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2013年1月21日(月) ASEAN諸国の経済・社会と中国との間の微妙な関係とは?

  • 投稿日:2013年1月21日

こんにちは、Dataと小勝負です。今回は、日本では意外と知られていない、ASEAN内部の中国社会とASEAN諸国、そして中国の間の関係について、お話します。実は結構奥が深く、今後の投資を考える際にも重要な情報なのです。

「読めば資産形成の力になる 個人投資家の世界の経済・金融研究日記」

2013年1月21日(月) by Dataと小勝負(AOIAコラムニスト)

膨張を続ける東南アジア華人経済は、各国で摩擦の種に・・・

突然ですがあなたに、ASEAN諸国に関する重要な質問を、させていただきます。あなたは外国に住んでいる中国人の事を、一般的にどの様に呼んでいるか、ご存知ですか?「確か華僑といったかな? でも華人も聞いたような気が・・・どう違うんだ?」 お恥ずかしながら、少し前まで私も華僑と華人の区別が出来ていませんでした。正解は・・・

華人と華僑は確かに似ていますが、定義は明らかに異なります。華人は滞在国の国籍を有していますが、華僑は中国籍のまま外国で暮らす人たちの事です。両者を合わせると全世界で四千万から五千万人はいるとされ、事実上の「見えない国」を作っているといってもよいほどの、規模と実力を誇っています。全世界の華僑、華人の実に八割が、東南アジアに集中しています。

という事は・・・巨大国家中国は世界有数の成長エリアのASEAN諸国に対しても、相当影響力があるという事になりそうですね。

確かに中国(人)は近年、中東や遠くアフリカにまで触手を伸ばす様になっていますが、多くの場合は出稼ぎです。そして中国からの投資が増えている東南アジアにも、「第二の華僑」と呼ぶべき大陸からの大勢の出稼ぎ労働者が、静かに着実に現在も押し寄せているのです。

東南アジアでは現地に帰化しているケースが多く、華人と呼ぶのが正確です。国によって数や国民に占める割合は異なりますが、多くの国で華人は経済の主役であり続けて来た事は、ご存じの通りです。ここに来て華人経済がこれまで以上に膨張し、各国で摩擦の種になっています。

対中国取引に介在する

二〇一〇年一月一日に、東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国の自由貿易協定(FTA)が発効してから、すでに三年が経ちました。各国の対中貿易や中国からの直接投資は、増加を続けています。対中経済活動が活発になるにつれて、そこに介在する華人が潤う仕組みです。

華人企業が改めて存在感を増しているのがインドネシアです。以前から「五%の華人が八〇%の経済を独占する」と言われてきたこの国に、石炭などの資源が大量に欲しい中国は、特に興味を示しています。

最近では同国のカリマンタン島やスラウェシ島へ、手を伸ばしています。東カリマンタン州では、上海の企業グループが石炭資源開発と中国への輸出を目指して、パイプ作りに動いています。

二〇一二年十一月、インドネシアのヒダヤット工業相は劉建超インドネシア駐在大使と、中国企業によるこのエリアでの大規模工業団地開発について協議しました。

カリマンタン島やスラウェシ島には、石炭以外にもニッケルや鉄鉱石が眠っている上に、他の場所と比べて欧米や日本が本格的に進出していません。ここに中国側は目をつけています。

また、最近乗り込んでくる中国企業の多くが、新指導部を発足させた習近平総書記につながる人脈を持つという状況で、インドネシア側にとっても、無視できない存在です。

ここで問題となるのは、インドネシア国民の感情です。近年の中国企業による開発は環境への配慮が不充分で、労働者も中国から連れてくるケースが多く、インドネシア側の反感を買って来ました。

そこで最近は中国カラーを弱めるために、ンドネシアにある華人財閥を通すなどの「きめ細かい対策」を、実行しています。

二〇一二年十二月から始まった南スマトラ州の石炭火力発電所建設のケースでは、中国開発銀行が三兆一千八百億ルピア(約二百七十億円)を投資する予定です。開発銀行は、この資金を華人系企業グループ傘下の企業を通じて、融資しています。

こうした「巧妙な方法を使い始めた」(ジャカルタのコンサルティング会社幹部)中国に対して、インドネシア政府内部では、警戒と歓迎の声が入り乱れています。

一九九七年のアジア通貨危機では、インドネシアの青年の不満が華人に向けられました。経済成長を続けている現在も、特に好調な華人経済への不満を溜め込んでいます。外国からは見えにくい、この国の大きな課題の一つです。

東南アジア域内で中国との貿易が最も多いマレーシアの場合、インドネシアより対立の構造が更に複雑です。二千九百万人弱とインドネシアの十分の一程度の総人口のうち、およそ三割を華人が占め、経済力はそれよりも相当強大です。総人口の約六割がマレー系のため、常に緊張関係にあります。

マレーシアの国別の輸出入額でも、中国は一位を占めます。貿易額は一一年度に九百億ドルを超え同国の対中依存度は高く、景気も中国に大きく左右されます。首都クアラルンプールの中規模商社経営者はこう語ります。「中国との取引は、華人系商社に牛耳られている。我々マレー系はおこぼれにあずかる程度だ。」

マレーシアではマレー系優遇政策(ブミプトラ)が、長年続いて来ました。近年これがマレー系住民を堕落させているとして、見直しが求められて来ました。国民の一割を占めるインド系住民の不満も溜まっていて、一二年春には大規模な抗議行動があり、けが人も出ました。

マレーシアと言うと「安定成長」を連想する日本人は多いと思いますが、この国の数少ない深刻な課題は民族間・政党間の緊張関係で、選挙などの状況によっては時には本当に為替や株価も動き、投資家の収益にも意外と影響力を発揮します。この課題は、実はタイにも言えます。

ジレンマに陥るタイなどのアジア新興国

「タイでは中国人の目立つ行動が政治対立に繋がる・・・」バンコクの現地紙記者はこう危惧しています。タイ国内の華人は、何と約一千万人に達します。マレーシアより国民に占める割合は少ないものの、人数では最大といわれています。中国に近く古くから中国人の侵入が続いて来たタイでは、国民の七割を占めるタイ族にも中国人の血が入っています。華人に分類されないタイ人の多くが漢字の中国名を持つ事が、その証しです。こうした「華人系住民」は一般に都市部に居住し、東南アジアの血が濃いタイ族は地方農村部に多く、この国の「都市と農村の経済格差による多様な問題」は、実は「民族間の格差問題」とも言える時があるのです。

経済の中枢部は案の定、華人と華人系が押さえています。非華人系国民は増加する中国との貿易による利益が少なく、不満がたまっています。タイのインラック首相は昨春北京を訪れて、温家宝首相と会談し、両国の貿易額を二〇一五年までに一千億ドルにまで拡大する目標で、合意しました。

「これはインラック首相にとって諸刃の剣だ・・・」

前出記者はこう語ります。近年吹き荒れた、赤シャツ(タクシン派)、黄シャツ(反タクシン派)の対立は、地方と都市の衝突でした。そしてタクシン派と呼ばれた赤シャツ隊の多くは、実は地方の農民でした。彼らはインラック首相の兄であるタクシン元首相の、バラまきに近い地方振興策を支持していたのです。この記者は「再び格差を拡大させれば、空港機能を麻痺させた大衝突が再来する」と危惧しています。

ほかの東南アジア諸国でも、似たような構図は存在します。最近の中国経済の減速は、対立を和らげる効果はあるかも知れません。しかし、中国の失速は、明らかに自国経済の減速に直結します。一見好調で株価高騰にも沸く東南アジア経済は、実はジレンマに陥っているのです。

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今回は、以上になります。

次回から中国経済の意外な実像について考えます。国有企業がキーワードです。

【※】当ブログ記事は、AOIA 株式会社のスタッフが個人的予測に基づき作成した資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。当資料は、あくまでもAOIA株式会社のスタッフが個人的予測に基づき作成した資料であり、その正確性・完全性を保証するものではありません。当資料中に記載している内容、数値、図表、意見等は資料作成時点のものであり、今後予告なく変更することがあります。当資料中のいかなる内容も将来の投資収益を示唆ないし保証するものではありません。当資料をもとにお客様が金融商品取引行為を行われた場合、金利、通貨の価値、金融商品市場における相場その他の指標に係る変動を直接の原因として生じる利益あるいは損失は、すべてお客様に帰属します。


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