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2012年9月10日(月) 米原油生産が急増し14年ぶり高水準になった理由とその影響とは?

  • 投稿日:2012年9月10日

「読めば資産形成の力になる 個人投資家の世界の経済・金融研究日記」

2012年9月10日(月)by Dataと小勝負(AOIAアナリスト)

こんにちは。日本の投資信託業界の現状と課題についてのコラム(大型レポート)を、まとめたばかりのDataと小勝負です。あの業界は高コストで中途半端に複雑な金融商品を大増産して来ましたが、やっと改善の動きが見えて来ましたね。

私が特に注目しているのは、比較的低リスクでそれなりに有望な「毎月分配型投信 為替ヘッジ型 債券投資タイプ」が量産され人気商品化したり、投資信託会社が自由に金融商品を設計・運用・宣伝・販売できる「直販型投資信託」が一定の存在感を示したりといった動きです。詳細は、会員向けのコラム(レポート)に、相当詳しく書いています。

今回のブログでは、米国で有名なシェールガス(地中の岩盤層に含まれる新型天然ガス)の生産技術を応用したシェールオイル大増産の理由とその影響について、考えてみようと思います。これらの新エネルギーの開発は、いよいよ本格化・定着化して来ました。

シェールオイルとは油母頁岩(ゆぼけつがん)の事で、これは油母を多く含む岩石です。加熱すると、油の蒸気や可燃性のガス(オイルシェールガス)が発生するので、これを回収すると石油の代わりに使えます。発電用の燃料や暖房目的で直接燃やせ、化学産業の原料として使う事も出来ます。

結論としては、シェールガス・シェールオイル大増産の動きは、原油価格や米ドル相場の安定化に貢献する一方で、核開発を急ぐ産油国イランへの経済制裁の維持強化にもつながりそうです。日本にも深い関係があるこの動きは、止まりそうにはありません。

案の定、米国の純原油輸入量も順調に減少中で、ピーク時より4割近くも減っています。

出所:米国エネルギー省 月次データ

実際、2012年9月5日の日経朝刊国際1面には、興味深い見出しが出ていました。

「米原油生産が急増 シェール油田が後押し、14年ぶり高水準に」

あまり知られていませんが、米国の原油生産量が現在急増中です。米エネルギー情報局(EIA)によると、2008年の500万バレル弱から2012年の生産量は約3割増の日量634万バレルに増え、14年ぶりの高水準になる見通しです。米国の原油生産量は600万バレルを上回るのは、1998年以来の事です。シェールガス大増産でも大活躍中の掘削技術の進歩や原油相場の高止まりを背景に、ノースダコタ州やテキサス州で新型石油「シェールオイル」の生産が増加しているのが主因です。輸入依存度も2005年頃の60%近辺から直近の約42%まで急落し、20年ぶりの低水準となる見込みです。天然ガスから始まった米国の「シェール革命」は、急速に石油にも波及しつつあります。

主要産地ノースダコタ州バッケン油田の生産量だけでも生産量は日量59万バレルと、5年前の31倍まで急増し、OPEC(石油輸出国機構)加盟国のエクアドルを上回っているといえば、その勢いは想像がつくと思います。

その一方で、米国の原油消費量は05年をピークに減少傾向にあります。

原因は、米経済の低迷や自動車の燃費向上、トウモロコシを原料としたエタノール「バイオエタノール」が自動車の燃料として普及した事など、さまざまです。

オバマ政権は当初、太陽光など再生可能エネルギーを重視する「グリーン・ニューディール」政策を進めていましたが、補助金などで支援した太陽電池メーカーなどのクリーン・エネルギー関連企業が相次ぎ破綻。途中から、国内の石油や天然ガスを含む「あらゆるエネルギー資源」の開発を強化する方向に、かじを切りました。

シェールオイルやガスの開発に使われる「水圧破砕(フラッキング)」と呼ばれる採掘方法については、以前から薬品による地下水汚染などの環境問題が、指摘され続けています。

しかし米民主党のオバマ政権は、「安全な開発」を条件に生産拡大を後押しする方針です。核開発を進める産油国イランへの厳しい経済制裁を継続するためにも、原油の自給率向上は、もはや後には引けない国策と言ってもよい状況です。

2012年11月に予定されている米国大統領選で政権交代を目指す共和党のロムニー候補も、国内のエネルギー資源開発の拡大を経済政策の柱の1つに掲げています。どちらが政権を取るにせよ、米国の原油生産は拡大が続く可能性が高いと見て良いでしょう。

その結果、世界的な原油の需給バランスはなかなか悪化せず、原油価格は中東情勢の急変などの予想外の事態が起こらないと、そう簡単には高騰しそうにはありません。米ドル相場にとっては下支え材料となる一方で、日本にとってはこれ以上の貿易収支悪化を食い止める原因ともなりそうですが、産油国ロシアの景気拡大には水を差し、ロシアルーブルはなかなか上昇しないでしょう。まさに影響は世界規模に及びそうな状況です。

今回は、以上になります。

近い内に、シェールガス(地中の岩盤層に含まれる新型天然ガス)について、詳しくご紹介する予定です。基本的な情報から、世界の石油化学産業と日本経済への予想外に大きな影響まで、順を追ってお話ししようと思います。

【※】当ブログ記事は、AOIA 株式会社のスタッフが個人的予測に基づき作成した資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。当資料は、飽く迄もAOIA株式会社のスタッフが個人的予測に基づき作成した資料であり、その正確性・完全性を保証するものではありません。当資料中に記載している内容、数値、図表、意見等は資料作成時点のものであり、今後予告なく変更することがあります。当資料中のいかなる内容も将来の投資収益を示唆ないし保証するものではありません。当資料をもとにお客様が金融商品取引行為を行われた場合、金利、通貨の価値、金融商品市場における相場その他の指標に係る変動を直接の原因として生じる利益あるいは損失は、すべてお客様に帰属します。


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