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2012年8月8日(水) 日本企業から外国のライバル企業へ人材流出が続く理由とは?

  • 投稿日:2012年8月8日

「読めば明日の力になる 個人投資家の世界の経済・金融研究日記」

201288日(水)by Dataと小勝負(AOIAアナリスト)

資源が乏しい日本が世界有数の巨大な経済力を築き上げたのは、間違いなく私達の職場での努力の日々の積み重ねによるものでした。

しかし、今日もどこかで目立たない形で、日本企業を支えてきた「有能な人材」が日本を去り、韓国・台湾・中国などの有力なライバル企業へと、移っています。

「日本や自社にとってマイナスな好ましからざる行動」と言う方も多く、その気持ちも分かるつもりです。その一方で、原因を冷静に見ると、「従業員の働き甲斐の軽視」や、「目立たない有能な人材に充分な活躍の場を与えられない組織風土や人事評価制度」などの、

日本企業側の課題も意外と多い事が分かります。あなたの勤務先の社風や人事評価制度を振り返り、あるいは今後伸びそうな企業を探す際の、有力な判断材料にもなりそうです。

投資の世界も、意外とこういった地道な調査の積み重ねが大事です。実際、日本株投資で実績を上げている投資信託でも、丁寧に経営陣の言動を含めた個別企業の分析に日々励んでいる所は、意外とあります。それでは、本題に入ります。

「技術(者)流出」の原因の多くは、古巣への「リベンジ」に燃えての転職でした・・・・

技術流出の多くは、製品を分解して構造や製造法を分析する「リバース・エンジニアリング」などによる、単純な模倣に過ぎません。特許や意匠権の侵害として訴えるケースはあるものの、生産・販売の差し止めにまで持って行くのは、結構難しいのが現状です。

さらに日本メーカーから設計図や製造方法などを記した書類が持ち出され、構造、製法を丸ごとコピーして使うケースもあります。それが製品にはっきり表れるのならともかく、製造過程の技術では、完成した製品を見ただけでは知的財産権の不正利用の立証は難しく、事実上、泣き寝入りするしかありません。

技術流出の多くは実は日本人技術者が実行者で、技術者をつなぎ止められない日本のメーカーの体質に本質的な原因があるとの見方も、存在します。

中国の大手家電メーカーの人材開発部に寄せられた、日本企業の退職者からの求職応募リストによると、定年退職後の年配者は一部に過ぎず、四十、五十歳代が中心で、三十歳代後半の人までいます。その過程に何があったのかまでは分かりませんが、背景には1990年代から延々と続く日本経済の長期低迷、アジアにおけるライバル企業の台頭による業績不振や待遇面の不満などがあるのは、容易に想像がつきます。

日本メーカーの中年退職者はリストラによって、志半ばで会社を追われたケースが多く、それを「拾う神」が韓国、中国、台湾メーカーなのです。リストラされた人材は能力面で劣る訳では、決してありません。仕事一筋で、社内遊泳・交渉術の苦手な実直な技術者も少なくはありません。自己表現が苦手なために実績を上げていてもアピールできていないという気の毒なケースもあります。そうした人材ほど特定分野の技術に深く精通し、技術開発のカギを握っている事が多いのが現状で、そうした人材を正当に評価できず使いこなせないとしたら、残念ながら日本企業側にこそ、より多くの課題がありそうです。

私達の多くは、たまたま日本に生まれて現在日本人で、その多くは日本企業で勤務していますが、本来日本国・日本企業とは別個の自由で独立した存在で、日本(国)と運命を共にする義務まではありません。

日本メーカーの多くは技術者の処遇を依然として昇進昇格を中心に判断しがちで、管理職登用試験などをパスしなければ、平社員のままです。出世を重視する組織風土は、昇進昇格より研究開発に熱心という技術者には居づらい環境で、そこにリストラの波が襲いかかれば、そうした技術者が真っ先に対象となってしまいがちです。

こうした日本の雇用環境は、専門職が日本よりも多い欧米先進諸国から見るとやや異質で、実は雇用面でも極度の日本化(ガラパゴス化)が定着しています。この弊害に苦労するのは、実は海外勤務・海外移住時で、ご自身の中途半端な評価に苦労(苦戦)される方が、後を絶ちません。長期的に個人レベルで見ると、日本にしか居場所がない働き方は、ややリスキーかもしれません。こうした視点からも、専門職重視の企業風土は、一定の根拠があります。本人が向いた仕事をさせた方が結果を残しやすい人は、確実に存在します。

韓国、中国メーカーに新天地を得た日本人技術者の働く動機は、「自分を捨てた日本メーカーへのリベンジ(復讐)」です。それが高いモチベーションとなり、自分の持てるモノをすべて提供し、古巣の日本メーカーの製品を打ち破る製品開発に励みます。日本のメーカーでぬくぬくと働いていた時よりも研究開発の生産性は跳ね上がり、予想以上の成果を上げ、日本メーカーは経営不振に追い込まれがちです。

この動きが以前から活発で、現在さらに加速中なのは、言わずと知れた巨大不振産業の

家電業界です。韓国・サムスン電子の代理人などは、実家の住所まで把握しているケースまであります。私自身の経験からいっても、本気になった人間の成長の速さは、それまでとはまるで違います。これでは多くの大手日本メーカーが、国際競争上不利なはずです。

結局は、「自らがまいた種」です。これからが本当の勝負時かも知れません。

一方、円満に定年退職した後に韓国、中国メーカーから「三顧の礼」をもって迎えられ、モチベーションが上がる日本人技術者もいます。専用車、個室、美人秘書まで用意されて、気持ちが良くならない人は、いませんよね。古巣の日本企業に敵対するつもりはないものの、移籍先から厚遇されるうちに機嫌が良くなってしまい、自分の持っているものを結局はすべて提供し、相手の競争力向上に多大な貢献をしてしまいます。こうしたタイプの技術者の意見が、「中国企業は決断が速く、何か意見を出せばすぐに具体化して、日本企業にいた時よりやり甲斐がある」という点で一致していたのは、実に興味深いものがあります。

私自身、学生時代から中国経済の急発展には深い関心があり、その原因を考え続けていますが、意外と大事なのは、「自分の未熟さを認める勇気」、「足りないものは誰からでも貪欲に学べる謙虚さ」「強烈な発展志向と公私を問わない実行力」だと思います。

マスコミではこうした報道はあまりされていませんが、私自身がこの方法で現在成長中なので、見立てはそう悪くはないと思います。あなたは、どの様にお考えですか?

『日本メーカーは技術を大切にしても、技術者の処遇をおろそかにする事が多いのは、技術はカネを生むが、技術者はカネを使う」という発想があるからだ』との見方が、以前から有力視されています。

日本メーカーが技術者の処遇を大胆に転換し、技術者が快適と思う様な環境を作れれば、日本企業からヒトを通じた技術流出は食い止められ、アジア諸国のライバル企業からも、有能な人材をいずれ招き入れられる日が、来るかもしれません。なぜなら人間の脳は、本当に自由を感じた時に、その潜在能力を解き放ち、本人の成長が加速するからです。

今回は、以上になります。

これからも、一味違う記憶に残るブログを、毎週作成します。

【※】当ブログ記事は、AOIA 株式会社のスタッフが個人的予測に基づき作成した資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。当資料は、飽く迄もAOIA株式会社のスタッフが個人的予測に基づき作成した資料であり、その正確性・完全性を保証するものではありません。当資料中に記載している内容、数値、図表、意見等は資料作成時点のものであり、今後予告なく変更することがあります。当資料中のいかなる内容も将来の投資収益を示唆ないし保証するものではありません。当資料をもとにお客様が金融商品取引行為を行われた場合、金利、通貨の価値、金融商品市場における相場その他の指標に係る変動を直接の原因として生じる利益あるいは損失は、すべてお客様に帰属します。


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