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2014年2月17日(月)イエレン新議長の議会証言から、何が読み取れるか?

  • 投稿日:2014年2月17日

こんにちは、AOIAフェローの、Dataと小勝負です。

今回のテーマは、先週の大イベントだった「イエレン新FRB議長の議会証言から、何が読み取れるか?」です。今週のAOIA会員様向けのニュースレター「週刊先読みダイジェスト」では、国際的な影響も含めて、より本格的な内容となっています。

2014年2月17日(月) 「読めば明日の力になる 個人投資家の世界の経済・金融研究日記」

米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン新議長は11日、就任後初となる議会証言に臨み、従来の金融政策を維持する考えを世界中に示しました。今回の証言と、FRBが議会に提出した金融政策報告に関して読み取れる事を、いくつか確認してみよう。

1. 単刀直入(手短かで効率重視)

バーナンキ前議長による半期議会証言の原稿は、私の作成するメルマガやニュースレターよろしく、812ページに及ぶことが多かった。

イエレン議長の初めての議会証言はわずか5ページ余りだったが、政策金利上昇の前提条件や懸念すべき国内情勢(雇用問題)などの、いくつかの重要で緊急の問題に直接言及していた。

バーナンキ前議長が主導した政策をイエレン議長も堅持するかについては、「(FRBの)金融政策手法には相当の継続性があるとみていることを強調しておきたい」と述べた。

足元の新興国市場の混乱を懸念しているかについては、「現時点では、こうした動向が米国の経済見通しにとって重大なリスクになるとの認識はない」と語った。

グリーンスパン元議長をはじめとする歴代議長が極めた曖昧さがFRBを支配していた時代は明らかに終わりつつあるのは、良い傾向だ。

そもそも金融政策は、「翻訳文学」ではない。

2. 新議長はハト派

これは周知の事実だが、今回の証言でイエレン議長はハト派との見方が裏付けられた。

つまり、低インフレと高失業率への対策として、低金利の巨額の資金供給を含む金融緩和策を相当重視している。

特に注目すべきは、議長が労働市場の弱さにかなり重きを置いている点で、証言原稿の1ページ目からこの問題が取り上げられている。議長は「労働市場の回復は完全と呼べる状況から程遠い」と指摘している。

米国の失業率は現在6.6%だが、議長は表面的な数字からは分からない状況も踏まえた上で、こうした評価を下した。「失業者のうち6カ月を超える長期失業者の割合は異例なほど大きい」とし、「常勤雇用を望みながら非常勤として働いている人の数は依然として非常に多い」と述べた。

実は米国の雇用情勢は、急速に進むIT化や、高齢期に入りつつあるベビーブーマー世代の影響もあり、景気が多少良くなってもそれほど改善しそうにはないのだ・・・・。

明日の日本の姿かもしれない。

余談だが、米国の低金利長期化の可能性が高まった結果、金価格の底打ち傾向が、強まった。

インドでの金人気減退や昨年よりは高めの米金利もあり、昨年までの様な長期間の持続的な金価格上昇(大相場)は終わったようだが、いつまでも底値が見えずにずるずると値崩れを続ける最悪の事態は、当面は避けられそうだ。

3. フォワードガイダンスの基準変更は見送り

FRBは、短期金利の見通しを示すフォワードガイダンスについて、その変更の是非や方法をめぐり議論を続けている。

2012年12月以降、FRB高官らは利上げを検討する目安として2つの基準値(6.5%の失業率、2.5%のインフレ率)を定めている。12年12月の時点では、いずれかの基準値に達した時点で利上げを検討すると指摘していた。

だが、失業率が低下するにつれ、基準値にそれほどこだわらなくなった。

FRBの高官らは失業率の基準値を6%などへ若干引き下げることを検討している。イエレン議長からこの構想についての言及はなく、議論が全く進展していないことを強くにじませた。

それどころか議長は、失業率が6.5%に達しても、FRBはもっと多様な経済指標を精査した上で利上げ開始時期を判断する方針を、はっきりと示した。つまり先延ばしの可能性ありだ。

4. 新興国市場暴落の責任は否定

FRBは金融政策報告の中で、同行が昨年夏に債券購入策の縮小に言及したことをきっかけに新興国市場に緊張が広がったことを認めている。

だが、「先ごろの今年初めの新興国の通貨や株などの急落や金利上昇はFRBに責任がある」との見方は否定している。FRBは「むしろ、予想を下回る中国の製造業指標、アルゼンチンペソの減価、トルコ当局のリラ買い介入といったマイナスの動きが、新興国市場の混乱再燃を招いた」と指摘した。

イエレン議長は証言で、新興国市場の混乱は差し当たり米経済のリスクとはなっていないようだと述べた。しかし、FRBは金融政策報告で、複数の新興国市場には「経済面や金融面で深刻な脆弱(ぜいじゃく)性がある」と、警告している。

同報告書の29ページに記された脆弱性を示す指数は、トルコ、ブラジル、インド、インドネシア、南アフリカの5カ国が特に脆弱であることを示している。実はこの5カ国の間でも、通貨や株の下落率に格差がある事は、既に先週のAOIA会員様向けのニュースレター「週刊先読みダイジェスト」で、紹介済みだ。

5. 家計資産の改善を好感

FRBの高官らは、家計資産、とりわけ住宅市場の回復に心強さを感じている。金融政策報告の13ページには、自宅の価値が住宅ローン残高を下回っている家計の割合は8分の1と、2年前の4分の1から低下したと指摘されている。この結果、FRBの低金利政策はさらに強力になる可能性がある。同報告は「自宅の価値がローン残高を上回っている所有者に対しては、銀行はローンの借り換えにより積極的になる」と指摘している。

ただし、米家計資産のうち不動産の割合は3割程度と、中国の半分程度に過ぎない。

ご興味ある方は、最近のAOIAフェイスブックをご参照されたい。こちらの方も次第に、不動産関連のコンテンツが充実しつつある。

米国では自宅くらいしかまとまった資産が無い多数派の国民と、合計すると住宅よりも経済的価値がある金融資産の軽く過半数を有する上位1~2割の富裕層の間の経済格差が激化し、これは企業経営層の政治への過度の影響力行使も含めて、米政治を大きく歪めている事は、米国では公然の秘密だ。

果たして米国と中国のどちらがより深刻な格差社会なのだろうか?

意外とこれは、難問だ。

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ここで、耳寄りなお知らせがあります。

今月と来月は、AOIAシニアフェローでもある角川総一氏が、昨年よりも更に身近で分かり易く使える内容の講義を、してくれます。

「本当の初心者にも基礎から分かり易く教えたい」との本人の希望も反映した内容となっていると思いますので、ご期待ください。

「これから始める経済記事の読み方教室」

日時:第1回2014年02月20日(木) 19:00 ~ 21:00

日時:第2回2014年03月20日(木) 19:00 ~ 21:00

会場:どちらもAOIA虎ノ門セミナールーム

角川総一氏は、こういった人です。

金融評論家
金融データシステム代表取締役
1990年から2009年までの間、日本初の投資信託データベースを管理・運営するかたわら、各種雑誌、新聞、ラジオなどで金融マネー評論、講演を行っている。
経済企画庁(現 内閣府)、日本銀行をはじめ、金融機関、諸団体などでセミナー講師として活躍中。

詳しくは、こちらをどうぞ。

http://argo-navi.net/mielca_aoia/PublicSeminar.aspx?gId=1&sId=1&eId=968

お申し込み、お問い合わせ先は、こちらです。info@aoia.co.jp

今回は、以上になります。

【※】当ブログ記事は、AOIA株式会社のスタッフが個人的予測に基づき作成した資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。当資料は、飽く迄もAOIA株式会社のスタッフが個人的予測に基づき作成した資料であり、その正確性・完全性を保証するものではありません。当資料中に記載している内容、数値、図表、意見等は資料作成時点のものであり、今後予告なく変更することがあります。当資料中のいかなる内容も将来の投資収益を示唆ないし保証するものではありません。当資料をもとにお客様が金融商品取引行為を行われた場合、金利、通貨の価値、金融商品市場における相場その他の指標に係る変動を直接の原因として生じる利益あるいは損失は、すべてお客様に帰属します。


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