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2012年8月1日(水) 米住宅市場に相次ぐ、「底入れ宣言」その背景とは?

  • 投稿日:2012年8月1日

「読めば明日の力になる 個人投資家の世界の経済・金融研究日記」

2012年8月1日(水)by Dataと小勝負(AOIAアナリスト)


今回は、あなたもお待ちかねの、米国の明るい話題です!

遂に、不振が続いた住宅市場の回復が、本格化しました。

米国の金融関係者や企業の間で、住宅市場の「底入れ宣言」が相次いでいます。住宅部門はリーマン・ショックの後遺症で低空飛行が続き、米国経済のお荷物扱いされて来ましたが、経済全般が停滞する今となっては数少ない「好景気産業」に急浮上。米景気の下支え役になるとの期待がにわかに高まっています。その「実力」は、本物でしょうか?

■住宅市場に根本的な力強さ

「米住宅価格は底を打った」。不動産サイト大手で市場調査に定評があるズィローは、24日発表の四半期リポートでこう断言した。同社が算出した4~6月期の平均住宅価格は14万9,300ドルと前年同期から0.2%上昇。四半期ベースで前年同期の水準を上回るのは実に5年ぶりで、金融危機前の2007年以来といいます。月次でも6月まで4カ月連続の上昇で、一時的な動きでない事は明らかです。

4~6月は調査対象の全米167都市圏のうち3分の1にあたる53で価格が上昇。アリゾナ州フェニックス(12.1%上昇)など住宅バブル崩壊後の下落が激しかった地域ほど回復が顕著です。「雇用情勢の回復が鈍いのに住宅価格が上昇したのは、住宅市場自体に根本的な力強さが出てきた証拠」とズィローのチーフエコノミスト、スタン・ハンフリーズ氏は指摘します。今後1年の住宅価格も1.1%上昇を予想しています。

■住宅株になお上値余地

明るい見通しは株式市場や住宅業界にも広がります。「住宅景気の上向きサイクルは3~7年続くだろう」と、金融大手ゴールドマン・サックス(GS)は7月23日、米住宅建設株の評価を「中立」から「魅力的」に引き上げ、投資家に買いを勧めているほどです。「新築住宅販売と住宅着工件数はこれから年率2~3割のペースで伸びる」と同社のアナリストは発表。住宅株は年初来で約5割上昇していますが、なお上値余地があるとの事です。

強気の理由は需給の両面にあります。ゴールドマンの分析によると、2011年から12年前半までの米雇用者数の増加ペース(月平均で約16万人)で判断すると、米国の新築住宅販売は年55万~60万戸に達しても、おかしくはありません。実際の販売ペースより20万~25万戸も多い水準です。確かに期待できそうな数字です。

一方、供給過剰問題は解消しつつあります。公式統計に表れる住宅在庫が適正水準に近づいているうえ、差し押さえ物件の転売など「隠れ在庫」もカリフォルニアやフロリダなど主要5州で「15%減りました」(ゴールドマン)。価格下落を招いて買い手の心理を萎縮させてきた需給の悪化が和らぎ、溜まり続けた潜在需要が表面化するというシナリオです。

■低金利で投資マネーが流入

住宅投資そのものは米国内総生産(GDP)の2~3%を占めるに過ぎませんが、家が売れれば家電や家具も売れます。何よりも、米国のみならず世界中が注視する重要な景気指標で、これが改善するだけでも株価などにも好影響があります。住宅が米経済にとって重要なのは、個人資産・個人消費増加効果も含めた、こうした波及効果の大きさ故です。

■これからが重要な勝負時です

住宅価格が上昇し始めたといっても、ピークの06年比では、まだ6~8割の水準です。スタートラインが極端に低かった為に比較的容易に上昇しているだけともいえますし、欧州債務危機や中国景気減速、世界株安など暗い話題が多いなか、「周回遅れ」で回復してきた米住宅市場が、タイミング的にたまたま目立っているだけともいえます。

今後の課題は、隠れ在庫の再拡大です。過去の不適切な差し押さえ手続きをめぐり米大手銀と司法当局が今年2月に和解し、止まっていた差し押さえ物件の転売が動き出しそうです。「需要の増加で吸収できる」(ズィローのハンフリーズ氏)との声もあるが、ようやく水面上に顔を出した米住宅市場の粘り腰が試されています。

今後のカギを握る伏兵は、米国で今後起こるのではと既に懸念されている「財政の崖」問題です。「財政の崖」問題とは、米政府が2012年末から2013年初めにかけて、一斉に増税や財政支出削減措置を実施して景気を失速させるのではとの問題です。民主党と共和党の冷戦状態が続き、充分な景気対策の実行が困難視されている米政界が、本当にこの問題に対応できるかで、今後の米住宅業界の動向までもが大きく左右されそうです。

今回は、以上になります。

【※】当ブログ記事は、AOIA 株式会社のスタッフが個人的予測に基づき作成した資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。当資料は、飽く迄もAOIA株式会社のスタッフが個人的予測に基づき作成した資料であり、その正確性・完全性を保証するものではありません。当資料中に記載している内容、数値、図表、意見等は資料作成時点のものであり、今後予告なく変更することがあります。当資料中のいかなる内容も将来の投資収益を示唆ないし保証するものではありません。当資料をもとにお客様が金融商品取引行為を行われた場合、金利、通貨の価値、金融商品市場における相場その他の指標に係る変動を直接の原因として生じる利益あるいは損失は、すべてお客様に帰属します。


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