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日本の生命保険料はなぜ高いのか?

  • 投稿日:2015年4月29日

 日本の生命保険料は、世界的にみて本当に高いのでしょうか。高いか安いかの判断は、一般には、それほど簡単ではありません。その商品の価値をどう感じるか、という主観が入ってくるからです。その後で、価格の比較の問題になります。では、保険の場合はどうでしょうか。保険はお金(数字)で内容を評価出来る、味気ない無機質な金融商品です。だから種類によっては判断するのが意外と簡単です。

 

 保険はお金をいくら払って、どれほどの保障を得られるか、というシンプルな商品です。その意味で、保険はコモディティ(差別化困難)商品ですですから、「同じ保険を買うならば、安ければ安いほどいい」、ということになります。

 

 日本の保険料が高いのかどうかを知るために、米国の保険料と比べてみましょう。比較するには、もちろん、同じ内容の保険で比べなければなりません。どこの国でもプラン内容が同じなのが、一定期間、死亡だけを保障する「定期(死亡)保険」です。この保険で日米の保険料を比べてみましょう。

 

 為替を1ドル100円で試算してみます。すると、米国の保険料は日本の約半額という結果になります。詳しく言うと、日本の大手生保より約50%安く、日本のネット・通販系生保より約25%安い水準です。この種の比較計算には為替レートが大きく影響します。最近の円安相場、1ドル=120円ですと、大手生保より40%、ネット生保よりも10%安くなり、その差は縮小します。とはいえ、日本の大手生保の保険料が米国の水準と並ぶためには、1ドル=210円まで円安が進む必要があります。本当に必要でしょうか?

 最近は日本でも、ネット・通販系生保や各種共済がかなり保険料を引き下げ始めています。そのため、この10年で日米の保険料格差は縮小傾向です。かつては、高い日本の保険を見限り、米国で生命保険に入る日本人も多く見られましたが、最近は減ってきているようです。しかしそうは言っても、日本の保険料の水準は欧米と比べた場合、まだまだ高止まりの状態にあります。格差はそう簡単には埋まりません。

高い生命保険料、その3つの理由

 どうしてこのような保険料の差が生じるのでしょうか。実は、為替とは関係なく、そこには日本の保険の構造的な問題があるのです。その主な理由は3つです。

1.保険会社の手数料が高い

2.保険料の元値(原価)が高い

3.プーリング(リスクの度合いに応じて保険集団を分ける)方式が硬直的である

 主要な金融商品の中で、購入の手数料が際立って高いのが保険です。たとえば、投資信託は3~5%ですが、日本の損害保険は30~35%です。ひとケタ違います。これに対し、欧米では20%台です。これは欧米の保険会社が経営の効率化により、日本よりも少ない経費で保険事業を運営していることを意味します。

 生命保険はどうでしょうか。ほとんどの生保会社は手数料を公表していないので、詳細は不明です。ただ、おおよそ損害保険と同じか、それより高めの水準と考えられます。一応の目安はライフネット生命が発表済みで、話題になりました。その一因はやはり、日本の生命保険会社は「生保レディ」に代表される従来型の人海戦術の営業に、人件費を中心とした巨額の経費をかけているためです。保険の手数料が高いのは世界共通ですが、先進諸国の中でも日本は突出しています。

 保険は例えは悪いのですが、ギャンブルと同じです。下手をすると胴元である保険会社が負けて損をすることもあります。運悪く不幸があった人にはほぼもれなく、ご自身が払った(以上の)お金が帰って来る、特殊な金融商品と言っても良いでしょう。そこで保険会社は確率論(保険数理)を使って、滅多なことでは損をしない仕組みを作りあげています。保険は高度な確率でつくられた商品です。

一方、保険会社は、死亡や事故の際に支払うお金を準備するため、事前に十分な保険料を集めておく必要があります。保険料のうち将来の支払いに備えて集めた分、それが保険の元値(原価)です。

 保険料は死亡率や事故率を用いて確率論から計算されます。しかし確率は、いくら精緻に計算したものであっても、あくまで将来の個人レベルでは不確かな予想に過ぎません。ガンで死ぬ人もいれば全く無関係の人生を送る人もいるのが、分かりやすい一例です。医療の発展に伴って平均寿命や死亡率も変わっていきますので、予想は外れることもあります。そこで日本の保険会社は、さらに安全を見込んで、保険料を高めに決めています。米国の保険会社は、厳しい保険料の価格競争にさらされていますので、日本ほど安全率を上乗せすることができません。こうして元値の決め方でも、日米の保険料格差の違いが出るのです。

「割り勘」か「個別払い」か?

 最後が、日米のプーリング方式の違いです。プーリングとは保険リスク(たとえば、健康と不健康)の度合いに応じて、保険集団(健康なグループと不健康なグループ)を分ける考え方です。日本の生命保険料は、主に「割り勘」方式で決められています。みんなで公平に同じ金額を負担する(保険料を払う)方式が中心です。それに対して、米国は自己責任がより重視されるお国柄もあって「個別払い」方式を多く取り入れています。不健康な人は、その分多く払います。健康な人は、不健康な人の分を負担しませんから、安くなります。

 消費者にとって、選択肢の多いほうが満足度も高いと考えるなら、日本の生保会社は、プーリングをもっと弾力的に取り入れるべきだと思います。たばこを吸わない人の保険料が安いプランが増えてきたのは、良い傾向です。

 保険の手数料は、保険会社の経営努力により、今後、ますます引き下げられていくでしょう。すでにその動きは出始めています。しかし、まだまだ欧米並みの水準にはなっていません。保険の元値は、金融行政の考え方の問題もからみ、相変わらず高止まりの傾向が続いています。

 やや微妙な話題にはなりますが、日本の保険料が高い裏事情は、かつては日本国債、最近は日本株の買い支えの資金源として、官民から期待され実際に買ってきた歴史もありそうです。こういっては何ですが、私も含めた日本の個人投資家がより多くの日本株を買うようになれば、日本の保険会社も身軽になり、長期的には保険料を更に下げやすくなりそうです。この様に、世の中は意外なほどつながっています。

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今回は、以上になります。グローバル資産形成学院フェローのDataと小勝負からでした。

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