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2012年12月19日(水) 知られざるエネルギー・投資大国ノルウェーの素顔とは?

  • 投稿日:2012年12月19日

こんにちは、Dataと小勝負です。今回は、日本をしのぐ富裕国で国家の格付けも最高ランクの北欧の国、ノルウェーの素顔についてご紹介します。この国は確かに恵まれた点も数多くありますが、面積の割に人口が少な過ぎる弱点もあります。ノルウェーの人達がどの様にして、現在の豊かで周りからも高く評価される国造りをして来たかを見れば、高値で安定しやすい通貨も、ある程度までは見当がつく様になると思います。やるべき事を前倒しで淡々と続けている、行動力がある国の様です。

「読めば資産形成の力になる 個人投資家の世界の経済・金融研究日記」

by Dataと小勝負(AOIAアナリスト)

ノルウェーが財政黒字の最大の理由は、資源に頼り過ぎない国づくりの成果です。

ノルウェー経済は今でも好調で、財政や金融の豊かさは、驚くほどのものがあります。ユーロ圏の近隣諸国が歳出削減と不景気であえぐ中、今年もGDP比で11%超もの財政黒字の見通しです。原油高が追い風とはいえ、将来を見越した計画的な国づくりが成果を挙げているのは、間違いない様です。資源利用から政治、人口、社会政策の隅々まで日本とは好対照な「ノルウェー・モデル」から、私達が学ぶべき点は結構あるようです。

ノルウェーの通貨クローネ(NOK)も、日本円に対して強含みです。

以下のグラフはロイターニュースの為替レート表示機能を使い、筆者が作成。URLは

http://jp.reuters.com/investing/currencies/quote?srcAmt=1.0&srcCurr=NOK&destCurr=JPY

常に「脱石油」をにらむ

ノルウェー石油エネルギー省は今夏、空前のにぎわいを見せました。北海油田の掘削許可申請が過去最高の47件に達し、業界から「ゴールド・ラッシュ」と言われているほどです。北海油田全体では減産が続いていますが、同省の当局者は相当量の資源が眠っていることが相次いで判明した。各社の関心の高さは当然だ」と言っています。

石油業界の関係者は、「スーパーメジャー(巨大国際石油会社)がそろい踏みした。既存の油田でコストが安いのも魅力。向こう数年間は、投資の記録更新が続くでしょうと、言います原油輸出で世界第7位、天然ガス輸出で同2位の資源大国は、当面安泰の様です。好調な石油部門に引っ張られて、税収も増えています。ノルウェーの財政黒字は2000年から昨年までの12年間の平均でも、何とGDPの13.4%に達し、かつての中東産油国を思わせる金満ぶりです。

ノルウェーの強さは、資源国でありながらそれに依存せず、常に「脱石油」をにらんで先手を打って動き続けて来たことにあります。「石油が『天の恵み』であるのは確かに間違いありませんが、国民はいつか無くなることも、よく知っています。私たちは、資源に頼らずにどう暮らしていくかを考え続けています」と、ノルウェーの外交官は言います。目指したのは、石油・天然ガスの富を将来のために出来るだけ蓄え、資源以外の分野での競争力を強める「ノルウェー・モデル」でした。

国が6割を所有する石油会社の「スタトイル」は、上流の資源開発から下流の精製・販売まで行い、世界屈指の競争力と技術力を維持しています。他の産油国では未だに実現が困難な、強力な非石油部門の産業も育っています。電話会社「テレノール」を筆頭とした通信・インターネット業界に加え、金融や海運も強力です。漁業ではサバやサケを、美食で知られる日本市場に売り込んでいるのは、結構有名な話ですね。

「石油に頼らない」という精神は電力業界でも同じです。産油国ノルウェーは、険しい地形と豊富な水を活かした水力発電で、国内電力の99%を自給しています。水力発電の絶対量でも世界第6位の、水力発電大国でもあります。

この結果、石油・天然ガスの利益の多くは、政府系投資ファンドのノルウェー政府年金基金に回されます。1996年にわずか3億ドルで始まったものが、今や6,000億ドル以上の巨大基金に急成長しました。約460万人の総人口で割ると、何と円換算で一人当たり1,000万円を超えます。・・・ちなみに日本の場合は真逆で、一人あたりの政府債務(政府の借金)は、そろそろ1,000万円を超えます。老後のお金は自分でも用意しないと、後が大変です。医療も介護もお住まいのリフォームも、ただではありません。

ギリシャやスペインなど財政難のユーロ圏にとっては垂涎の的ですが、ここまで急拡大できたのも、日本とは対照的に歴代政権が厳しい財政規律を課して、基金を取り崩さなかったためです。

北海油田の別の産油国の英国では、石油収入を次第に使い切ってしまっています。英国の歳出は2003年にGDP比でおよそ42%でしたが、現在はほぼ50%にまで増加しました。この間、ノルウェーは対照的に48%から40%にまで減らしているのです。

湾岸産油国の場合、石油収入と政府財政、王室の支出が混然一体のどんぶり勘定となり、浪費に消えるお金もあります。今や湾岸産油国のどの国も、「アラブの春」で権利意識に目覚めた国民をなだめるため、政府の支出が急増中です。驚くべき事に原油高の現在でさえ、財政赤字傾向なのです。

原油価格の急落は国家財政上なかなか飲めない条件で、今後の産油量も原油価格次第でそれなりに「調整」されると考えるのが、自然でしょう。

それらの国々とは対照的にノルウェーが着々と国富を増やせるのは、政府の政策、年金基金の運用、石油会社のコーポレート・ガバナンス(≒企業運営)に至るまで、高い透明性を維持している為です。ノルウェーで勤務したある外交官は、「高官に会って話を聞こうとすると、『ホームページを見て』と言われた。馬鹿にされている様な気がしたが、実際に大抵の情報はネットで公開されている。それ以上の情報も、電話で簡単に教えてくれたと話しています。年金基金を運用する「NBIM」のホームページでは、刻々と変わる資産量がリアルタイムで表示され、その投資先や収支の詳細も、簡単に入手できます。仕組み上、無責任な流用や粉飾は極めて困難なのです。

出生率回復と女性の活用

もう一つの強みは、少ない人口のフル活用です。ノルウェーも1970~1980年代には、出生率が落ち込みました。出生率回復と女性の活用が国家的課題となり、1989年に「家族問題」専門の省(現在の子ども・平等省)が創設されました。働く女性に、いかに出産・子育てに適した環境を作れるかを試行錯誤した結果、1984年に1.66まで下がった一人の女性が一生の間に産む子供の数を表す合計特殊出生率は、1.90前後にまで回復しました。

高福祉・高負担、女性取締役の義務化といった、ビジネスへの政治の介入。これらは米共和党関係者と支持者・富裕層に代表されるアメリカの自由放任主義者にとって、経済に負担をかける要素が目立ちます。しかし現実には、石油資源のないスウェーデンなど他の北欧諸国も、ノルウェーと類似のシステムをとりながら、なおかつ高い競争力を維持しています。どうやら高いレベルでの財政規律の維持、社会の透明性の維持向上、女性の社会参加は、先進国の成長に有効なカギの様です。

あなたが気になるいくつかの国の中で、こうした仕組みで上手く行っている所がありましたら、その国は長期的に見ても有望かも知れません。時にはこうした「国を選ぶ」視点から海外投資を考えてみるのも、面白くて有効かと思います。

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無料ガイダンスも、あります。

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今回は、以上になります。

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