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2013年3月13日(水) 見かけほど好調ではないダウ工業株30種平均と米国経済(上)

  • 投稿日:2013年3月13日

こんにちは。今日も淡々とマーケットのデータと会話を続けている、Dataと小勝負です。

今回は、一見大ニュースの「最高値を更新したダウ工業株30種平均(NYダウ)」の正体について、ご一緒に考えてみましょう。

「読めば資産形成の力になる 個人投資家の世界の経済・金融研究日記」 by Dataと小勝負(AOIAフェロー)

2013年3月6日の日経夕刊1面には、以下の見出しが躍っていました。

「NY株5年ぶり最高値 1万4,253ドル 景況感の回復鮮明 緩和策が支え」

「3月5日のニューヨーク株式市場でダウ工業株30種平均が大幅に続伸し、2007年10月9日の過去最高値を、約5年5カ月ぶりに更新した。金融緩和によるカネ余りの観測が強まり、米景気の本格回復への期待も株価上昇を支えた。米株式市場は08年9月のリーマン・ショックに端を発した金融危機の停滞から脱却し、未踏の領域に入る。」

・・・・一見正しいのですが、日本とは違い毎年のように物価が上昇を続けている米国では、株価も名目値で考えると、厳密にいえば間違いです。

終値は前日より125ドル95セント(0.9%)高い1万4,253ドル77セント。米景気の先行指数とされる「米非製造業の景況感指数」が約1年ぶりの水準まで上昇した事も、好材料でした。増税やガソリン高の逆風下でも、「内需主導の景気回復の持続が裏付けられた」(英RBS)との見方が広がったのです。

欧州をはじめ世界景気には先行き不安も確かにありますが、その中で米経済は相対的に底堅く、久しぶりにけん引するのは住宅市場の回復です。代表的な指標であるS&Pケース・シラー住宅価格指数は、2012年通年で約7%高と6年ぶりにプラスに転じました。

・・・・住宅市場が失速気味のカナダと違い、米国の住宅市場は回復傾向で、一応「今が旬」といっても良さそうな状況です。

新型資源の「シェールガス革命」による米製造業の国内回帰といった追い風も吹いています。「ダウ平均最高値達成」の原動力には、「米国にはチャンスがあふれている」(米著名投資家のウォーレン・バフェット氏)といった、楽観論の存在があります。

年明けからは安全資産である国債から株式に資金が移動する「グレートローテーション(大転換)」も、日本と同様に徐々に本格化しています。現金や国債を通常よりも多く保有していた投資家が、運用利回り欲しさに、再びリスクを取り始めているのです。

ダウ平均を構成するわずか30銘柄の株価を前回の最高値(2007年10月)の時点と比べると、ホームセンター大手ホーム・デポ(2倍強)や小売り大手ウォルマート・ストアーズ(63%高)など、内需の拡大に恩恵を受ける銘柄が好調です。IBM(75%高)やコカ・コーラ(34%高)など新興国で着実に稼ぐグローバル企業も上位に入り、米企業の国際競争力の高さも映し出しています。一般的に日本企業よりも米企業の方が利益率が高い点も、好材料です。

やや意外ですが、欧州よりは相当財務が良好とされる金融機関の株価は、出遅れが目立ちます。住宅ローン関連の収益は確かに回復していますが、金融規制の強化や一般に思われているよりもはるかに巨大な資産などの懸念材料が、実は多いのです。米主要500社の業種別株価指数を見ると、「一般消費財」や「IT(情報技術)」はダウが前回最高値を付けた2007年10月の水準を、上回ります。これに対し「金融」は、いまだに当時の半値にとどまるのです。

ダウ平均は2000年1月の最高値を付けた後、ITバブルの崩壊に直面。2006年10月に再び最高値を回復するまで、約6年9カ月もかかりました。今回の金融危機でも、(名目上の)最高値回復までかかった期間は、5年5カ月に上ります。「100年に1度」とも言われた金融危機からの脱却は、緩和マネーの存在抜きには語れません。

最近もバーナンキFRB議長らが、低金利でお金が借りやすくなる金融緩和の長期化について、繰り返し前向きな発言を続けています。欧州中央銀行(ECB)や日銀も金融緩和で足並みをそろえた状況で、米企業収益の改善というプラス材料が重なり、株高を演出する構図です。

ではなぜ、私が手放しで喜んでいないのでしょうか?

それは、意外と限られた米国株の買い手という構造的な問題と、中途半端な米国の景気があります。次回はそれについて、考えてみます。

今回は、以上になります。

【※】当ブログ記事は、AOIA 株式会社のスタッフが個人的予測に基づき作成した資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。当資料は、あくまでもAOIA株式会社のスタッフが個人的予測に基づき作成した資料であり、その正確性・完全性を保証するものではありません。当資料中に記載している内容、数値、図表、意見等は資料作成時点のものであり、今後予告なく変更することがあります。当資料中のいかなる内容も将来の投資収益を示唆ないし保証するものではありません。当資料をもとにお客様が金融商品取引行為を行われた場合、金利、通貨の価値、金融商品市場における相場その他の指標に係る変動を直接の原因として生じる利益あるいは損失は、すべてお客様に帰属します。


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