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英国のアキレスけんの、南欧諸国の意外なもろさとは 下 最近の英国・欧州の経済情勢と英ポンド・英国債の今後のリスクについて その2

  • 投稿日:2012年8月23日

「読めば明日の力になる 個人投資家の世界の経済・金融研究日記」

最近の英国・欧州の経済情勢と英ポンド・英国債の今後のリスクについて

その2 英国のアキレスけんの、南欧諸国の意外なもろさとは 下

2012824日(金)by Dataと小勝負(AOIAアナリスト)

こんにちは。Dataと小勝負です。今回もサクサクと、南欧諸国の意外なもろさと、欧州中央銀行(ECB)を含めたユーロ圏の各政策当局の動向を追いながら、来月に予想される傾向を、ご一緒に考えてみましょう。

ユーロ危機は今後数年以上続くだろうというのが、金融業界関係者の多数派の予想です。

そしてそれが、いずれ英国経済とポンドの為替レート、英国債にも悪影響を与える可能性は、決して低くはありません。次回以降のブログでは、それについて取り上げる予定です。

まずは、ギリシャからです。

2012年8月17日のブルームバーグニュースによると、ギリシャの政府債務は6月末時点で3,035億ユーロ(約30兆円)に達しました。3月末時点の2,803億ユーロよりも、確実に悪化しています。

現金準備額は驚くべき事に6月末で35億ユーロしかなく、3月末の44億ユーロを下回りました。2012年の経済成長率は何と、マイナス7%の見通しです。この調子だと、政府が電気代さえ払えなくなるのは、時間の問題でしょう・・・・。

案の定、世界の金融市場では、ギリシャがユーロから脱退(脱落)するとの予想をする者が、既に多数派です。現在も、ギリシャの10年物国債の金利は、25%近くで高止まりしていますが、これはそれほどリスクが高い事を意味しています。

次に、スペインです。

米格付け会社ムーディーズは6月25日に、大手のサンタンデール銀行やBBVAを含むスペインの主要金融機関28社の長期債務格付けなどを、それぞれ1~4段階引き下げたと発表しました。13日にスペイン国債の格付けを3段階引き下げた事を、反映しています。

スペイン政府は25日に、欧州連合(EU)のユーロ圏諸国に銀行部門への支援を正式に申請したばかりですが、市場では不安が今でもくすぶり続けています。

その主な原因は、国内不動産バブルの崩壊と、スペインの銀行くらいしか現在ハイリスクとされるスペイン国債を買わなくなった為です。スペイン国内銀行の融資全体に占める不良債権の比率は6月には9.42%まで上昇し、データが公表されている1962年以降では最悪の水準です。

もしスペイン政府がスペインの銀行を資金面で支援すると、今度はスペイン政府の財政不安が高まり、7%近くまで上昇した国債金利が再上昇しかねず、その結果スペイン国債の価格が下落すれば、今度はそれを大量保有するスペイン政府と英国の銀行に、多大な経済的損失を与えかねません。既に現実は、それほど複雑で厄介な状況です。

国民の支持率低下に苦しむラホイ首相によると「(欧州中央銀行(ECB)のスペイン国債購入を含めて)まだ何も決定していない」と慎重な姿勢で、今に至るも前進していない有様です。

スペインが国債購入を要請すれば、マーケット(金融市場)は、「次はイタリア」と連想

するでしょう。そうした飛び火を防ぐのは難しいのが現状です。

更に、イタリアはどうでしょうか?

2012年7月13日の日経夕刊総合2面には、以下の見出しがありました。

『ムーディーズ、イタリア国債格下げ 「経済の悪化続く」 』

米格付け会社のムーディーズによると、イタリアの長期債務格付けを「A3(シングルAマイナスに相当)」から、投資適格の格付けの中では下から2番目の「Baa2(トリプルB)」に、2段階引き下げしました。格付け見通しは引き続き「ネガティブ(弱含み)」です。スペインに続く格下げで、欧州債務問題が再燃する可能性が出て来ました。

ムーディーズは格下げの理由について「ユーロ圏が直面しているリスクと(マイナス成長などの)イタリア経済の悪化が続いている」為だと、指摘しています。

確かに、借入金利上昇による利払い負担の増大に苦しむ民間企業が、目立ちます。

さらにイタリアの債務は高水準のままで、2012年から13年にかけての借り換え需要は巨額であることから、「流動性リスクが高まっている」との事です。

南部シチリア州のデフォルト(債務不履行)懸念が強まっているほか、主要都市ナポリも7月末に格下げされたなど、中央政府に加えて地方自治体の財政問題が深刻化しています。

モンティ政権は景気に配慮して今年10月に予定していた付加価値税(VAT)の引き上げを先送りしました。これもじわじわと、悪い意味で効いてくるかもしれません。

ポルトガルの状況は、どうなっているのでしょうか?

「ポルトガル国債、依然として追加支援の必要性を織り込んだ(金利)水準」

2012年 08月16日のロイターのニュースによりますと、ポルトガルの借り入れコストは確かに大幅に低下しましたが、国債の価格と金利から判断すると依然として、追加支援策回避を疑う投資家の姿勢が、読み取れます。

10年債利回りは依然、長期的に財政が持続不可能とみなされる17%超で、5年物国債の利回りも、下がったとはいえ8%台です。アナリストは、「計画通り来年市場に復帰するのは困難で、追加支援が必要になる」と見ています。

経済は財政緊縮策により、1970年代以降で最も深刻なリセッション(景気後退)に陥っています。

以下は、欧州中央銀行(ECB)を含めたユーロ圏の各政策当局の動向です。

一方で、欧州連合(EU)の行政執行機関の欧州委員会の対応は、心細いものがあります。

ベイリー報道官は、「ユーロ圏の分裂や緊急時に備えた計画、ギリシャの離脱、その他」ユーロ離脱が絡む「いかなる計画にも欧州委は取り組んでいない」と強調しました(!)。

欧州中央銀行(ECB)は7月5日に、政策金利である市場調節金利を0.25%引き下げ、過去最低の0.75とする事を、決めました。2008年初めのおよそ4%からは、見事な急落ぶりです。超低金利政策により、後退局面に入ったユーロ圏経済を支えるつもりです。

7月 25日には、大手格付け会社のムーディーズによって、欧州政府債務問題解決の主役のひとつの欧州金融安定基金(EFSF)の長期格付け見通しが、「ネガティブ」に変更されてしまいました。格付けは暫定的に「(P)Aaa」としています。

ムーディーズはその理由ついて、EFSFを支えている最高格付け「Aaa」のドイツ、オランダ、ルクセンブルクの格付け見通しを「ネガティブ」とした措置を受けたものだと説明しています。結局、共通通貨ユーロを使う以上は、一部の国の問題は、他の国や公的機関の信用状況の悪化につながるという事です。

最近では、ユーロ圏では究極の安全資産と言われたドイツ国債までもが、売却の動きが目立ち始めています。という事は、米ドルは相対的には下がりにくいという事でしょう。

ユーロ圏の6月の失業率は横ばいの11.2%で、統計上比較可能な1995年以降で最悪の水準が続いています。失業率が最も高かったのはスペインの24.8%です・・・! これでは当分家は売れません。不動産バブル崩壊の後始末には、相当長い時間がかかりそうです。

9月はユーロの値動きからは、目が離せません。

欧州中央銀行(ECB)による、スペイン国債などの新たな債券購入プログラム、スペインの財政・金融支援要請の有無や要請する場合のタイミング、ギリシャへの次回融資をめぐる動向など、影響が読み切れないイベントが、山積みだからです。

現在の欧州債務問題の最大の火薬庫のスペインとイタリアでは、信用不安から両国の国債が値崩れを起こし、財政が行き詰まりかねない状況が続いています。市場参加者は当然ながら、ECBによる即時、無条件、無制限の国債買い入れを期待していますが、EU最大規模の経済力を誇るドイツの国民は、負担増を懸念し、こうした動きには大反対です。

9月12日にはドイツ憲法裁判所が欧州安定メカニズム(ESM)について合憲か判断を下す他、オランダでは総選挙までもが実施される予定です。これで何も起こらなかったら、むしろ不自然かもしれません。

その一方で、財政危機に陥った欧州連合(EU)加盟国を支援する欧州安定メカニズム(ESM)が、2012年9月にやっと発足します。

ユーロ相場が9月以降に再度変動するリスクは、一応考えておいた方が良いと思います。ギリシャやスペインなどの動向によっては、世界の株価も動くかもしれません。

今回は、以上になります。

次回からいよいよ、英国を中心に、話を進めます。

次回作は、明日(825日)に投稿の予定です。

【※】当ブログ記事は、AOIA 株式会社のスタッフが個人的予測に基づき作成した資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。当資料は、飽く迄もAOIA株式会社のスタッフが個人的予測に基づき作成した資料であり、その正確性・完全性を保証するものではありません。当資料中に記載している内容、数値、図表、意見等は資料作成時点のものであり、今後予告なく変更することがあります。当資料中のいかなる内容も将来の投資収益を示唆ないし保証するものではありません。当資料をもとにお客様が金融商品取引行為を行われた場合、金利、通貨の価値、金融商品市場における相場その他の指標に係る変動を直接の原因として生じる利益あるいは損失は、すべてお客様に帰属します。


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