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2012年9月17日(月) 今後も意外と堅調な展開が予想される豪州経済と豪ドル、その理由とは?

  • 投稿日:2012年9月17日

「読めば資産形成の力になる 個人投資家の世界の経済・金融研究日記」
2012年9月17日(月)by Dataと小勝負(AOIAアナリスト)

こんにちは。以前豪州に9か月間語学留学した、Dataと小勝負です。
今回は、資産形成・運用の大切なお供の、豪ドルについて考えてみます。

幸いな事にどうやら今後の見通しも、数年単位で考えれば、そう悪くはなさそうです。
主な根拠は、以下2点です。
1、確かに中国経済減速の影響もあり鉄鉱石と石炭の輸出額は減少中ですが、今後はLNG(液化天然ガス)関連産業が急拡大して輸出額は一定水準を保てそうです。
2、国債格付けが今でも最高水準の数少ない先進国豪州の通貨豪ドルは、各国の外貨準備の仲間入りを果たし、需給関係が一昔前とは比べ物にならないほど改善されています。そう簡単に1豪ドル70円台前半の水準までは、下落しそうにはありません。

以下は、過去5年間の豪ドル相場の推移です。米ドルやブラジルレアルより安定傾向です。
背景にはもちろん、中国向けの鉄鉱石や石炭などの巨額の輸出がありました。
出所:米ゴールドマン・サックスアセット・マネジメントのホームページ
http://www.kabumap.com/servlets/Query?SRC=gsam/chart

確かに従来のオーストラリア経済は、資源ブームとその崩壊を繰り返して来ました。
その主因は資源需要の落ち込みや価格下落というよりも、むしろ交易条件(輸出品価格と輸入品価格の交換比率)の向上で国内に資金があふれかえり、消費ブームがインフレを招いたためです。
例えば、1970年代末の資源ブームの際はインフレ率が12%を突破。金利は17%に達し、抑えられなくなった高インフレが、経済を台無しにしました。
幸い、今回はインフレ進行の気配がなく、過去のサイクルとは状況が異なる様です。
豪州は7年間に及ぶ現在の景気拡大局面で経済規模が60%拡大したのに対し、年間インフレ率は豪州中央銀行が目標水準の下限としている2%を、下回っています。
しかも、豪経済は過去21年にわたりリセッション(景気後退)を経験しておらず、世界的な金融危機に見舞われた際にも景気後退を回避できた、唯一の先進国なのです。
人口は世界で52位ですが、国内総生産(GDP)の規模は今年、スペインを抜いて世界12位に浮上すると予想されているほど、豊かな国です。
こうした恵まれた環境を生んだ主な理由は、豪ドル高です。豪ドル高は輸入品の価格を押し下げ、鉱山以外の産業の発展を抑制して来ました。
柔軟な労働市場も賃金の抑制に寄与したほか、世界的な金融危機も過剰消費を食い止め、貯蓄を促す要因となっています。
豪州中央銀行総裁は8月に議会で、「景気低迷に陥ることはないだろう」との楽観的な見方を示しています。
今後の豪州経済の主役は、生産が急増中のLNG(液化天然ガス)です。
資源ブームは数段階を経て、何年もの間、拡大を続けます。今回は2005年に起きた交易条件の上昇(≒資源等の輸出品価格の上昇)が、資源産業への投資に火をつけました。
その第1段階は、交易条件が約150年ぶり高水準に達した2011年第3・四半期にピークを付けました。交易条件は10年間に倍増した後に10%下落しましたが、それでも歴史的に見れば依然としてかなり高水準にあります。
第2段階となる投資ブームは2007年に始まりました。現在は確かに鉱山会社が投資を抑制傾向ですが、まだ今後数年間はブームが続く見通しです。
現在進行している、あるいは発表されている投資プロジェクトは合計実に2,700億豪ドルにも上り、投資がピークを迎えるのは2013年あるいは2014年になる模様です。
投資プロジェクトのうち約1,800億豪ドル分が、伸び盛りの液化天然ガス(LNG)向けである事も、追い風となりそうです。
LNGは日本や韓国が大口の買い手で、鉄鉱石の様に中国の需要に過度に依存している訳ではありません。しかも、LNGの大半は長期買い取り契約での販売で、最長数十年に及ぶ長期的な安定収入が見込まれています。
豪政府の予測によると、LNG輸出は2020年までに現在の5倍に拡大し、鉄鉱石と並ぶ貴重な輸出品になるとの事です。
その一方で、中国の影響で鉄鉱石価格は、急落です・・・・
もちろん、全てが理想通りに進む訳ではありません。豪州最大の輸出品である鉄鉱石の価格は、7月初め以降3分の1以上も急落し、3年ぶり安値となる1トン約87ドルにまで落ち込み、豪州の鉱山会社に大きな衝撃を与えています。
現在の価格水準が続けば、年間600億豪ドルを超えていた鉄鉱石輸出額は、少なくとも200億豪ドルは押し下げられる見通しです。
それは国全体の名目GDPにも影響を与え、一時は年間8%以上に達していた豪州の名目GDP伸び率は、今年第2・四半期までにわずか3.2%にまで鈍化しました。
2012年第3・四半期も交易条件の急速な低下が続いた場合は、残念ながら名目GDPもマイナス成長に終わる可能性があります。
しかし、その後の経済成長率と輸出動向を、私はそれほど悲観してはおりません。
主な理由はもちろん、資源部門の次の主役のLNG(液化天然ガス)関連産業が急拡大している事です。日本企業も含めて、その開発ラッシュは相当な規模と勢いです。
豪ドル相場についてもそれほど悲観する必要はなさそうです。
何と言っても豪州は国債格付けが今でも最高水準で国家債務が少ない先進国です。レア物で比較的高金利な豪州国債は外国人投資家の間でも大人気で、豪ドルは各国の外貨準備の仲間入りを果たし、需給関係が一昔前とは比べ物にならないほど改善されています。
今後は確かに数か月前後の間、豪州経済がマイナス成長に落ちる可能性はありますが、年間成長率はなかなかマイナスとはならず、豪ドル相場も世界規模の金融・経済危機でもなければ、1豪ドル70円台前半まではそう簡単には下がりそうにはありません。
基本的にボックス圏内で相場が上下する豪ドルは、あなたの資産形成・運用には、比較的有用な存在であり続ける可能性は、少なくても当面は高そうです。
今回は、以上になります。
今後も、一般的なイメージとは一味違う、世界の経済や産業に関するブログも量産する予定ですので、お楽しみに。
【※】当ブログ記事は、AOIA 株式会社のスタッフが個人的予測に基づき作成した資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。当資料は、飽く迄もAOIA株式会社のスタッフが個人的予測に基づき作成した資料であり、その正確性・完全性を保証するものではありません。当資料中に記載している内容、数値、図表、意見等は資料作成時点のものであり、今後予告なく変更することがあります。当資料中のいかなる内容も将来の投資収益を示唆ないし保証するものではありません。当資料をもとにお客様が金融商品取引行為を行われた場合、金利、通貨の価値、金融商品市場における相場その他の指標に係る変動を直接の原因として生じる利益あるいは損失は、すべてお客様に帰属します。

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