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日本の格差社会の特徴と解決の兆し

  • 投稿日:2015年4月10日

 私の仕事の軽く半分は勉強で、ある程度までは好きなテーマで調べては書いている。その結果、マスコミがあまり報道しない意外と重要な事実や、自分が今まで知らなかった現実を調べては、自分がお金を払ってでも読みたいレベルの物を書こうと、日々奮闘している。お金をもらって好きな事を書くのは、実は楽しい様でしんどい。しかし、一度これが面白くなれば、そう簡単には止められない。楽ではないが面白い事は、実は世の中にはいくらでもあるし、ちょっとした知識と考え方ひとつで、人生は意外と楽しくなっていく。日本の課題も、少なくてもその一部は改善中だ。

 米国ほど極端ではないものの、日本でも格差拡大は確実に進んでいる。野村総合研究所の調査によると、日本の金融資産5億円以上の世帯数は2000年の6万6,000世帯から13年には5万4,000世帯まで減少したが、それらの世帯が保有する金融資産総額は43兆円から73兆円へと、むしろ増加した。1世帯当たりの金融資産額は6億5,000万円から13億5,000万円へと倍増したことになる。米国人の感覚からすると、実は彼らは大した金持ちではない。米国の大金持ちとは、年収が数千万ドル(数十億円)クラスなのだ。

 

 一方で金融資産3,000万円未満の世帯数は3,761万世帯から4,183万世帯へと約1割増加し、1世帯当たりの金融資産額は1,338万円から1,289万円まで減少。この調査結果を見る限り、日本では一部の超富裕層へと富の集中が進み、一般的な資産階層では反対に富が分散していることが分かる。アベノミクスによる資産効果の恩恵が、もともと多くの金融資産を持っていた人ほど大きかった半面、一般庶民にはそれほど届かなかった可能性はある。株式投資をするにも、百万単位のお金はあった方が良い。

 トマ・ピケティ氏の共同研究者である米カリフォルニア大学バークレー校のエマニュエル・サエズ教授と、一橋大学経済研究所の森口千晶教授が行った研究からは、また違った格差の実態が浮かび上がる。それによると、日本で近年最も所得シェア(国民総所得に占める割合)を伸ばしているのは、上位5%に属する所得階層だ。これは年収で750万円程度、ちょうど大企業の正社員クラスに相当する。

 同研究では、日本では中間層を含む下位90%の所得階層において、所得水準が1990年代から2010年まで一貫して下落傾向にあったことも、示されている。長期デフレや国際価格競争の激化による企業業績の低迷、非正規雇用の拡大などによって日本国民の大多数の平均年収が下がり、結果として上位5%の所得シェアが拡大したということが、この研究から読み取れる。

 しかし年収800万円は大都市圏では、新築でまあまあのレベルのマンションや持ち家を何とか買えるレベルだ。結婚して車を買い保険に入り、子供を1~2人育てている場合だが。彼らは本当に、富裕層だろうか? 私はそうは思わない。

 

 米国では上位1%の高所得層が占める所得シェアが20%近くに達しているのに対して、日本では10%弱に過ぎない。ウォール・ストリート・ジャーナルの記事で、私はそのグラフを見た。この一因は、太平洋戦争時とその後のインフレ、更には農地解放などで日本の富裕層が経済的に大打撃を受け、戦後は比較的平等な経済状況でやり直せた点が大きい。日本の格差拡大は、富裕層の増加よりも低所得者の増加によるところが大きいと言われている。実際に日本では低所得の高齢者や母子家庭が増加し、若年層の失業や非正規雇用も目立つ。所得が中央値の半分に満たない人の割合を示す「相対的貧困率」は、1985年の12.0%から2012年には16.1%まで上昇した。ちなみに12年の貧困基準は、2人世帯で年間可処分所得173万円と、ぎりぎりの状況だ。

 

経済成長は格差是正の万能薬ではない?

 これについての意見や調査結果は国や時代ごとに違い諸説あるが、ピケティ氏が著書「21世紀の資本」の中で示した【r>g】(資本収益率>経済成長率)という法則に沿えば、ある国の経済成長率が低下すると、その国で資本を持つ者と持たざる者の格差は広がる。逆にいうと、格差を縮小するためには経済成長が必要になる。日本の低所得者増加が長期の経済停滞が原因だとするなら、経済成長が日本の格差是正につながると考えるのは自然な流れに見えそうだ。しかし近年の日本や欧州では預貯金の金利がインフレに負けそうなほど低い。まずはここにやや矛盾点が見受けられる。仕事で今までよりも稼いでお金を残すか投資で成功しないと、実は日本の富裕層の資産は意外と増えにくい。

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 しかも経済成長と格差の関係はそれほど単純なものではない。前述したエマニュエル・サエズ教授と森口千晶教授の研究によると、日本で過去に実現した高成長は、第2次大戦前と戦後ではその環境要因が異なる。要約すると、1890年~1938年の急成長は資産家と財閥系大企業を中心とした「格差社会」の中で実現し、1955年~73年の高度成長は近代的な日本型企業システムによる「平等社会」の中で実現した。これは経済成長と格差の関係が一意的に決まるものではないことを示唆している。実際、近年の経済急成長が注目されている中国やASEAN諸国などは、日本以上の格差社会だ。貧しい国ではその方が、車などのそれなりに高度で高級な商品が売れて、国内の産業や商業が発展しやすい一面もある。

 

 恐らく経済成長は格差是正の万能薬ではないし、格差が絶対に悪いという訳でもない。ピケティ氏自身も語っているように、イノベーション(革新)や人々のやる気を引き出すうえで、ある程度の格差は必要なのだ。私も、悪い意味の悪平等は、実は嫌いだ。大切なのは、本人の努力やの能力や成果が報われ格差が長期にわたって固定されない状況を創り出すことではないだろうか?

 その意味で、日本の格差問題について議論する際には、日本人の意識やライフスタイルの変化にも注目すべきだろう。ある程度までは、貧しい人に自身にも、原因(責任)はあるのだ。例えば離婚の原因が全て夫ばかりにある家庭は、果たしてどれくらいあるだろうか? 若年層の失業や非正規雇用が増えているのも、昨今の若者意識と無関係ではない。本気で働かないと、職場では弾き飛ばされる。

 

 専門家からはこうした貧困層の固定化を防ぐために、富裕層だけでなく中間層も含めた日本社会全体の負担増が欠かせないという声が上がっているその場合、単なる財源負担にとどまらず、教育や地域での支え合いなどソフト面から貧困に対処する施策も求められてくるはずだ。経済成長が重要なのはもちろんだが、本当に成長すべきなのは人間社会の方かも知れない。

 

 日本の税制の弱点は実は、「医療費の非課税」だ。医療機関は建物や備品などを購入する際にきちんと消費税を払っているので、消費税率が上がるほど経営は苦しくなっていく。個人的にはむしろ医療費にも消費税を適用し、その代わり食品や衣料品などの税率を下げる方がまだましだと思っている。

実は意外と好転中の地方の財政と景気

 「アベノミクスの恩恵は地方に及んでいない」は決まり文句だが、果たして本当だろうか。経済の地力を映す税収をみてみよう。政府が毎年作っている「地方財政計画」は、2015年度の地方税収を合計37.5兆円と見積もっている。14年度の当初見積もりは35兆円だったので、2.5兆円の税収増だ。企業業績が好調なので、実際にはこの見積もりは上振れするだろう。日本企業の経常利益は14年10~12月期に18兆円余りと、四半期ベースで過去最高を更新した。

 「企業業績が好調でも、恩恵は本社所在地の多い東京にしか及ばない」。そう思いがちだが、実はそうでもない。人口約70万人の島根県をみよう。2015年度の県税収入は653億円と前年度に比べ15%も増える見通しだ。なかでも法人県民税・事業税(法人二税)の伸びが大きい。15年度は170億円と同33%増を見込んでいる。人口60万人足らずのお隣の鳥取県。15年度の県税収入は510億円と11%もの伸びを見込んでいて、法人二税は117億円と11%増の見通しだ。

 東京都や愛知県に比べて出遅れ気味とされた大阪府はどうか。15年度の府税収入の見積もりは19%増の1兆3962億円で、うち法人二税は3541億円と9%増を見込んでいる。これでも地方は取り残されているのだろうか? ちなみに子供の出生率は東京などの大都市圏よりも地方の方が圧倒的に高く、少なくてもそれくらいの経済力や人手と時間は、地方にはある事になる。企業は全国規模で仕入れ・生産・販売して、従業員を雇っている。だから企業が元気になれば、好業績の余沢が及ぶ。しかも円高是正のおかげで、企業が生産の拠点を国内に戻し始めている。

 円高是正で外国人観光客の拡大という効果もある。何度も日本の来てくれるリピーターが増えるにつれて、外国人観光客は地方にも足を延ばし始めた。各地の観光業にはまたとない追い風だ。特に中国人の外国旅行ブームは、まだ始まったばかりの可能性が高い。まずは日本滞在中はどこでも無料で通信と通話が出来る用にすれば、かなり反響はあるだろう。深刻そうな議論は学者や政治家たちに任せて、私達は出来る事を真面目に続けてしっかりと実を取って行くのが、正解だろう。社会人は学生ではない。やれる事はいくらでもある。後はするかしないかだが、どうせならやれるだけやる方が、気持ちが良い。後で余計な後悔をする心配がないからだ。

 

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 今回は、以上になります。グローバル資産形成学院フェローのDataと小勝負からでした。

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】当ブログ記事は、グローバル資産形成学院のスタッフが個人的予測に基づき作成した資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。当資料は、飽く迄もAOIA株式会社のスタッフが個人的予測に基づき作成した資料であり、その正確性・完全性を保証するものではありません。当資料中に記載している内容、数値、図表、意見等は資料作成時点のものであり、今後予告なく変更することがあります。当資料中のいかなる内容も将来の投資収益を示唆ないし保証するものではありません。当資料をもとにお客様が金融商品取引行為を行われた場合、金利、通貨の価値、金融商品市場における相場その他の指標に係る変動を直接の原因として生じる利益あるいは損失は、すべてお客様に帰属します。


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