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英国のアキレスけんの、南欧諸国の意外なもろさとは 上 最近の英国・欧州の経済情勢と英ポンド・英国債の今後のリスクについて その1

  • 投稿日:2012年8月23日

「読めば明日の力になる 個人投資家の世界の経済・金融研究日記」

最近の英国・欧州の経済情勢と英ポンド・英国債の今後のリスクについて

その1 英国のアキレスけんの、南欧諸国の意外なもろさとは 上

2012823日(木)by Dataと小勝負(AOIAアナリスト)

こんにちは。Dataと小勝負です。日本人選手も英国人選手も大活躍したオリンピックは、あなたも楽しめましたか?各メディアでなかなか好評だったところを見ると、英国民もホストとして大奮闘してくれたようですね。

懸念されたテロや交通機関の大混乱はなく、北京五輪で19個だった英国の金メダル獲得数は、29個へと大躍進しました。

今月の弊社AOIAのスタッフ通信で確か、「オリンピック開催国であるにもかかわらず、英国経済の現状は意外と厳しい」との説明があったと思います。3四半期連続で景気が後退し、製造業の空洞化が進行中なので、不思議ではありませんが、もしかしたら弊社代表の中田裕氏が入れ知恵したのかもしれませんね。

しかし、こちらはなり立てとはいえ一応アナリストです。負ける訳には行きません。

英国と欧州の経済や金融などについて本格的に書くのは今回が初めてですが、それなりに準備も整って来たので、初挑戦させていただきます。

今回から何回かに分けて、知られざる英国経済とポンド、英国債のリスクについて、最近の欧州経済の動向とセットで一緒に考えてみましょう。振り出しは、一見何の変哲もなさそうな日経朝刊の記事です。

2012729日の日経朝刊総合・経済面に「南欧債務不履行でも影響限定的 国内外銀、互いに与信少なく」という名前の、つい見過ごしがちなそれほど大きくはない記事がありましたが、英国経済の弱点を、的確に指摘していました。

日経新聞の課題として、記事名と本質的な内容が少なからず食い違っている事がありますが、今回もそうでした。以下は、記事の特に気になった部分です。

グラフ南欧諸国が債務不履行した場合の影響 国内総生産(GDP)への押し下げ(縮小)圧力」

日本は2.6%で米国も4.8%と影響は比較的軽微ですが、欧州連合(EU)の大黒柱のドイツはおよそ9%、ベルギーは20%弱、英国は何と23%も国内総生産(GDP)が縮小するリスクがあります。

その理由は、英国銀行による南欧諸国への与信額の巨額さです。

では、南欧諸国の最近の状況は、一体どうなっているのでしょうか?なかなか厳しいものがあります。これだけでも、今後の英国経済については、疑問符が付きます。

欧州主要国の2011年の財政赤字のGDP比は、ギリシャはおよそ9%、スペインは8%強、フランスも約5%、ポルトガルとイタリアは日本よりは一見相当ましな4%程度です。

ところが、20123月末時点の政府債務残高のGDP比で見ると、南欧諸国はより厳しい評価となります。ギリシャは約130%、イタリアは約120%、ポルトガルとアイルランドは110%位、スペインは独仏よりもましな80%超で、ユーロ圏全体の平均値と大差なしです。

経常収支や成長率などを加味すると、南欧諸国の厳しさが、より明確になります。

割と有名な話ですが、経常収支が赤字の国は、国内資金だけだと国債の消化(購入)が危ういと警戒され、国債格付けの急落や金利上昇などの、経済・財政・金融面の混乱が起こりがちです。南欧諸国の置かれた状況は、確かに厳しいものがあります。

今年の初めに巨額で急拡大を続ける日本国債や日本政府の財政の苦しさなどがにわかに注目された背景には、最近の貿易赤字の定着傾向で、いずれ日本の経常収支も赤字となり、「日本国債の購入資金が底をつくのでは?」との不安感がありました。

しかも、南欧諸国を中心としたユーロ圏の失業率は、今後急上昇すると見られています。

言うまでもありませんが、失業者は生活防衛のために消費を切り詰めがちなため、その国の景気は更に悪化しがちです。

国際労働機関(ILO)は11日、欧州債務危機が一段と悪化して景気後退が続いた場合、2012年4月時点で11.0%のユーロ圏の失業率が14年に17.3%まで上昇する可能性があるとする報告書を発表しました。特にギリシャやスペイン、ポルトガル、イタリアなどの重債務国の失業率は16.3%から25.2%に急上昇しかねないとして、各国政府に雇用対策の強化を求めています。

これも、貿易・投資・金融面を通じて、英国経済に打撃を与えかねません。

こうした厳しい状況下、ギリシャに続いて、アイルランド、ポルトガル、キプロスが欧州連合(EU)に対して金融支援を要請していますが、スペインは銀行部門に限った支援を要請しただけで、手遅れにならないか気掛かりです。

今回は、以上になります。

次回投稿は明日(824日)を予定しています。

南欧諸国各国の厳しい状況や欧州中央銀行(ECB)を含めたユーロ圏各方面の政策当局などの動きを追いながら、来月に向けて予想されている動きを、ご一緒に確認してみましょう。

【※】当ブログ記事は、AOIA 株式会社のスタッフが個人的予測に基づき作成した資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。当資料は、飽く迄もAOIA株式会社のスタッフが個人的予測に基づき作成した資料であり、その正確性・完全性を保証するものではありません。当資料中に記載している内容、数値、図表、意見等は資料作成時点のものであり、今後予告なく変更することがあります。当資料中のいかなる内容も将来の投資収益を示唆ないし保証するものではありません。当資料をもとにお客様が金融商品取引行為を行われた場合、金利、通貨の価値、金融商品市場における相場その他の指標に係る変動を直接の原因として生じる利益あるいは損失は、すべてお客様に帰属します。


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