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2012年10月22日(月) 大人気のクアラルンプールへの不動産投資ブームを、どう考えるか?(上)

  • 投稿日:2012年10月22日

「読めば資産形成の力になる 個人投資家の世界の経済・金融研究日記」

2012年10月22日(月) by Dataと小勝負(AOIAアナリスト)

こんにちは。Dataと小勝負です。近頃日本はすっかり秋めいてきましたね。太陽の温もりがそろそろ恋しくなり始める頃ですので、今回は常夏の国マレーシアの首都クアラルンプールの不動産ブームについて、ご一緒に考えてみましょう。

マレーシアの首都のクアラルンプールと隣接州のスランゴール州は、相変わらず住宅への投資が活発で、近頃は日本人も弾丸ツアーなどに参加して小まめにマンションなどを買うようになって来ていますが、やや気になる情報もあります。

マレーシア国家不動産情報センター(NAPIC)によると、クアラルンプールの不動産価格は2008年から2011年の4年間に23%上昇しました。マレーシア全国では14%の上昇なので、全国平均に比べて9ポイント高い上昇幅を記録した事に、なります。

消費者物価指数は同期間で6%程度の上昇にとどまっているため、住宅需要の増加によって住宅価格の上昇が引き起こされていると、いえます。マレーシアの人口ピラミッドをみると、高齢者が少なく若年層が多い、典型的な富士山型です。確かに需要量は期待できそうです。

いずれにせよ、全体的な価格の上昇率は、それほど高くはありません。

マレーシアの魅力の一つはこの安定感ですが、不動産市場にも概ね当てはまりそうです。

1980年から2012年にかけてのマレーシアの実質経済成長率は、以下の通りです。

出所:世界経済のネタ帳 出典: IMF – World Economic Outlook Databases(2012年10月版)

中国の経済・社会の長期的な動向にご関心のある方は、こちらもどうぞ。

半年前に私が書いたものですが、いま読んでもそれほど違和感がありません。

「巨大国家中国の意外な実像と課題、今後の見通しを考える」

http://www.aoia.co.jp/column/archives/1027

一方で、マレーシアの不動産市場は「バブル状況にあるのでは?」との指摘もあります。確かに、クアラルンプール中心部やペナン島などの一部のリゾート地域の高級物件では、過去5年間で20%以上の価格上昇がみられた物件も存在します。

投資意欲を高めた国内外の富裕層の増加に対し、マレーシア人向けの高級不動産に対する需要量には限界があります。一人当たりのGDPをかつては2020年に先進国並みにしたいとの目標を掲げていましたが、現在の目標は2020年に「一人当たり1万5,000ドルの高所得国入りを目指す」と、トーンダウンしています。しかもマレーシア国民間の貧富の格差は、日本より相当激しく、新興国でも比較的大きい方です。高級物件等の価格トレンドの変化には、一定の注意が必要でしょう。

ただし高い価格上昇率を示す物件は高級物件に限られている点、都市部への人口流入・所得上昇・生産年齢人口の増加により都市部の住宅需要が拡大している点を考えると、特に中間層向けの住宅の需給バランスのトレンドが急激に変化する可能性は、低そうです。

価格重視の中間所得層には郊外の戸建住宅が大人気

実際、クアラルンプールの中間所得層は、とりわけ高い価格上昇を示す都心部を避けるように、郊外へと住居を移すことを検討している様です。現在および将来の居住を希望する地域を聞くと、現在は30%が郊外に居住しているが、将来は42%が郊外に居住したいと回答しています。居住を希望する住宅のタイプにも変化が現れており、現在は50%が戸建住宅に居住していますが、将来は75%が戸建住宅に居住したいと回答しています。

・・・・ここで気になるのが、海外不動産投資に熱心な日本人向けに、マレーシアの不動産の購入を勧める業者の方針です。概ね、都心部などの(準)高級高層マンションの販売に熱心な様ですが、需給バランスや価格などが妥当かは、時間をかけて精査する必要がありそうです。基本的にこうした物件は現地富裕層や外資系企業の現地駐在員向けですが、ややニッチで専門性が高いマーケットだけに、現地で「一目ぼれ」して買うようなものではないと、私は考えます。

もともと不動産の世界は極度に地域性が強く、大手多国籍企業でさえ、法律面も含めた新興国などの不動産事情の状況把握と市場シェア向上には、苦戦しているケースが目立ちます。だがそれでも、充分な準備を重ねた人たちには、マレーシアに限らず海外不動産への投資は、挑むべき価値があると、思います。

実際、以下のような気になるニュースがあったばかりです。

「DIC企業年金:英米の不動産投資に関心-日本回復に時間」

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MBO2QN1A74E901.html

2012年10月19日(ブルームバーグ無料版 ※だれでも見れます)

「不動産情報会社IPDジャパンの調査では、海外投資の優位性を示す結果が出ている。不動産への直接投資による収益率(2011年の年間)は米国が14.9%、英国が7.8%。日本の3.3%を大幅に上回った。」

・・・・繰り返しになりますが、英語力や現地の不動産知識、法制度の理解などがある程度のレベルに達した人が挑むべき高額な金融商品だと、私は考えています。実際には、もっと小口でハードルが低い金融商品も、いろいろとあります。

今回は、以上になります。

次回はこのテーマをさらに深堀りし、どのように事前に準備すればよいかもご紹介します。

【※】当ブログ記事は、AOIA 株式会社のスタッフが個人的予測に基づき作成した資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。当資料は、飽く迄もAOIA株式会社のスタッフが個人的予測に基づき作成した資料であり、その正確性・完全性を保証するものではありません。当資料中に記載している内容、数値、図表、意見等は資料作成時点のものであり、今後予告なく変更することがあります。当資料中のいかなる内容も将来の投資収益を示唆ないし保証するものではありません。当資料をもとにお客様が金融商品取引行為を行われた場合、金利、通貨の価値、金融商品市場における相場その他の指標に係る変動を直接の原因として生じる利益あるいは損失は、すべてお客様に帰属します。


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