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2013年1月25日(金) 巨大国営企業群が主導する中国の正体(下)

  • 投稿日:2013年1月25日

こんにちは、Dataと小勝負です。今回は前回の続きで、私が好きな中国ネタの最新情報を、ご紹介します。中国の中産階級の正体が分かれば、中国社会の特異な姿も分かります。ちなみに国民の貧富の格差を表すジニ係数は、中国の場合政府の発表ではありませんが、0.61との調査結果もあります。ジニ係数は最小が0で最大が1で、0.40あたりを超えると「格差が大きすぎる」と、国内外の批判が急増する傾向があります。なかなか不平等な社会ですが、「中産階級」の正体はどのような人たちなのでしょうか・・・?

「読めば資産形成の力になる 個人投資家の世界の経済・金融研究日記」

2013年1月25日(金) by Dataと小勝負(AOIAコラムニスト)

国有企業のみが勝者となる・・・

江―朱体制が胡錦濤―温体制に引き継がれると、従来とは形を変えた国有企業の跋扈(ばっこ)が始まった。胡―温体制は経済成長を加速し実績を上げるために、政府のインフラ建設とともに、国有企業による投資を積極的に利用したからだ。

鉄鋼、アルミ、石油、化学、自動車、鉱業などの分野で国有企業による大型投資が成長率を押し上げる効果を発揮し、国有企業の設備に合った需要を生む為に、内需刺激策が繰り出された。

オフィスビルや高層の集合住宅など不動産ブームは政府自らが盛り上げたもので、大手国有企業は利益積み増しのため、不動産投機に熱中した。実際、儲かる時は結構儲かった。鉄道部による長大な新路線建設や高速鉄道の着工は政府の思惑と合致し、一気に加速した。工商銀行、建設銀行などは鉄道部や不動産デベロッパーに資金を貸し込み、預貸利ざやが約束された規制金利体制のもとで、巨額利益をあげた。

共産党と国有企業が「党企複合体」として成長路線を推し進め、人類史の中でも稀な高成長を長期間実現した。国も成長したが、国有企業はそれ以上に巨大化し、力を握った。そうした国有企業の跋扈(ばっこ)を示す一例が、一部の国有企業の待遇の良さだ。〇五年あたりから大手国有企業の給与は急上昇を続けた。ほとんど公開されることはないが、国有商業銀行やCNPCなどの石油、中国電信、中国移動などの通信など、市場を独占する国有企業の管理職層の年収は、同業の日本企業と実はほとんど同じ水準に達している。日本の大手企業の管理職の年収が年々縮小していることもあるが、中国では巨額利益をもとに国有企業がお手盛りで給与を引き上げているからだ。

そうした大手国有企業のホワイトカラーこそ、この数年、日本企業が(潜在)顧客として必死に追いかけ続けている中国の中流層であり、数千万円の高層マンションに住み、マイカーを持ち、ゴルフを楽しみ、家族で日本や米欧へ旅行に出かけられる人々である。中国の工場労働者の賃金も上がってはいるが、大手国有企業のホワイトカラー層は労働者の二十倍、三十倍といった収入を得ているのだ。

中国で旺盛な消費をする中流層が台頭したからくりは、独占的な国有企業にあるといって間違いないだろう。言い換えると、中国の不動産ブームも自動車ブームも、巨大な内需に支えられた大工業化も、国内の深刻な格差社会によって成長が強引に促進された面が、実はかなり強い。

先進国では民間企業が競争のなかで成長し利益を拡大することで、社員の給与水準を引き上げ、豊かになっていく。運とタイミングも確かに大事だが、誰にでも勝者になるチャンスが多少なりともあり、それがモチベーション(動機)となって人々は必死に働き、企業は成長する。

だが、現在の中国は国有企業が圧倒的に有利で、民間企業の成長余地は十年前よりも格段に狭まっている。国有企業が政治を動かし、自らに有利な政策に誘導するほか、好業績をあげる有力な民間企業を政治力で乗っ取るケースさえ続発している。いわゆる「国進民退」である。

その結果、今では中国の国内総生産(GDP)の五〇%超が国有企業、及びその関連企業によって生み出されている状況だ。

実際、2012年12月29日の日本経済新聞朝刊投資・財務面の記事「伊藤忠商事・岡藤正広社長 8000億円投資、非資源に3分の2」には、以下の記述まであった。

――中国事業で先行してきた商社として、中国景気をどうみていますか。

「高成長神話は崩れたが、景気減速は一時的なもの。人口も増えるだろうし、市場は拡大し続けるだろう。日本企業にとってリスクは重厚長大のインフラ産業。国策と密接に絡むがゆえに、国営企業が優先されがちな側面がある。当社の中国事業はアパレルや食料など生活消費関連が中心で比較的リスクは少ない

・・・・確かに国営企業優先のお国柄と言ってよいだろう。だが、その限界も見えてきた。

追い上げる途上国が産業を骨抜きに

確かにアジアの多くの国は現在の中国と同様に政治と企業が結びつき、成長を加速させる開発独裁期を経験している。フィリピンのマルコス政権、インドネシアのスハルト政権、韓国の朴正熙政権などがその典型例だ。日本ではかつての自民党の長期政権がその役割を果たしたとの説もある。

中国の共産党一党支配体制も同じく党による開発独裁といえるが、今や国家資本主義に転化し、計画経済時代以上に国有企業が力を持つ状況になった。重要なのは経済水準が向上すると国民の意識も高まって、民主化要求が強まり、それが政治体制改革につながり、経済の民主化も進み、国有企業の力が低下するというメカニズムが働くことだ。中国の場合、このプロセスを共産党が食い止めているといわざるを得ない。

実際、ネットを含めた各種メディアと当局の間の報道を巡る争いは、激しいものになって来ている。政府当局にとっては、民主化こそ共産党の基盤を崩すものだからだ。一方で中産階級の主力が政府と半ば一体化した国有企業という事もあり社会の民主化は緩やかにしか進まず、良くも悪くも「安定重視の堅実経営」が続くと、私は見ている。

このまま国有企業の跋扈(ばっこ)が続けば、中国はグローバル市場で戦えるハイレベルな技術力・デザイン力などによって武装された企業をそれほどは増やせず、低賃金を武器に後ろから追い上げる途上国に、産業を骨抜きにされて行くだろう。実際、繊維産業や玩具産業などでは、空洞化の傾向が見え始めている。個人消費のカギを握る中流層の拡大や所得の向上も期待したほどには望めず、内需型成長もいずれ色あせていくだろう。

実際、中国の経済成長率は、順調に低下中だ。「今年は働き盛りの労働力人口が減少に転じ、本当の出生率は1.5を割っているのでは?」との見方まで有力視されているのが現状だ。

私達は中国経済の主力である国有企業の動きを、慎重に見守る必要がある。

以下は、中国の経済成長率の推移を示すグラフだ。

出所:世界経済のネタ帳 出典: IMF – World Economic Outlook Databases(2012年10月版)

http://ecodb.net/country/CN/imf_growth.html

中国国内で今でも都市開発などのインフラ投資が活発な事もあり、かつての2ケタ成長は困難とはいえ、当面は年率7%くらいの経済成長率は維持できる可能性が高い。以前ほどではないだろうが、ささやかな資源ブームが起こる可能性もあり、私は注目している。ただし、周囲の期待感が強過ぎれば、中途半端なバブルとその後始末にいずれ直面する事もありそうだ。この巨大国家は影響力が飛び抜けていて内部事情がやや特異な事もあり、今後も要チェックの重要国であり続けるだろう。

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