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米REITの異変とマスター・リミテッド・パートナーシップ(MLP)の課題

  • 投稿日:2014年10月24日

本ブログは、AOIA会員向けニュースレター「週刊先読みダイジェスト第55号」の一部を、再編集したものです。今回は、皆さんも気になっている「米REITの異変とマスター・リミテッド・パートナーシップ(MLP)の課題」について、ご一緒に考えてみます。

 9月5日に、米国リート(不動産投資信託)市場は過去最高値を更新した。しかし、その後、12日に前日比▲2.89%と大きく下落。結局、9月は前月末比▲5.63%となり、月次ベースでは実に13カ月ぶりの高い下落率を記録した。今後も、米利上げ観測の強まりなどを背景に米国リート市場の値動きが大きくなることが予想されるが、資金動向をみる限り、国内投資家は米国リートへの投資態度を変えていない。

日本は9カ月連続の流入超、米国は8月から流出超に転じる 

 2014年9月の純資金流出入額(確定拠出年金専用、ラップ口座専用、ETFなどを除く、モーニングスター推計値)をみると、モーニングスター類似ファンド分類「国際REIT・北米(為替ヘッジなし)」は825億円の流入超過となっており、91分類中第4位の純資金流入額。これで9カ月連続の流入超過となっており、依然として人気資産に変わりはない。

 一方、米国投資家は、国内投資家とは別の見方をしているようだ。米国リートを投資対象とする米国籍オープンエンドファンドが属する、米モーニングスターカテゴリー「Real Estate」(MMF、ETF、ファンド・オブ・ファンズ除く)の資金動向(推計)をみると、2014年9月は1.9億ドル(約213億円)の純資金流出で2カ月連続の流出超過だった。8月と9月の合計では7.3億ドルの流出超過となった。

「イールドスプレッド」の縮小を懸念か?

 米国投資家の米国リートへの関心が低下した要因として、米国リートの割高感が挙げられる。リートは「利回り資産」として取引される性質があることから、米国リートの割安感・割高感を測る指標として、米国リートの配当利回りと米国10年国債利回りとの差で表す「イールドスプレッド」が用いられる。イールドスプレッドが拡大すると、相対的にリートの配当利回りの魅力度が増し、割安感が強まるため「買い」。一方、イールドスプレッドが縮小すると、相対的にリートの配当利回りの魅力度が低下し、割高感が強まるため「売り」と言われている。

 2014年9月末時点の米国リートのイールドスプレッドは1.8%となっており、リーマン・ショック直後の水準を除けば、一見、割安に見える。ただし、市場では来年にFRB(米連邦準備制度理事会)が利上げに踏み切るとの見方が強く、米金利に上昇圧力が掛かる可能性が高い。今後、米金利上昇を受けてイールドスプレッドは縮小基調となり、米国リートの割高感が強まることが予想される。

状況はさらに深刻?

 しかし、それ以前の問題がありそうだ。米国リート指数の代表例である「FTSE NAREIT All REITs TR(ドルベース)」は、2000年9月から2014年9月までの間に、実に4倍近くにまで急上昇していたのだ。今世紀に入ってから米国はそれほどインフレでもなければ、各種建造物の家賃や価格も数倍まで上がっているところは少ない。という事は、バブルの可能性が高く、いつかは相場が急落するはずだ。

日本でも利益確定売りが急増か? それともまた逃げ遅れるか?

 米国リートはFRBの量的金融緩和によって、我が世の春を謳歌(おうか)してきた。量的金融緩和の蛇口が閉まり、利上げが実施されれば、米国リートに流入していた資金の「逆回転」が起きる可能性もある。例えば、量的金融緩和が始まる2008年11月以前の米国リート指数と足元のイールドスプレッド水準を照らし合わせると、現在の米国リート指数は40%以上の割高と言うこともできる。また、配当利回り面での投資魅力は既に乏しくなりつつある。データが確認できる1972年1月から2014年9月までの配当利回りの平均値は7.8%で、2014年9月は4.3%。2007年1月に記録した過去最低水準の3.8%に迫りつつある。基本的には下がるのが自然な状況だ。

米国リート市場が今後、先安観を背景とした米国投資家の利益確定売りの動きが一時的なものになるのか、それとも日本にまで波及し、本格的な資金流出へと発展するのかが、注目される。

 この様に、米REITは当面これ以上の価格上昇が容易ではなく、むしろ下落圧力が強く働く「下げ相場」が始まった可能性が高く、私は保有していた米REIT投信を、全て売却した。

マスター・リミテッド・パートナーシップ(MLP)の課題とは?

「ではエネルギー産業版の米REITと言ってもよいマスター・リミテッド・パートナーシップ(MLP)はどうか?確かシェール革命もあって保有資産の稼働率などはそれほど悪くはないのでは?」と考えている人もいるかと思います。確かに一見それほど悪くはないように見えますが、良質なものに限れば、分配金利回りで見れば米REITの平均値に負け、最近の価格は停滞気味で、価格変動リスクの水準はNYダウ(円換算)より2段階も高く、米国税制によるとMLPの配当金は実に39.6%を上限に、源泉徴収課税されます。

これは仮に配当利回りが5%としても実質は3%程度に低下することを意味し、更にその上で配当金を原資とするファンドの分配金は日本でも課税対象となる有様です。「税金を払い過ぎ」として後でファンドに還付される場合もありますが、確実ではありません。

 しかも肝心の投資先のパイプライン事業者の成長余地が縮小しつつあります。米国内ではパイプライン網の整備が進み、「高い利回りの維持には事業拡大が欠かせないものの長期的には厳しい」との見方が、投資家からも出ています。

正直、それほど魅力的な投資先には、現時点では見えません。安くなってからの米REITと冷静に比較検討すると、良いでしょう。

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以下は、今週公開予定の「週刊先読みダイジェスト第55号」の、主なテーマです。

1、始めに 先週のマーケット状況などの要点の確認

2、価格も人気も低下中の米REIT コメント欄でMLPの課題も紹介

※MLPとはエネルギー産業版REIT(不動産投資信託)である「マスター・リミテッド・パートナーシップ」の略語です。

3、下げ相場に強い日本株投信 「ソルティノレシオ」に注目 あの投信が再登場

4、今後の見通し 戻りを試す日米株

 

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日時:2014年11月08日(土) 10:30 ~ 12:00

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今回は、以上になります。AOIAフェローのDataと小勝負からでした。

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