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2014年1月10日(金) 中国経済の減速が続きそうな「分かりやすい理由」とは?

  • 投稿日:2014年1月10日

こんにちは、AOIAフェローのDataと小勝負です。昨年は中国経済をテーマにした双子の大型メルマガを書きましたが、中国経済に関する割と重要なニュースがまたありましたのでご紹介します。

2014年1月10日(金) 「読めば明日の力になる 個人投資家の世界の経済・金融研究日記」

3億4000万人もの高齢者を抱える国がどんな国か、想像してほしい。

これが20年も経たないうちに中国が直面する現実だ。その時には定年退職を迎えた人の数は現在の2倍まで急増する。中国に関する数字は何でも巨大だが、急増する年金債務に関してはあらゆる数字の中でこの高齢者数が最も重要と言えそうだ。

中国は2009年以降、公的年金制度に大急ぎで5億人を加入させた。10年間で国民全員の加入を目指している。政府は「セーフティネット(社会的安全網)を設けて、安心して国民に支出を増やしてもらおう」という経済学的に健全な考え方に基づき、加入者を増やそうと努めてはいる。

上手くいけば消費支出が増加し、借金による設備投資に依存せずに成長を追求できるだろう。確かに方向性は間違ってはいないのだが・・・・・。

政府財政への負担が増す事で、中国政府が進める経済モデルは制約を受けるかも知れない。中国の中央政府の債務は国内総生産(GDP)比で約20%と少なく見えるが、これには金額が正確に分かっていない巨額の地方政府の債務や国有の企業や銀行の債務、年金の原資不足は含まれていない。バークレイズの推計では、年金の資金不足はGDPの35%にも上るとみられている。

投資の期待収益と人口増の変動を考慮に入れると、資金不足はさらに大きいと考える学者もいるくらいだ。

あれこれ足して行くと中国政府の債務の国内総生産(GDP)比は、100%を超えている可能性がある。昨年中国の中央政府が各地方自治体に対し、「極力、正確な債務状況を報告するように」との強い指示を出したのも、もっともな事だ。彼ら自身も多少なりとも、気になって来ているのだろう。

そうなると問題は、「約束した年金をどのように支払うか」である。中国の人口が難しいのは、すぐに年を取る、ということだ。

一人っ子政策が導入され、人口増加期はすでに終わった。その結果、先進国と比べて、開発段階のごく早い段階で労働力が減少することになった。


中国の生産年齢人口は2012年に345万人も減少した。中国の生産年齢人口が減少するのはこれが初めてで、今後は悪化の一途をたどる事が予想されている。

現在、全人口の70%近くが労働可能とされている生産年齢人口で、60歳を超える人の割合は全人口の14%に過ぎない。

つまり現在は、現役世代5人が1人の年金生活者を支えている事になる。2030年には2.5人で1人を、2050年には1.6人で1を支えると、予想されている。果たして資金は持つのだろうか??


中国に年金積立金が十分にあるならそれは問題にならない。しかし、中国は米国や欧州の年金制度を苦しめた日本と同じ賦課方式を年金制度に採用し、働き手の拠出金から高齢者の年金を払っている。上海社会科学院の左学金氏によると、これが原因で「空口座」現象が生じたという。

空口座現象とは労働者個人の年金口座の90%が今の退職者への支払いに使われていた問題を指す。つまり、多数派の現役世代にとっては、本格的に始まったばかりの中国の年金制度は、明らかに「払い損」なのだ。


一人っ子政策を緩和しても問題は解決できそうにない。出産が増えて労働力が増加するまでに、最低でも16年以上はかかる。しかも、中国の出生率(現在1.6人)が急速に上昇するかは疑わしい。タイは中国と同程度の開発段階にあり、家族の人数に制限はないが、出生率は中国と変わらない。韓国、日本、シンガポールの出生率はさらに低い。

しかも困った事に中国が中途半端に豊かになった結果、低賃金の単純作業の多くはより低賃金のASEAN諸国に流出し、都市開発などで土地を失った農民の多くは再就職できず、失業者のままなのだ。当然ながら中国の高齢者の学歴や職業スキルは、中国の相場で見ても決して高くはない。彼らに労働を強制しても、実はそれほど受け皿が無いのだ。


問題解決に役立つ政策もある。昨年11月に開かれた中国共産党の第18期中央委員会第3回全体会議(3中全会)では国有企業に対し、国庫への納付金の支払い額を倍増させるよう指示する計画を打ち出した。また、国有企業は株を政府の年金に拠出することも求められる。中国ではほとんどの金融資産がなんらかの形で銀行の金利に縛られているため、銀行の預金金利の一部自由化によって、年金の投資収益が上昇することが予想される。

今後は徐々に定年の引き上げも行われるとみられ、中国は世界基準にさらに近づく(現在の定年は50歳から55歳の間で、性別や職業によって異なる)。経済協力開発機構(OECD)域内の定年は平均で男性が64歳、女性が63歳だ。地方政府が管理する年金が全国規模で一元化されれば、労働者が住所を移しても受給権を維持する事が出来る様になるが、まだ先の話だ。

中央政府が財源を確保したとしても、実は約束した年金が受け取れると国民に説得する仕事の方が難しい。中国では1990年代の市場改革で、絶対に割れない「鉄の茶碗」のように安定していると言われた福利厚生制度が失われたため、国民は政府に対して疑い深い。


結果的に、国民は政府の年金制度への自発的な拠出を控え、その代わりに不動産や銀行預金に資金を回し、不動産バブルを支えた。一部には民間の保険商品を購入する人もいた。年金制度の改善策に効果がなければ、こうした産業が利益を手にし続けるだろう。

この様に今後の中国は、少子高齢化と人口減少、仕事に要求されるスキルや知識・経験のレベルアップ、年金制度の資金難が、同時並行的に進む。当然ながら国民の生活防衛意識は次第に強まり、消費の伸びは中途半端に終わるだろう。私は5年後に中国の経済成長率が年率5%まで落ちても、もはや驚かない。

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今回は、以上になります。

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