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AIJ投資顧問問題を考える(1)

  • 投稿日:2012年8月8日

AIJ投資顧問問題を考える(1)

現状とその背景、詐欺会社の見分け方について

by Dataと小勝負(AOIAアナリスト)

2月24日の日経朝刊1面に「AIJ投資顧問に1カ月の業務停止命令=金融担当相」の見出しが出て事件の概要が見え始めた時に、私は今回のコラムのテーマをこれに決めた。この問題の背景には、巨額の政府債務で日本は超低金利を続けるしかないにも関わらず、官民共に特に努力もせずに年金運用で高利回りを求め続けて資金繰りを悪化させて来た問題や、今回の様な詐欺的事件を引起こす業者の見分け方が多数あるのに「見抜くのは難しい」とばかり繰り返す大手マスコミ・業界トップ層などの、多くの課題が潜んでいる。


そして、
今後の私達の投資活動にも、多大なヒントを与えてくれる。以下、ご一緒に考えてみましょう。

今回のコラムの内容は専門性が高いため、「JBプレス」や「ダイヤモンドオンライン」等で発表済のAIJ関連の多数のコラムや記事も参照した。日付後に書かれた注意書きがない情報は、日経新聞の記事から引用した。

■AIJ投資顧問問題とは? 時系列で強制捜査までの要点を再確認しましょう。

2
月24日の閣議後会見で金融担当相は、AIJ投資顧問(以下AIJ)に対し1カ月の業務停止命令と業務改善命令を出したと発表。これを踏まえ、同業となる投資一任業者263社への一斉調査を実施すると述べた。AIJは、年金基金が主要顧客の投資運用業者(投資顧問)で、証券取引等監視委員会の検査で顧客資産が毀損(きそん)している恐れがある事が分かり、投資家保護の観点から行政処分を実施したとしています。毀損額や原因は調査中だとするにとどめました。日経新聞等の記事によると、AIJは長年に渡り、累積利回実績は240%などと顧客に虚偽の情報を提供してきた疑いがあります。

その後、運用していた年金資産の大半を消失させたAIJについて、格付投資情報センターR&I)が2009年発行のニュースレターで、米国の巨額金融詐欺事件になぞらえて、日本のマドフ事件になりかねないと警告していた事が分かりました。驚くべき事に、その1年前にR&Iが実施した年金基金の顧客満足度調査ではAIJが1位となっています。

AIJが不正行為をしていたとすれば、日本の監督機関がそれを察知していた可能性はかなり低い。免許業務で厳しい規制を受けている銀行と違い、投資顧問会社は定期的な検査を受けている訳ではないからです。金融庁によれば、AIJの様な資産運用会社は、1年に1回、規制当局に業務報告の提出が義務付けられています。規制当局が問題の可能性があると判断した場合は聞き取り調査を行えます。AIJではありませんが、自発的に自社業務を監査する資産運用会社もあります。

証券取引等監視委員会の年次監査を2011年3月期の1年間で受けた投資運用会社は15社で、国内投資運用会社合計299社のうち、監査を受けたのは20社に1社という「緩さ」も、今回の事件の一因だと思います。

2月26日に金融庁は、年金資産を運用する投資顧問に加えて、管理する信託銀行の信託勘定で、資産が確実に管理されているかの調査を、週明けから本格化すると発表しました。厚生労働省は、厚生年金基金など企業年金のリスク管理状況を調べます。AIJ同様の問題がないかを点検すると同時に、再発防止等につなげる狙いです。政府は、年金運用の担い手である投資顧問、信託銀行、企業年金を対象に、ずさんな運用が他にないか、包括的に企業年金の実態調査をします。

■3月3日 投資顧問会社とは・・・

投資について助言をしたり、
顧客から預かった資産を自らの裁量で運用したりする資産運用の専門会社。年金資産の運用では、企業年金との間で投資の判断と実行に必要な権限を委託される「投資一任契約」を結ぶ事が多い。日本証券投資顧問業協会によると、2011年9月末の契約資産は146兆円を超す。信託銀行等が年金資産を管理し、投資顧問会社が信託銀行などに運用を指図する形態が一般的だ。

2月28日 AIJは運用開始直後の2002年から損失を出していた事が、証券取引等監視委員会の調査で判明した。運用の失敗を長期間に渡り隠していた事になり、組織ぐるみでの隠ぺいも疑われている。

2月28日 年金消滅88万人影響 2011年度末 AIJ委託1,852億円

厚生労働省発表では2011年3月時点で84基金が資金を委託。これらの基金の加入者と年金受給者の合計は約88万人に上り、今後の年金給付などに影響が出かねない。最も投資割合が高い基金は、全資産の56.9%をAIJに運用委託していた。厚生労働省は厚生年金の運用指針を見直し、リスク管理体制強化を求める。投資先の各資産比率の数値基準の変更は求めず、分散投資の順守状況を把握する方針だ。84基金の内74基金は中小企業などが作る厚生年金基金だ。84基金の加入者合計数は53万9,650人で、これとは別に高齢で既に年金を受け取っている受給者が34万4,299人もいる。・・・今回の事件で損失を出した年金基金とその運用担当者・責任者(理事長や常務理事など)は、一方では確かに事件の被害者ですが、他方では、プロとして当然必要な注意を怠って大きな損失を招いた「加害者」でもある事を自覚する必要があります。

金融関係のマーケティングの常識として、顧客が欲しがる競争力のある金融商品は、営業効率が良い大手顧客に対して先に販売されます。
大手顧客は、AIJを避けたと推測されます。案の定、AIJは年金コンサルがついていない無防備な基金を狙い撃ちにしたフシがあります。

2月29日 AIJへの投資一任契約を結んだ企業年金や事業法人、学校法人は94に上ります。

厚生年金基金が81と全体の約9割を占めており、その大半は中小企業が集まって作る「総合型」だが、大企業の企業年金も11ありました。企業年金連合会によると、総合型の厚生年金のうち年金給付に必要な積立金を持っていた基金は9%だけで、9割強は積立不足です。厚生年金は公的年金の一部を代行運用する為、運用で損失を抱えると、公的年金部分も穴埋めをせねばならず、母体企業の負担も重くなります。

2011
年12月時点でAIJと投資一任契約を結んだ大企業は、アドバンテスト、安川電機、SCSK、富士電機、日本ユニシス、大日本印刷、コスモ石油です。富士電機の委託残高は97.6億円、日本ユニシスのそれは55.6億円に上ります。なぜ、これほどの大企業が引っかかってしまったのでしょうか・・・?

3
月1日 顧客が連絡しようにも、現在AIJとの連絡が全くつかない状態だ。

顧客の中には、120
もの外資系の運輸や金融関連企業でつくる外国運輸金融厚生年金基金(東京・中央)も含まれ、全体の運用額の約1%を投資していた。解約なども現在できず、金融庁の動向を注視するしかない状況だ。

3月2日 AIJの様に自社で運用する投信に顧客の資産を投じる様に指図しても、違法ではない。

3
月2日 企業年金救済に否定的、金融相 自見庄三郎金融相は同日、AIJに運用を委託していた企業年金の公的救済策の必要性について、「基本的には当事者間で協議すべきだ」と否定的な見解を示した。

3月3日 AIJの運用委託が、旧社会保険庁(現日本年金機構)OB(74)の人脈を活かした勧誘で拡大した事が判明した。このOBが経営するコンサルティング会社が、投資顧問会社のAIJと契約を締結。運用経験の乏しい社会保険庁出身者が天下りした先の厚生年金基金に、AIJへの運用委託を勧めた。社会保険庁出身の人脈でAIJの事業が急拡大して行った。このOBによると、AIJで年金を知っている人はほとんどいなかった。

3月5日 袋小路の中小企業年金 国に運用返上できず 利下げ困難

厚生年金基金は
体力不足で代行返上できない中小企業が多く残り、運用利回りの見直しも難しい。35%の基金が代行部分の積立て不足だ。年金給付に必要な積立金のうち代行部分は78%を占め、代行部分の積立不足額は合計6,300億円に上る。厚生労働省は2010年3月末時点で保証利回りを5.5%に設定している529基金が大企業並みの2.5%に引き下げた場合、5兆7,000億円もの負担が生じると試算した。約束した金額に届かない分を、いったん穴埋めする必要があるためだ。529基金の総資産額は15.2兆円なので、穴埋め額は4割弱に達する。

3
月8日 AIJの運用資産は関連会社が評価を改ざんか

AIJ問題で、同社が運用を指示していた私募投資信託の資産評価を、海外の実質的なグループ会社に任せていた事が、判明した。この会社が投資先の資産評価を改ざんし、虚偽の情報を顧客に伝えていた公算が大きい。

運用や資産評価という私募投信の運営に不可欠な中核事業をグループ会社で囲い込み、第三者によるチェックを巧みに排除する仕組みを作り上げていた。
このグループ会社は、英領バージン諸島に設立された「エイム・インベストメント・アドバイザーズ」。浅川和彦社長らAIJの幹部が同社の取締役を兼務し、実質的なグループ会社にしていた。AIJの様にグループ会社に資産評価を任せること自体は違法ではないが、顧客との利益相反を排除したり、第三者の牽制を働かせたりするのが難しい。通常ではありえない仕組みだ。

1997
年に年金運用の資産配分規制が撤廃され、2007年には投資顧問が認可制から登録制になった。こうした自由化は資産運用業を活性化し、年金運用の利回りを高めるのが目的だった。

3月13日 衆議院財政金融委員会の参考人質疑にAIJの浅川和彦社長欠席

証券取引等監視委員会や金融庁への対応で、連日忙殺されているのが理由。

3月13日 AIJの疑惑に関する監視委員会への2005年以降の通報は4

証券取引等監視委員会の情報受付窓口に2005年度以降に4件の情報提供があった。運用の疑惑を指摘した模様。うち3件が匿名で、1件が実名による。2009年2月以降に、監視委員会や金融庁に専門誌「年金情報」からも数回の情報提供があった。一方、海外の証券規制当局からのAIJに関する情報照会はなかった。監視委員会には年間約6,000~7,000件の情報提供があるといい、金融相は情報収集の見直しを表明している。

3月13日 AIJ、受託資産額は1,500億円 2,000億円は水増しされた数字

証券取引等監視委員会の調査で判明。同委員会は、虚偽の安定収益による資産増加を取り繕うために、運用資産額の水増し発表を長期間続けていたとみて、実態解明を急ぐ。

週刊エコノミスト2012年3月20日号 「情報は新聞報道しかない」

AIJが企業年金資産を消失させた問題で、顧客の厚生年金基金などに対し、加入する年金受給者から問い合わせが殺到し、ある基金担当者が発した言葉。

3月13日 AIJ問題に「契約時の嘘」を初適用し悪質な偽計と判断 AIJ投資顧問強制捜査へ

3月12日に証券取引等監視委員会は、同社の勧誘行為について、金融商品取引法違反(契約に関する偽計)の疑いが強まったと判断。検察への告発を担当する特別調査課に専従班を置き、今月下旬にも強制捜査に乗り出す方針を固めた。証券取引等監視委員会が、「契約に関する偽計」の禁止規定を適用し、捜索・差し押さえに踏み切るのは、初めての事だ。

3月13日 AIJ 2006年3月から2009年3月までに契約件数が倍増

AIJが業界団体の「日本証券投資顧問業協会」に提出した資料によると、同社は2006年3月末時点で、企業年金や事業法人、学校法人と61件の投資一任契約を結び、運用資金は645億円だった。

その後は急速に契約件数を伸ばし、2008年のリーマン・ショックによる株価急落にもかかわらず、2009年3月末の契約件数は125件と倍増。2011年9月末には127件にまで増加していた。

証券取引等監視委員会によると、過去5
年間でAIJが出した実際の損失額は、1,000億円を超えている模様だ。

3
月16日に厚生労働省は、AIJに運用委託していた51の総合型厚生年金基金で、委託額がすべて消失すれば、2,134億円の積立不足が発生するとの見通しを明らかにした。公的年金の一部を国から預かって運用する「代行部分」で、積立不足に陥る。

3月17日 新聞報道などによると、AIJは租税回避地である英領ケイマン諸島に登記した3つの私募投信に年金資金の投資を指示し、実質的なグループ会社であるアイティーエム証券を通じてケイマンに年金資金を流していた。ケイマンに流れた資金は私募投信を管理する英領バミューダの銀行が、AIJの実質的な指示を受けて、オルタナティブ(代替)投資などで運用していたとされているが、実は大部分が香港に流れていた模様であり、本当に運用が行われていたかどうか(他の用途に流用されていたのではないか)を疑問視する向きも多い。

参考情報 3月15日 2010年の企業年金資産の運用主体別シェア

信託銀行が48.9
%、投資顧問が29.9%、生命保険会社が20.7%。投資顧問は1990年から厚生基金運用参入が認められ、専門性の高さを売りにシェアを伸ばして来た。AIJ問題を受けて、金融庁は投資顧問への監視を強める方針で、今後の年金運用を巡るシェア争いにも影響を及ぼしそうだ。

3月19日 AIJに年金運用を委託した74の厚生年金のうち、73は中小企業が集まる総合型年金。

2002
年に政府は厚生基金に公的年金代行部分の国への返上を認めた。ただし、代行運用していた積立金は全額返済が義務で、脱出できたのは、穴埋め負担できた大企業の厚生年金基金だけだ。「いつか運用が好転すれば問題は自然解消すると誰もが期待している間に、デフレの波が日本を覆った。」

・・・だが、運用難のもう一つの主役は、巨大化し過ぎた日本国債を中心とする公的債務(政府の借金)による低金利政策である事を、決して忘れてはいけない。誤解を恐れずに原則論を書けば、「低金利前提で年金削減を受け入れ日本版ソブリンリスク(政府債務の信用危機)問題を少しでも遠ざけるか、それとも企業年金を満額もらうために国家破産してでも金利を上げるか」の問題だ。企業年金の問題は、実は日本国債の問題と不可分の関係にある。長期的に見れば、企業と個人が特に努力しなくても年金を当初の予定通りに満額もらえるのは、一部の恵まれたケースに過ぎないだろう。すでに事態はそれほど悪化している。努力しない者は取り残されるだろう。

3
月21日 複数の企業年金がAIJに対し資産返還や損害賠償を求め、集団訴訟を起こす事も視野に準備を進めている。

3月22日 シンガポールで最終運用 AIJ受託金、現地証券を通じAIJは企業年金基金から受託していた資金を、最終的にシンガポールの証券会社を通じて運用していた。顧客資産運用に英領ケイマン諸島の私募投資信託や香港の投資銀行を介在させていた事は既に判明済だが、運用を巡る売買の最終的な発注先が明らかになったのは、初めてだ。

証券取引等監視委員会は、AIJが国内の企業年金等を顧客として、受託資産を日本株主体の金融商品で運用しているのに海外に複数の拠点を設けていた経緯を重視しており、多額の運用損の発生を金融当局から隠そうとしていたとみている。
今後、売買の最終的な実務をシンガポールの証券会社に委託した背景についても解明を急ぐ。関係者の話によると、この私募投信では日経平均の株価指数を売買する権利(オプション)などに受託資産を投資。オプション取引の実務はシンガポールの証券会社が請負い、AIJの指示を受けて売買を発注していた他、運用実績報告書もこの証券会社が作成し、AIJに送付していたものと見られている。

3月22日 年金消失、特損処理に 会計士協会 AIJ問題を受け指針

日本公認会計士協会は22
日に、AIJによる年金消失問題で、企業側の会計処理の指針をまとめた。消失が見込まれる年金資産の金額を、特別損失として処理する。この指針を受け、今年度決算で損失を計上する上場企業が相次ぎそうだ。会計士協会は、「入手可能な情報を収集し、消失が見込まれる金額を合理的に見積もり、退職給付引当金を計上する」事が適切と指摘。一時的な損失であるため、特損処理が妥当と判断した。

3月22日 年金資産保全手続きを AIJ委託基金に厚生労働省が要請

厚生労働省は21
日に、AIJに運用を委託していた年金基金に対し、顧問弁護士などを通じて資産保全手続きを取るように要請した。AIJに運用を委託していた厚生年金基金や確定給付企業年金など84基金に対し、年金局課長が文書を出した。

2012
年3月23日 AIJ投資顧問を強制調査

同社は2002
年から日経平均の株価指数を売買する権利(オプション)などに投資する業務を始めたが、間もなく多額の運用損が発生した。経営破たんの危機を乗り切ろうと、解約を希望する顧客への払戻金を捻出するために、新規顧客(契約)には既に目減りしていた私募投信の単価を水増しして契約。実際には受託資金を私募投信では運用せず、そのまま払戻金に充てるという「自転車操業」を繰り返していたことになる。

営業を担当したアイティーエム証券の社長は、「本当の運用実績を知らなかった」と話している。

AIJが顧客から運用を受託した資金(元本)は、1,458
億円。同社は2011年3月期の資産額を2,090億円と公表していたが、600億円強も水増ししていた。顧客に確実に返却できる残余資産は、現預金の81億円にとどまる。証券取引等監視委員会によると、AIJは「一定のディーラーを抱えて、取引の実態はあった。大半は浅川和彦社長の指示で運用されていた。」と認定した。相場の流れと反対の売買をする「逆張り」と呼ばれる投資戦略が外れ、巨額損失につながったという。

具体的な運用先はシンガポールの金融ブローカーを通じた株式指数先物・オプション、日本国債先物・オプション。これらデリバティブ(金融派生商品)運用は2004年3月期から2011年3月期まで毎年損失を出しいていた。2009年3月期には37億円の損失、2010年3月期には501億円もの損失を出した。2008年のリーマン・ショック後に少なくても1,000億円の巨額損失が発生した。AIJ側が受け取った管理報酬名目の資金は、45億円だ。残余資産は251億円だが、その大部分は投資ファンドの持分などの換金性の乏しい資産だという。

金融庁によってAIJは投資顧問の業者登録が取消され、営業を担当していたアイティーエム証券は6
か月間の業務停止処分を受けた。長期にわたって虚偽の情報を顧客に与え、勧誘していた事などが、金融商品取引法に違反する行為だと判断しての処分だ。両社に企業年金などの顧客資産の保全を求める業務改善命令も出している。

3
月23日 ロイター記事 http://jp.reuters.com/article/domesticJPNews/idJPTYE82M04020120323

浅川和彦社長が大半の運用に関わる指示を出しており、取引していたのは日本国債のデリバティブ取引だった。

金融庁によると、運用は基本、逆張りの手法で、国債を売り、金利が上昇するのを目論んだ取引だった。

しかし、ヘッジや損失を手じまうタイミングを失い、大きな損失を抱える事になったという。

・・・結局、AIJ問題の真相は、もうひとつの日本国債の問題だったのかも知れません。現実は複雑です。

3月24日 「ひたすら逆張り」で失敗を繰り返したAIJ投資顧問の運用実態

陣頭指揮をしていたのは、
浅川和彦社長。彼は元野村證券営業支店長で、運用のプロではない。1975年に野村證券に入社し、営業畑を渡り歩き、京都駅前支店長や熊本支店長などを務めた。当時の上司は「営業マンとしては極めて優秀だった」と評価する。・・・運用ではド素人でした!

海外で運用を担当した信託銀行は、
浅川和彦社長の指示通りの運用を続け損失を出し続け、正確な時価情報も算出しAIJ投資顧問に報告していたが、浅川社長はこれを改ざんしていた。

3月24日 日本証券アナリスト協会が、AIJ投資顧問の資格を23日に取り消したと発表

3月24日 日本ユニシスがAIJ投資顧問で特損 今期55億円

年金基金が同投資顧問に運用を委託していた全資産を損失処理する為。AIJ問題に伴い特損計上を発表する上場企業は、同社が初めて。具体的な返還金額は合理的に算定できないため、堅めに見積もり全額を損失処理する。

3月24日 運用当初は別会社が契約 AIJ投資顧問に認可なく「名義借り」か

AIJが預かり資産の運用を始めた2002~2003年にかけて、米保険会社の日本法人「シグナ・インターナショナル・インベストメント・アドバイザーズ」が顧客と契約していた事が判明。AIJは当時、事業認可を得られておらず、別企業の資格を利用して新規の顧客を開拓したという。金融庁は、「当時の投資顧問業法で禁じられた“名義貸し”に当たる疑いがある」と指摘している。同法によれば、罰則は懲役3年以下か300万円以下の罰金と、「軽め」だ。2003年頃に同社と契約した企業年金基金担当者は、「勧誘や契約の場にいたのは、浅川社長やAIJの社員だけで、シグナ社の関係者とは最後まで会う事はなかった」と話している。

3月24日 AIJ浅川和彦社長と事務担当の高橋成子取締役の年間報役員酬は、1億円超だった・・・

浅川和彦社長は月600万円、高橋成子取締役は月350万円以上を役員報酬として、AIJの運用報酬45億円の中から受け取っていた。二人だけがAIJの私募投資信託の正規の運用成績などを管理し知っていた。虚偽の運用成績を作成しなおして顧客などに提示していた。

※3月15日にNHKの「クローズアップ現代」で、「年金資金が消えていく ~AIJ巨額損失の衝撃」が放送されました。現在もNHKのホームページで概要が文章と動画で分かります。文章はコピーも可能です。
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3176_1.html

■AIJ投資顧問問題が起きた背景

AIJ投資顧問側の問題として指摘されているもの。

世界的な超低金利政策の長期化や金融危機に伴う株式・債券市況の悪化とともに、株式や社債の運用を中心とする従来型のファンドや投資顧問の運用成績は、悪化の一途をたどりました。

この傾向と一線を画す形で登場したのが、AIJの様なオルタナティブ(代替)投資を売りにした新種のファンドです。具体的には、先物取引、売買の権利自体を売買するオプション取引の他、未公開株投資、不動産投資、テーラーメード型の私募債投資などを複合的に組み合わせ、「株式や債券市況の値動きに左右されず、安定的かつ高収益を計上する」ことがオルタナティブ運用の特徴であり、最大の売りです。

各種の報道を総合すると、AIJ
はオプション取引の中でも「プットの売り」に強みを持つ投資顧問として知られていました。ここで、オプション取引の仕組みを簡単に説明しておきます。先に触れたように、オプション取引は、将来の「金融商品売買の権利」を売り買いします。

オプション取引では、買う権利を「コール」と呼び、売る権利を「プット」と称します。

極めて簡単に書くと、プットの売りは「市況があまり動かない」事を前提に、プレミアム獲得を狙う戦略です。言い換えると、
市況が荒れ始めた途端に、損失が膨らむ仕組みです。リーマン・ショックやユーロ危機に代表される過去数年間の不安定な市場動向を考慮すれば、戦略は完全に裏目に出たという事でしょう。「2000億円消失」という事態はあり得る展開です。

■「妄言(主張)」を信じた側にも問題はある

振り返ってみると、年金基金側でもこのリスクを承知していたはずなのです。企業年金の担当者が、「プットの売り」の危うさを知らないでは済まされません。問題の根源は、「オルタナティブ投資=ハイリターン」という「妄言(主張)」を信じた側にも確かにあるのです。

AIJ
は氷山の一角か 2年前、リーマン・ショック後の金融市場の混乱を舞台に『金融報復(徳間文庫)』という短編集が発刊されました。この本では、オルタナティブ投資を売りにする、ある投資顧問会社のずさんな運用体制の詳細が描かれていました。「プットの売り」が運用主体ではなかったものの、別のハイリスク・ハイリターンのオルタナティブ運用が破綻するストーリーです。著者は本編中では名前を変えましたが、当時から根強く「危うい」と言われていたある運用会社をモデルに、ストーリーを紡ぎました。残念ながら、このモデル企業はAIJではありません。AIJは氷山の一角だと言わざるを得ず、類似企業が現在も活動中の可能性が高いのです。

2月25日 もし投資顧問が国内外の株や債券などで運用するように信託銀行に指図すれば、売買に携わる信託銀行は運用の実態を把握できる。たがAIJは私募投信を使い、運用の実務には信託銀行を近づけなかった。

投資顧問が当局や顧客に提出する事業報告書は、中身の正しさを保証する外部監査が義務付けられていない。

AIJも未監査の報告書を提出していた。虚偽の情報があっても、発見は必ずしも容易ではない。

2月25日 運用会社は毎月末、四半期ごとなど定期的に成績を基金に報告するのが通例だ。だが、投資責任者が基金に足を運んで詳しく説明する運用会社がある半面、AIJの様に、期間利回りを一方的に通知するだけのずさんな例もある。仮に運用で大損しても、正当な手続きを踏んで売買している限り、運用会社が損失を補てんする事はない。・・・これが現実です。

今回のAIJ
のケースでは、運用はオフショアで行っていたため日本の金融当局の管轄外で、監査法人も明らかにされていませんでした。日本の金融当局は怪しいと思っていても直接的に運用の中身を精査することができなかったのです。そしてAIJも、投資をしてもらっている年金基金に対して、一切の運用の中身を開示して来ませんでした。信じられない話ですが、2010年に日本経済新聞社の子会社が発行している「年金情報」により実施された「日本中の年金基金が選ぶ運用会社人気ランキング」では、AIJが1位だったのです。

■企業年金側の課題は、高すぎる運用目標と低すぎる運用実績と財政基盤の脆さ。

3月20日 企業年金の大半は、将来の給付額を事前に決める確定給付型だ。現在、運用利回りの目標を年2.5~5.5%に設定する企業が大半だ。しかし過去5年間の平均で見た運用利回りの実績は、2008年のリーマン・ショック以降、目標を下回る。2006年度と2007年度こそ約6%を達成したが、2008年にはほぼ0%、2009年には2%程度、2010年には約マイナス1%まで運用利回りは悪化した。

2月27日 日本の厚生基金の財政は全体としては悪く、595ある厚生基金の7割強に当たる445もの基金が積立金不足に陥っている。その額は合計でおよそ1兆5,000億円にも上る。積立金が不足している基金のほとんどは総合型と見られている。保証利回りを引き下げるにはまず積立金不足を解消しなければいけないが、中小企業の多くにはそれほどの財力がないために、今まで放置されて来たのが現状だ。

参考資料 企業年金の資産配分比率 2012
年3月7
(注)R&I(格付投資情報センター)調べ 2011年末時点の平均値

35.4%が(低金利の)国内債券、15.9%が(値下がり傾向だった)国内株式、15.7%が外国株式、8.6%が外国債券、6.8%が代替(オルタナティブ)投資、3.1%が短期資金など、14.5%が一般勘定、

上場株式に投資しているファンドの透明性は高く安心度が高まるが、近年の年金基金の傾向は日本株離れが常となっている。債券の場合、実際に取引された価格ではなく、ディーラーの理論価格を時価として用いるケースが多いので、上場株式と比べて透明性が劣る。流動性の高い主要国の通貨であれば価格の妥当性に問題はないが、通貨選択型など仕組み金融商品に組み込まれてしまうと、妥当性の判断は一般個人では不可能であり、売り手の言い値を鵜呑みにするしかない。運用成績を高めるために 不動産やインフラ投資などの比較的高い利回りを見込める「代替(オルタナティブ)投資」を取り入れる例も目立つ。

3月16日 国内の主要な企業年金基金の7割は、今後も資金の一部をヘッジファンドなどに振り向ける。

将来の給付原資の確保に向け、利回りを追求する志向も根強い。

3月19日 日本の公的年金の積立金の目標運用利回りは、何と4.1%。

運用資産の約3割を株式や社債などのリスク資産にも投資するので、失敗も多い。

今回の「事件」の背景には、日本の企業年金の「苦境」がある。

企業年金連合会によれば、2010年度実績のわが国の企業年金の予定利率の分布を見ると、次のようになっているという。 2.5%未満が11.2%、2.5%~3.5%が55.5%、 3.5%以上が33.3%。 予定利率は切下げ年金給付を所定水準に据え置けば、企業年金の掛金が著しく上昇する。この10年来、長期金利が1~2%で推移してきた日本でこの様な高い予定利率を据え置くと、掛金率の引き上げの先送りに直結しやすく、最悪の場合、大幅な年金カットか掛金の急上昇の片方か両方が待っている。

基金独自の上乗せ部分の不足は、加入者の同意を得て給付を引き下げて解消する方法がある。
しかし、国の厚生年金の代行部分は、給付を引き下げられない。

基金解散には、代行部分の積立不足解消が前提だ。
今回、大きな損失を抱えることになる基金の構成企業は、穴埋めの負担を抱え続ける状況になるだろう。積み立て不足解消の負担のために倒産するケースも出て来るかもしれない。倒産した場合は、他の基金加入(構成)企業が負担する。これが繰り返されると、全加盟企業の連鎖倒産もあり得る。加入者は、上乗せ給付だけでなく勤め先も失う。構成企業がすべて倒産した場合には代行部分は、国が引き取る。つまり、厚生年金がその損失をかぶる。しかも、国家財政の維持・再建と国内金利上昇は、容易には両立できない。国家財政維持のためには日本は1~2%以下の超低金利の維持が必須で、特に努力しない年金運用なら、利回りもこの程度に終わる可能性が高い。

ここで、前回のコラム「日本国債を考える③」などの要点を振り返ってみましょう。

2月23日 日銀総裁が衆議院予算委員会で、長期金利が1%上昇した場合、保有国債価格の下落に伴い、大手銀行で3兆5,000億円、地域金融機関で2兆8,000億円もの評価損が生じるとの試算を示した(2011年9月末時点での金融機関の業績を基に算出)。

■社会保障費の歳出カットなしで消費税率10
%、国債金利3%だと、2025年頃には極度の財政危機発生も・・・

・・・医療・介護費だけで、2025年度の政府負担額は軽く30兆円を超える。その頃の日本の国債(政府債務)残高は、消費税率が10%程度の低水準のままだと1,500兆円規模に巨額化し、金利が仮に3%まで上昇すると、利払い費だけで年間45兆円は消える。合計で軽く年間75兆円が必要だが、2012年度の日本の一般会計歳出総額は90.3兆円、税収はその半分程度に過ぎない。・・・事実上の破産状態といって良いだろう・・・・。

■ゆうちょ銀行の会計基準 最悪の場合は経営問題発生か?

情報源:週刊エコノミスト2012
年2月21日号37ページ記事

以下は、日本の長期金利が1.8%上昇し約3%となった場合の影響度合いを示した表の、抜粋版です。

2011年3月の国債保有残高(兆円) 国債評価損

(兆円)

中核的自己資本

(Tier1)減少率

評価損÷実質業務純益2011年3月時点
ゆうちょ銀行 146.5 9.8 68.1 19.2

※国債評価損は、国債が期日に(元利金が全額)償還されれば(無事に)回復するが、確実ではない。

日銀によれば、長期金利が1
%上がると地銀の自己資本が30%減少するので、4%上がると債務超過になる。

今後は、取引先金融機関の国債・地方債の保有状況を確認する事も、企業の危機管理上の必須ノウハウとなろう。

偽物の金融業者を見抜く手がかりは結構あるのに、「見破るのは困難」という業界幹部と日経新聞

AIJ問題「見抜くのは困難」、再発防止策を検討=信託協会長

[東京 3月15日 ロイター通信] 信託協会の野中隆史会長(みずほ信託銀行社長)は15日の定例会見で、AIJ問題を受けて、信託協会に立ち上げたワーキングチームで再発防止の検討を進めていると語った。3月までに方向性を出し、厚生労働省や金融庁、年金基金などと具体的な防止策を協議する意向を示した。AIJのケースでは年金特定信託として信託銀行が事務を受託していたが、野中会長は「現在の業務フローでは見抜くのは困難」と説明。特に投資顧問会社の外国籍投信の場合は、公正時価を出すのが難しい状況だと強調した。

3
月16の日経記事 証券取引等監視委員会が確認したのは現預金40億円、有価証券(株式や債券)など20億円の合計60億円だけで、AIJ側が説明する残存する運用資産240億円とは、180億円のギャップがあるが、どこに消えたのか。一応カリブ海のケイマン諸島の投資信託に集めた事になっているが、その下には12もの子ファンドがあり、そこからAIJがカリブ海の英領バージン諸島に作ったペーパー会社に融資。その資金の流れは年金基金に知らされていないだけではなく、ケイマンで資産を管理する英系の信託銀行までもが把握していない模様だ。私書箱957(P.O.BOX 957)がこのペーパー会社の住所だが、これこそが証券取引等監視委員会が不透明取引の温床として数年前からマークしていた住所だった。英領バージン諸島は、租税回避地の中でも監督・規制が緩いとされる。海外では日本当局の権限が及ばず、英領バージン諸島経由で資金がどこに流れているのか分からない。資産は未だに凍結されてはおらず、今も目減りしている可能性がある。

初めから人をだます目的でお金を預かり虚偽の報告をされると、どんな規制・監督の仕組みを作っても、発見するのは難しい。
実際、5兆円規模の詐欺事件に発展した2008年の米マドフ事件では、富裕な個人の他、英ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)、仏BNPパリバ、野村證券なども被害に遭った。その教訓は充分な情報開示がなければ金融のプロでも嘘は見抜けないという事だった。

・・・日経新聞の他の記事でも、AIJの様な問題業者を見抜くのは困難との記事が多数ありますが、
私はそう極端に難しいとは考えていません。以下の様に、根拠は多数あります。

1、投資ファンドのスキームに第三者機関が介在し透明性が確保されれば、安全性は比較的高い。

投資対象の「ファンド」の周囲にいる仲介者(カストディアン、アドミニストレーター、プライムブローカーなど)の有無を確認する。投資家が運用実態を確認できない様にするために、AIJの様な虚偽の運用会社は「コスト削減の為に、その様な第三者を介在させずに運用しています」というのが、常套句(逃げ口上)だ。

2、かつての大手証券による総会屋グループへの利益供与事件で有罪判決を受けたことがある人物が、AIJ投資顧問の経営陣に名を連ねていた
(日経ヴェリタス2012年3月5日号 63ページ)。

3、AIJが顧客に配っていた資料で管理会社の住所を調べたら、英領バージン諸島の「P.O.BOX 957
(私書箱957)」と書いてあったが、この私書箱は、金融庁検査局が「問題企業が不公正な経理操作をする時に使う」と、繰り返し警告してきた疑惑の住所だ。

4、ある年金基金は数年前に、驚異的な利回りを怪しいと感じてAIJに解約を通知したところ、資金が戻るのに数か月もかかった。AIJ投資顧問からは普段、「換金性の高い資産を中心に運用している」という説明を聞いていたので、疑惑を深めたそうだ。・・・結局は、「自転車操業」でした。まるで詐欺師です。

5、資産運用の世界には「GIPS」という言葉がある。
3月6日の日経記事より

正式名称はグローバル投資パフォーマンス基準で、
資産運用会社の運用成績の計算や表示の方法などの国際的統一基準だ。年金の運用成績を正しく測る事が出来るよう、資産運用会社の運用成績の計算や表示の方法などを国際的に統一した基準だ。証券アナリストの世界団体のCFA協会が1999年から作り始め、ほぼすべての主要国で使われている。2007年の調査でも、日本の投資顧問会社が受託する企業年金残高の中で、グローバル投資パフォーマンス基準「GIPS」準拠の投資顧問による運用が9割に達した。生保・損保の場合でも8割と、国内でもかなり浸透している。

AIJによる年金消失問題が初めて発覚した2月24日に、日本でGIPS普及を進める日本証券アナリスト協会が、専門委員に聞き取り調査をした結論によると、「AIJがGIPS準拠の報告書を作ったという話は、聞いたことがない。」

米国審査基準第70
号(SAS70)もキーワードだ。これは、投資顧問会社の情報管理や不正防止などの体制が充分かどうかをチェックするために使われる内部統制監査の基準だ。日本でも類似基準を作っている。現段階ではAIJ投資顧問がそうした監査を受けたかどうかは不明だが、日米どちらかの基準に基づく内部統制監査は、年金運用を受託する大手運用会社なら、実施していない所はまずない。

6、中味の分からない物には投資しない。マスコミを過度に信用しないで自分の頭で判断して行動する。

AIJ
も、投資をしてもらっている年金基金に対して、一切の運用の中身を開示して来ませんでした。

7、団体加盟を過度に信用しない。目に余る手抜きやいい加減さなどに「違和感」を感じれば取引を避ける。

なぜ、摩訶不思議な運用実態についてのチェックが働かなかったのだろうか。AIJのホームページを見ると、「会社案内」「地図」「事業内容」が記載されているだけで、それも全ての情報を合わせてA4 一枚に満たない。加えて、22期事業報告書が添付されているが、全てのPDFファイルが斜めに傾いたままになっている。

ホームページを見ただけでも通常の神経なら首を傾げ、薄気味悪くなるのではないだろうか?

以下は、そのURLだ。http://www.aim-ij.com/index.html

・・・・こうした当たり前の「違和感」を見逃さない事は、個人・法人を問わず、危機管理という点では非常に重要だと思う。・・・・よくまあ、20
年以上も業務(?)を続け、「金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第429号」で登録でき、「社団法人日本証券投資顧問業協会」に加入出来たものだ・・・。この国の「金融インフラ」のレベルの低さがよく分かる・・・。頼り過ぎるのは、危険だろう。

参考資料  ダイヤモンドオンラインコラム「AIJ投資顧問の暴走許した“素人”顧客と金融庁の無策

「週刊ダイヤモンド」編集部 池田光史氏作成)」 より一部抜粋 http://diamond.jp/articles/-/16512?page=2

AIJ投資顧問は多くの厚年基金を顧客に抱える別の投資運用会社、タワー投資顧問の顧客を狙い撃ちにして営業展開していた様なのだ。
高い運用実績で知られていたタワーだが、「このところ悪化していた(タワーの顧客)」。かつて同社に委託していたAIJのある顧客は、「AIJの販売会社が、タワーの運用手法をひどく批判していた。それを信じて変更した」と明かす。

かくも簡単に厚年基金がAIJを信用してしまった背景には、深刻な年金の積み立て不足から、高利回りをうたうAIJに走らざるを得なかったとの事情もある。

AIJが顧客に提供していた運用実績表を見ると、
リーマン・ショックのあった2008年度でも7%強、過去10年間でマイナス運用だった年度はなく、なんと“勝率100%”だ。独自開発の「MI指数」という、「聞いたこともない数値に基づく運用手法(機関投資家)」が、それを可能にしているのだという。

運用報告書を見ていれば「極めて“異常”だと容易に分かる」運用状況
※日本の投資運用会社は、3年連続でプラスの収益を上げていた所は稀です。

確かに一義的には、虚偽の報告をしていたAIJに罪がある。しかしAIJの運用状況は、運用報告書さえ見ていれば、「極めて“異常”だと容易に分かる(複数の金融関係者)」。厚年基金側が、こうした運用成績に全く疑問を抱かなかった事も問題なのだ。

本誌が今回、AIJの顧客である
35の総合型厚生年金基金に問い合わせたところ、責任者が「運用リスクを理解した上で委託していた」と説明したのは、わずか1基金。「不自然とは思わなかった(愛知県の厚年基金)、」「中身を見ていなかった(埼玉県の厚年基金)」というのが実態だ。

さらに、「数年前から問題を金融庁に報告していた(外資系金融)」機関投資家が複数あったにもかかわらず、対応が後手に回った金融庁にも責任の一端がある。

次回、AIJ投資顧問問題を考える(2)にて、各方面の対応策を確認後に、今後の望ましい企業年金の制度と運用について、一緒に考えてみましょう。

【※】当コラム記事は、AOIA 株式会社のスタッフが個人的見解に基づき作成した資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。当資料は、飽く迄もAOIA株式会社のスタッフが個人的見解に基づき作成した資料であり、その正確性・完全性を保証するものではありません。当資料中に記載している内容、数値、図表、意見等は資料作成時点のものであり、今後予告なく変更することがあります。当資料中のいかなる内容も将来の投資収益を示唆ないし保証するものではありません。当資料をもとにお客様が金融商品取引行為を行われた場合、金利、通貨の価値、金融商品市場における相場その他の指標に係る変動を直接の原因として生じる利益あるいは損失は、すべてお客様に帰属します。


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