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米国株がなかなか下がらなくなった「分かりやすい理由」とは?

  • 投稿日:2014年9月26日

 米国株の調整局面をひたすら待ち続けている人たちにとっては、ありがたくない情報がある。それはつまり、もうその機会を逃してしまった可能性があるということだ。

 S&P総合500種が2011年10月以降、10%以上の下落を経験していないのは、紛れもない事実だ。だがS&P総合500種の全10業種のうち7業種や、ナスダック総合指数、ラッセル2000指数はいずれも11年10月以来、10%強下がる場面があった。もっとも多くのケースは、複数回に分かれてのことだ。

ウェルズ・キャピタル・マネジメントのジム・ポールセン最高投資責任者(CIO)は「株高を維持してきた要因の1つは、これまで調整が代わる代わる起きたことにある。今の株式市場は値上がりが激しくショックに見舞われるのが必至という状態ではなく、自律的な調整が働き続けている」と述べた。

S&P総合500種が史上初めて2000の大台を突破するまで株高が進んで来たことで、多くのアナリストに相場調整という表現の株価下落に対する懸念が広がっているが、いくつかの要素がこれまでの調整を短期間にとどめ、その結果値下がりを限定して来たとみられる。

 まず株価収益率(PER)でみて米国株が割安でないことは確かだ。しかし警戒を要するほど割高という銘柄は、意外と少ない。実際、利回りを考えると米国株よりもむしろ債券の方が割高感が強いように見受けられ、以前ならば債券に資金を移したであろう投資家も、今はその代わりに株式市場のセクター(産業部門 業界)間で資金を動かし続ける傾向が強まっている。その結果、米国の株価は更に高止まりしやすくなっている。

さらにパフォーマンスを追求するヘッジファンドなどの専門投資家やミューチュアル・ファンド、米ドル高もあり米国資産の相対的な魅力の高まりを感じた海外投資家などの資金も、着実に米国株に流入しつつある。

下がればすかさず押し目買い!

 結果的にアナリストが予想する今後のシナリオは、どれも似た様なものになっている。具体的には米国株は4─6%程度の下げに見舞われた後、すかさず押し目買いが入り、調整は小幅にとどまる可能性があるという。

 過去52週だけをみても、S&P総合500種の10業種のうち8業種は4%強の下げが少なくともそれぞれ3回はあり、ハイテクを除く9業種は最低6.9%の値下がりも経験した。

同じ期間にS&P総合500種が4%強下げたのは2回だけ。過去半年では、最も大きな2回の下落率はいずれも4%に届かない。

ケイン・アンダーソン・ラドニック・インベストメント・マネジメントのダグ・フォアマンCIOは「投資家は利益確定に動く機会はたっぷりあり、実際にそうした。だがこれらの銘柄は成長を続けているというのが現実だ」と説明した。

 トムソン・ロイターのデータによると、S&P総合500種の1株利益は、今年118ドル超と過去最高に達し、来年は133ドル超まで増加する見通しだ。一方で向こう12カ月の予想利益に基づく株価収益率(PER)は15.8倍と、過去平均の14.9倍を少しばかり上回っているに過ぎない。

過去1年間は、主要セクターが交代で株式市場をけん引して来た。6─7月で10業種のうち4業種が最高値をつけ、残る6業種は今月に入ってS&P総合500種が連日最高値を更新した局面で、株価がピークに達した。

 S&P総合500種の益回りは9月15日時点で約6.3%と、米10年国債利回りの2.59%より3.71%も高く、両者の差は長期平均の約1.5%を大きく上回っている。これではそう簡単に長期間の株価急落と低迷は起こらないだろう。

当面は株式に代わる投資先はない?

 投資家の種類別でみると、S&P総合500種に対して見劣りが目立っているがヘッジファンド。調査会社ヘッジファンド・リサーチによると、1─8月のS&P総合500種の上昇率9.9%に比べて、ヘッジファンドのリターン(運用利回り)は、わずか4.1%だった。あの全米最大の年金基金の、カリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)は、ヘッジファンドの運用成績の悪さに呆れ、取引を来年には止める方針を発表したほどだ。今やヘッジファンドは、次の株高に乗り遅れてさらに指数との成績差が開かないように、少しでも押し目(価格の下落)があれば株式を買っているので、市場全体の値下がりを小幅に抑える役割を果たしているとの見方も有力だ。

これまでの米国株上昇は、米連邦準備理事会(FRB)による債券購入と、低金利維持が利回りを追い求める投資家をリスク資産に向かわせた事が影響しているという面も、もちろんある。「この結果、中東やウクライナの不確実な情勢においても株高が続いている」との声も聞かれる。

また投資会社リバティービュー・キャピタル・マネジメントのリック・メックラー社長は「株式のほかに投資できる先が非常に限られている。そのため株式市場から資金が逃げ出して他の場所に移動していない」と話した。実際、エネルギーや鉱産資源・貴金属、穀物などのコモディティー(商品)相場は、総じて弱含みだ。日本では今ごろになってブームのハイ・イールド債やバンクローンなども、米国での人気は下火で、関連する投資信託(投信)から資金流出が続いています。

実は2016年以降の米REITが狙い目?

今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)発表の要点は、「米国のマクロ経済統計は改善傾向が顕著だが、労働力は未活用部分が多い。利上げは急がず相当期間待つ」と、予想通りでした。

 しかし、いったん利上げが始まれば、FRB(米連邦準備理事会)は最終目標2017年4%前後に向けて着々と米国の政策金利のフェデラルファンド(FF)レートを上げていく方針の様です。その利上げペースは、今回も発表されたドット・チャートから読み取れます。あくまでFOMC参加者個人の金利予測の集計というただし書きつきですが、主な部分は下記のようになります。

15年 1%未満 6人、1~2% 10人

16年 2%未満 3人、2%以上3%未満 7人、3%以上4%まで 6人

17年 2%以上3%未満 2人、3%以上4%未満 11人、4%以上4.5%未満 4人

 ここまで予想される利上げの実態が明らかになると、まず債券市場では米国債が売られます。米10年債利回りは一時は2.3%台にまで沈んだものの、2.6%台を突破。年初に市場で想定された3%も徐々に視野に入って来る勢いです。

 結論としては、「来年(2015年)はともかくとして、再来年(2016年)以降は、FRBは米国の金利を急激に上げる意欲がある」という事です。真っ先にこれに反応したのが為替市場で、わずか1カ月で1ドル102円台から先週の109円台まで激変し、急激なドル高円安になりました。

展開が急過ぎて相場が固まるまでにはもう少し時間がかかりそうですが、今年末にかけて1ドル110円までのドル高円安は充分にありそうな状況です。

忘れてならないのは、米国債を中心とした米金利が上昇すれば、どの金融商品に強い下落圧力がかかるのかという事です。実は景気好転時は多少の金利上昇では米国株価は意外と値崩れしにくく、むしろ米REITに強い下落圧力が働きがちです。

 おそらく来年の米REITは、米金利(見通し)を反映し、神経質な値動きを強めて行きます。『「10%価格が下落したら一度売り払う」などの方針を今のうちに決め、「来年は様子見か売却を続け、2016年以降の米金利上昇後に価格が大幅に調整されてから良いものだけを本格的に買おう」』と考えるのは、そう悪くはない方針かと思います。

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今回は、以上になります。AOIAフェローのDataと小勝負からでした。

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