルでのビジネスのように。

その高まりとは裏腹に、ブラジル経済が揺れています。

懸念は経済全般に広がり、その典型が経常赤字の拡大や経済成長の鈍化です。

ルセフ大統領が就任した2011年の半ば以降、ブラジルの通貨レアルは下落傾向です。

輸入物価の上昇が加速してインフレが進み、利上げで成長鈍化に拍車が掛かる。

確かに悪循環ではありますが、どれくらい、状況は深刻なのでしょうか?

今後のブラジル経済をどのようにみるべきか?

まず、ブラジル経済の要点を確認しましょう。ブラジルといえば、アマゾン川をはじめ広大な国土に肥沃な農地が広がります。農業国であると同時に、鉄鉱石や石炭をはじめ鉱物資源に恵まれた資源大国というイメージが強い。

しかし、現実の産業構造は、かなり違います。

産業別にGDP(国内総生産)のシェアをみると、一次産業は1割弱、二次産業は2割強で、実に6割強が第三次産業なのです。

三次産業では不動産業やサービス業から、商業や運輸・倉庫業へ、比重が移りつつあります。背景には消費の拡大や国土開発の広がりがあります。

二次産業では製造業から鉱業へのシフトだ。

レアル高や周辺国との取引増加で製品輸入が増える一方、海底油田開発の本格化で鉱業が成長をけん引するー。

ブラジルは2度の石油危機で深刻な経済的ダメージを被ったものの、今日では世界有数の産油国に成長した。

しかし、コストが何かとかかる深海油田がこの国の主な油田なので、それほど儲かってはいないのです。

経常赤字拡大の3つの要因

魅力的なブラジルだが、このところの変調を受け、一部に先行きを慎重視する見方がある。

だが現実は、悪いマクロ経済指標の原因が旺盛な内需である場合も少なくない。

まず経常赤字だ(図表1)。経常収支は2005年の140億ドルをピークに減り始め、08年に▲282億ドルの赤字に転じ、12年の▲542億ドルから13年は▲811億ドルと前年比▲269億ドルも赤字が増えた。主因は3つだ。

第一に旅行支払いの増加だ。

海外旅行者数は、2000年代前半の300万人規模から06年以降増加し始め、12年に812万人に達した。

海外での消費も好調だ。旅行者1人当たりの支出額をみると、2000年代前半まで1000ドル前後だったが、05年以降次第に増え、近年では3000ドル台に達している。

この一因は、物価高のブラジルよりも、外国で物を買った方が、安いからだ。ブラジルの製造業は、相変わらず価格競争力がなく、技術も半端なものが目立つ(航空機業界などは例外の様だが)。

経常赤字拡大の第二の理由は所得支払いだ。

ブラジル経済では、とりわけ消費が強い。かつての貧困層から脱出して日が浅い国民も多いために、抑えが効きにくい。

自動車メーカーをはじめ、主だった欧米企業が競争を繰り広げる。そうしたなか2008年、リーマンショックが起きた。

業績悪化に直面した欧米企業は業績好調なブラジル子会社から本社への利益送金を増やした。

その結果、ブラジルの所得収支は07年までの▲200億ドル台から08年以降▲400億ドル規模に赤字幅が倍増した。

第三は貿易黒字の減少だ。06年の465億ドルをピークにほぼ年を追って減少し、13年は26億ドルまで落ち込んだ。

原因は国内消費にある。例えばコーヒーや砂糖だ。2000年代半ばまでコーヒーや砂糖は外貨を稼ぐ戦略商品だった。

しかし経済が成長して所得が増えてくると、輸出より国内消費が優先され始めた。

加えて、衣類や履物など軽工業品をアジアから、工作機械や電気機械など資本財を米欧から輸入する動きも強まった。

さらに海外旅行ブームの広がりやインターネット取引の普及が、貿易黒字の減少を後押しした。

もっとも中期的視点から海底油田をはじめ資源開発の本格化や設備投資に伴う供給力の増大に照らせば、経常赤字がこのまま拡大を続ける懸念は小さい。

実はスマホ関連産業なども、成長中のようだ。

現在の表面的な数値ばかり気にしていると、実体を見誤りかねない。

需要回復反映し輸出入とも増加へ

経常赤字に次いで、成長鈍化も同様だ。外国企業の利益送金の増加は、資金制約の強まりから事業再投資をはじめ、ブラジル国内での経済活動の抑制に作用しよう。

今年の1~3月には、成長鈍化が一段と強まった。まず近年の実質経済成長率をみると、リーマンショックに直撃されて▲0.3%とマイナス成長に陥った09年を除いて、2000年代後半は6%前後だった。

しかし、11年2.7%、12年1.0%、13年2.5%とペースダウンし、本年1~3月、季調済前期比年率で0.7%と1%割れに陥った(図表2)。

主な需要項目別に本年1~3月の寄与度をみると、民間消費は▲0.4%、固定資本形成が▲1.7%、輸出等は▲1.6%と内外需の3本柱がそろってマイナスだ。

本年1~3月のプラス成長は在庫増が主因だ。意図せざる在庫増は在庫調整を通じて景気下押しに作用する事が多いのだが、下押し圧力は本当にさらに強まるだろうか?

まず輸出数量は2014年4月には一転して前月比8.0%と大幅増だ。

品目別には大豆や肉類の食糧、原油やボーキサイトなどの一次産品に加えて、航空機や電気部品が増加した。

輸出先には、欧米に加え、チリやペルーなど周辺各国、UAEやエジプトなどの中東諸国向けなど、いわば新興国向けが増加した。

貿易相手が多様な事は、安心材料だ。

なお、輸入数量も今年2、3月の大幅減から4月には大幅増に転じた。

輸出増と重ねてみれば需要回復を反映した動きであり、在庫調整に伴う景気下押し圧力を過度に懸念する必要は小さい。

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今回は、以上になります。

次回は知られざるブラジル経済を、更に深掘りします。

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