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2012年9月24日(月) QE3(量的緩和第3弾)発動で、果たして米国経済は加速するのか?(中)

  • 投稿日:2012年9月24日
「読めば資産形成の力になる 個人投資家の世界の経済・金融研究日記」
2012年9月24日(月)by Dataと小勝負(AOIAアナリスト)

こんにちは。Dataと小勝負です。日本人に生まれた事が私にとって最高に幸せだったかどうかはまだ分かりませんが、少なくても雇用面では、日本の方が米国よりも恵まれてはいるようです。
今回の米国の金融緩和措置(QE3(量的緩和第3弾))の背中を押したのは、雇用情勢が改善しなかったことです(8月の雇用統計で、非農業部門の就業者数が前月比9万6000人増にとどまり、市場予想の13万人を大幅に下回りました)。
注目されるのは、「労働市場の先行きに十分な改善が見られるまで、適切な手段を取る」とされた事ですが、それには最低でも毎月平均15万人以上の雇用の増加が必要で、結構高めのハードルです。QE2では物価上昇率が問題とされましたが、今度は「雇用」という実体経済の指標が目標にされたことになります。
しかし、バーナンキFRB議長自身も、「金融政策は万能でない」と認めていて、前途はそれほど楽観できません。始めたからには止めたくても止められない状況に陥る可能性を、私は既に予想しています。
アメリカの雇用が伸びず、賃金所得が増えていないのは事実です。しかしそれは、新興国の工業化という世界規模の競争条件の変化によるものと、考えられています。そのため金融政策でこの問題を解決できないのは、半ば当然とも言えそうです。そして、金融緩和は世界的な投機資金の新たな流れを引き起こし、世界経済の波乱要因にもなりかねません。
実はアメリカの企業利益は、結構伸びていました
アメリカで金融緩和が行なわれるのは、雇用情勢が改善しないからです。では、アメリカ経済は、全体的に落ち込んでいるのかというと、実はまだら模様です。
参考資料のグラフ
ダイヤモンドオンラインの「QE3は何の効果もなく、世界経済を混乱させる」
執筆者は、私も注目している野口悠紀雄氏 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]です。
確かに2008年のリーマン・ショックによる経済危機の発生で、アメリカの実質GDPは落ち込み、2009年の上半期に最悪期になりました。しかし、その後順調に回復し、11年第3四半期には、ほぼ経済危機前のピーク(07年第4四半期、08年第2四半期)の水準を取り戻しているのです。そして、12年第2四半期では、経済危機前のピークより1.8%程度高い水準になっています。

インフレ分を加えた名目値の国内総生産(GDP)で見ると、米国が経済危機前のピーク水準(08年第2四半期)を取り戻したのは、10年の第2四半期です。そして、12年第2四半期には、08年第2四半期の8.3%増となっているのです。注意すべき点は、日本と違い米国は人口増加が続き、国民一人あたりの実質的な経済成長率は、近年は日本と大差がないという、意外な事実です。
結局、米国のGDPを丁寧に観察すると、伸びているのは企業部門だと、分かります。

米国内企業の利益は確かに、08年第4四半期に大きく落ち込みました。しかし、10年第1四半期にはすでに経済危機前の水準を取り戻しました。そして、12年第2四半期には、07年第2四半期より18.8%も多くなっているのです。
参考資料は、こちらをどうぞ。http://diamond.jp/articles/-/25012?page=3
金融危機で大きな打撃を受けた金融業の利益も、12年の水準は07年第2四半期より12.9%も多いのです。アメリカ財務省は、保有するAIG株の売却で、金融危機時に投入した公的資金を全額回収できると発表し、黒字に終わる可能性さえあります。
金融以外の産業では、12年の企業利益は07年第2四半期より24.5%もの増加ぶりです。
このように、企業利益は、名目GDPよりかなり高い伸び率で成長を続けているのです。これを反映して株価も伸びていて、諸外国と比べても相対的には好調です。
個別企業を見れば、さらに急速な利益増を実現している企業があります。アップルはその代表で、利益の増加に伴って株価も上昇しています。アップルを含むIT産業や日用品関連の銘柄などは、株価・配当共に比較的好調な銘柄が多く、米国でも人気です。
では米国経済に特に問題はないのでしょうか? 実は決してそうではありません。
雇用という大問題は依然として深刻で、今後の米国の政治・経済を大きく左右し得ます。

次回の最終回では、この点を中心に、考えてみます。
今回は、以上になります。

【※】当ブログ記事は、AOIA 株式会社のスタッフが個人的予測に基づき作成した資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。当資料は、飽く迄もAOIA株式会社のスタッフが個人的予測に基づき作成した資料であり、その正確性・完全性を保証するものではありません。当資料中に記載している内容、数値、図表、意見等は資料作成時点のものであり、今後予告なく変更することがあります。当資料中のいかなる内容も将来の投資収益を示唆ないし保証するものではありません。当資料をもとにお客様が金融商品取引行為を行われた場合、金利、通貨の価値、金融商品市場における相場その他の指標に係る変動を直接の原因として生じる利益あるいは損失は、すべてお客様に帰属します。

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