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2012年9月7日(金) 投資適格目前のフィリピンを支える高水準の人材たちの素顔とは?

  • 投稿日:2012年9月7日

「読めば資産形成の力になる 個人投資家の世界の経済・金融研究日記」

201297日(金)by Dataと小勝負(AOIAアナリスト)

こんにちは。世間のブームをスルーして、割と淡々とデータやトレンドと日々相談している、Dataと小勝負です。現在旬の新興国とされているのはミャンマーの様ですが、私もAOIAも以前からフィリピンが化けそうな予感があり、調査中です。

今回は、投資適格目前のフィリピンを支える高水準の人材たちがテーマです。

フィリピンの理工系大学を卒業したメルマール・バルラン氏が、オーストラリア北東部クィーンズランド州の鉱山で働くようになったのは1年半ほど前の事です。炎天下の中、自分の身長を超える大きさのタイヤを装着したダンプカーが昼夜を問わず行き交う。ここで建機メーカー、コマツのサービスエンジニアとして常駐しています。

現在、コマツは約100人の日本人サービスエンジニアを抱えています。機材の仕組みを熟知していなければ仕事はこなせません。大学や高等専門学校で機械工学などを学んだ日本人社員を教育し、各国に配置しています。

ところがこの要職は、年々、日本人要員が確保しづらくなっています。「内向き志向」と言われる若者が増え、海外で働くことへの抵抗感が強まっている為です。コマツの米国工場などに向けて、設計の問題点をリポートにまとめたり、現地の鉱山会社とやり取りしたりするには、高い英語力も求められます。

残念ながら、サービスエンジニアの候補として10人の日本人を新卒採用したとしても、英語力が身につかず、鉱山勤務の適性がないなどの理由で結局、海外に送り出せるのは3人位なのが実情です。

一方で、コマツの鉱山機械に対する需要は世界的に高まっており、このままではサービスエンジニアが不足しかねず、注目されているのがフィリピン人です。

今ではすっかり豪州での仕事にも慣れ、「オーストラリアで働き続けたい。何年でも構わない」と流暢な英語で申し出る猛者も、既に存在します。

フィリピン人が人気の理由の1つは、国民の大半が英語を自由に操れる事です。現地のタガログ語と並び、英語が公用語になっており、グローバルに活躍する人材を確保する場に向いていると判断する企業は、既に相当数に及びます。

海外志向が強いことも強みです。現在、9,400万人いる国民の約9%に相当する約860万人が海外に滞在し、統計に表れない滞在者を含めれば、1,000万人に達するとも言われています。その多くは家族を残して海を渡った出稼ぎ労働者達です。

稼いだお金の多くは本国の家族を養うために送金しているため、昨年の送金額は名目GDP(国内総生産)の1割強に当たる188億ドル(約1兆4700億円)に達しており、フィリピンの消費経済(内需)を下支えしています。

海外就労者の職種は、確かに伝統のある家事労働者(メイド)や看護師が目立ちますが。最近は職種の多様化と高度化が進行中です。国民の技能レベルは年々高まっており、エンジニアや会計士、医師など様々な専門知識を兼ね備えた人材が増えているのです。

世界銀行によると、フィリピンの大学進学率は約29%に達し、中国の24~25%やインドの約13%を既に上回っています。富士通フィリピン法人のピーター・タン社長は、「この国の人々は教育熱心だ」と話しています。身内で優秀な子供がいれば、親戚や親兄弟が大学卒業まで金銭面で支援するのがフィリピンの習わしです。特に技術者が豊富な事が、強みです。製造業も今後は急発展するかもしれません。

高等教育を受けた工学系の人材は年間約30万人、IT(情報技術)系は年間26万人が輩出されています。フィリピンの若年層は増加中で、企業は豊富な労働市場の中から優秀で自社に適した人材を選べます。

若年層の拡大は宗教上の理由もあります。国民の8割はカトリック教徒。カトリック教国の中でもフィリピンは戒律が厳しい方で、避妊や妊娠中絶が禁止されています。このため子供の人口が増え続けており、20歳未満の国民が全体の約44%に達しています。

高齢化が進み、20歳未満が総人口の2割に満たない日本と比べ、人口構成は極めて若いのが特徴です。

労働市場を支える15~64歳の人口比率は、何と2050年頃まで増え続ける見通しです。

・・・・軌道に乗れば、長期的な発展が続く可能性も、期待できそうなのです。

4年後に技術水準が日本に並ぶ・・・!

フィリピンの人的資源の充実ぶりは、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)市場が急成長している事からも、明らかです。

BPOとは、企業が総務や人事、経理、知財などの管理業務を外部に委託することです。ソフトウエアのプログラミングなどIT関連業務や、顧客からの電話問い合わせなどに応対するコールセンター業務も含まれます。

世界最大のBPO拠点はインドですが、ここ数年はフィリピンが猛追。フィリピンのBPO市場は10年前と比べて約10倍の約90億ドル(約7,020億円)近くまで急成長しました。特にコールセンター業務は昨年、世界シェアが2割となり、インドを抜いて首位です。

例えば、米IBMは2004年からフィリピンで大規模なBPO事業を展開しており、世界中の顧客企業から業務を受託しています。昨年末には“本家”であるインド最大の財閥、タタグループまでもが、フィリピンのBPO市場に参入した程です。実力は「本物」でしょう。

その理由は、「フィリピンは英語のみならず、中国語や韓国語、日本語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、ポーランド語などアジアや欧州の言語を使いこなすスタッフが集めやすい」からです。

これは国民の多くが海外に働きに出ている事と、関係しています。フィリピンの出稼ぎ労働者は、非英語圏にも大勢が滞在しています。現地人と結婚して子供を育てて帰国すると、妻や夫が母国語を話せる人材としてフィリピンで働くようになります。また子供が大きくなると、やはり生まれた国の言語を操る人材に成長します。こうして労働市場に多様な言語が溢れるように、なります。

非製造業の一般スタッフの賃金水準はマニラの場合で月394ドル(約3万732円)が相場です(ジェトロ調べ)。多様な言語に対応する、若い人材を安価に確保できる労働市場が、実は日本の隣にあったのです。これなら伸びても不思議ではありません。

ITに関する技能レベルも年々高まり続けている。

カーナビゲーションや駆動装置など、自動車関連のソフト開発を手がける富士通テンは、1999年にフィリピン子会社を設立。当初51人だった従業員は昨年375人にまで膨らみました。今年中に431人まで増やす予定で、名門フィリピン大学出身者も採用しています。

技術者の増加とともに、開発内容は年々高度化しています。単純なソフトの検査から始まり、現在は仕様変更なども手がけます。今後は最も難易度が高いシステム設計まで業務領域を広げる予定です。

フィリピン人は日本人が多い職場環境になじみやすいとの評価も、見逃せません。不平の少ない人が目立ち、インド人よりも外国の食べ物や気候、文化などへの適応力が高く、日本に対して「平和で豊かな国だ」と親近感を持ってくれている人が目立ち、チームワークに向いている人が多いのです。カトリックの影響もあるかと思いますが、結構幸せ者なのかもしれません。カタコトの英語も割と通じます。

・・・・マイペースで時には天狗になりがちな私よりも、実は人間が出来ている???

確かにこれなら人気者です。フィリピン(人)のポテンシャル、確かに侮れません。

という訳で、フィリピン(人)は、今後も要チェックだと思います。

来週も、意外なテーマでのブログの発表を予定しています。お楽しみに。


今回は、以上になります。

【※】当ブログ記事は、AOIA 株式会社のスタッフが個人的予測に基づき作成した資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。当資料は、飽く迄もAOIA株式会社のスタッフが個人的予測に基づき作成した資料であり、その正確性・完全性を保証するものではありません。当資料中に記載している内容、数値、図表、意見等は資料作成時点のものであり、今後予告なく変更することがあります。当資料中のいかなる内容も将来の投資収益を示唆ないし保証するものではありません。当資料をもとにお客様が金融商品取引行為を行われた場合、金利、通貨の価値、金融商品市場における相場その他の指標に係る変動を直接の原因として生じる利益あるいは損失は、すべてお客様に帰属します。


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