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原油安を長期化させそうなサウジとロシアの事情とは?

  • 投稿日:2014年12月23日

先週は「中国と原油とロシアとルーブルの関係」を中心に世界の経済と投資環境の最新事情を確認しましたので、今回はサウジとロシアを中心に、今回の原油安が長期化しそうな理由について、ご一緒に確認してみましょう。

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サウジが主にイランに対して仕掛けけている「石油戦争」は制御不能に陥るリスクも・・・

1974年10月にイスラエルと中東アラブ諸国との第4次中東戦争が勃発すると、アラブ諸国は石油の生産を減らして劇的に価格を釣り上げるとともに、イスラエルを支持する米国を罰するため、石油の輸出禁止に踏み切った。サウジの協力がなければ、大規模な禁輸は不可能だっただろう。

 サウジは今日、再び石油を経済的な武器として利用している。しかし今回行っているのは価格押し上げと供給削減ではなく、その正反対だ。2014年6月以来、国際石油価格が大幅下落したのを目の当たりにしながら、サウジは減産を拒んだ。相場を反転させようとするどころか、11月27日のOPEC総会では、一部の加盟国の強い要望を無視する形で、減産見送りの音頭を取った。この政策は無視できない結果をもたらした。過去2年間、1バレル=105─110ドル前後で安定していた北海ブレント油は、6月の112ドルかおよそ半値のら60ドル近くまで下がった。

 サウジが仕掛けた最新の「石油戦争」には主な標的が2つある。従来型石油と競合するには価格の高止まりを必要とする米シェールオイル生産者を市場から締め出すのが1つ。だがより大きな狙いは、シリアの内戦においてアサド政権を支えるロシアとイランを罰することにある。内戦が勃発した2011年以来、中東諸国と世界の列強はシリアを舞台に代理戦争を繰り広げてきた。サウジとカタールがシリアの反体制派に武器を提供しているのに対し、イランと、それより程度は落ちるがロシアは、アサド大統領が権力を維持できるよう武器や資金を供与してきた。

 米国がイラクに侵攻した2003年以来、アラブ世界の伝統的な中核国であるエジプト、サウジアラビア、その他湾岸諸国はイランの影響力拡大に神経を尖らせてきた。核開発の野望、イラク政府に対する影響力の拡大、イスラム教シーア派民兵組織ヒズボラとイスラム原理主義組織ハマスに対する支援、シリアとの同盟関係などだ。最近はイランが支援中の反政府武装組織がサウジアラビアの南の隣国のイエメンを支配しつつあり、サウジのイランへの警戒心は、依然として高い。サウジ王家は現在、バーレーン、イエメン、シリア、その他どこであれ、イランの魔の手が伸びる恐れがある国との同盟強化を急いでいる。そして伝家の宝刀、石油を使ってイランとロシアに巻き返しを図ろうとしているのだ。

 ロシアとイランは石油価格の安定に大きく依存している。数多くの試算によると、ロシアが予算公約を守るには、石油は1バレル=100ドル前後を保っていなければならない。西側諸国からの制裁と経済的孤立に直面するイランは、さらに高い価格を必要としている。イランは既にサウジの戦略によって経済的打撃を被った。OPEC総会の減産見送り決定を受け、11月30日にイランの通貨リアルは対ドルで6%近くも下げた。

サウジ自体は石油安の影響から身を守れると信じている。価格の下落分はいつでも生産増加によって補える。あるいは7500億ドルに上る外貨準備に少し手を付ければ、収益悪化の打撃を和らげることが可能だと。だが1バレル50ドルや40ドルと原油価格が急落する可能性もある。最大の産油国であるサウジアラビアは、少なくとも2015年半ばまでは減産へ関心を示さないだろう。(政治的に敵対する)イランの核協議が持ち越しになり、15年はその決着を図る年だ。イランへの圧力を考えればサウジが減産する利点は当分ない。

 

 とはいえ、サウジが危険な賭けを演じていることは確かだ。イランやロシアのような独裁的体制が経済圧力によって行動を変える保証はない。さらに悪い可能性としては、サウジの策略が裏目に出て、ロシア、そして特にイランが中東におけるサウジの影響力拡大に対し、いよいよ態度を硬化させることが考えられる。特に経済面・金融面で追い詰められたロシアにとっては、多少強引な手段を選んででも、原油価格の反発は、結果的には歓迎できる状況だろう。いまさらウクライナに介入しても、欧米諸国からの更なる強力な制裁が待っているだけだからだ。イラクとイエメンが気になる。

 シリアとイラクで代理戦争を繰り広げることにより、サウジはロシアおよびイランとの石油戦争を引き起こすリスクを冒している。原油安の定着は、少なくても短期的にはサウジが勝利を収めるかもしれない。しかし宗派間の争い同様、サウジの行為はだれにも制御できない大火に発展する恐れを秘めている。最近懸念されている中国経済の急減速が定着した場合、原油安による経済面と財政面の状況悪化に、サウジ自身が数年後には困惑しているかもしれない。

 原油安による収入減もあってか、ロシアのノバク・エネルギー相は12月16日に、2014年の原油生産の水準を2015年に入っても維持すると表明した。市場シェア縮小につながるとして、減産は行わない方針を示した。「減産を行えば、輸入国が生産を拡大させ、われわれが市場のシェアを失ってしまう」と語った。原油相場がいずれは安定するとの意見にロシアが賛同していることを明らかにする一方、どの水準が底値となるかは「誰も見極められない」とも述べた。そしてロシアルーブルの相場は、基本的には米ドル建ての原油価格に沿って上下する。これだけでも、ルーブルの為替リスクの高さは、明らかだろう。

 

ロシア経済と原油とルーブル相場の関係にご興味ある方は、こちらのAOIAブログもどうぞ。

「ロシアはルーブル相場決定ルールを知らず間違った金融政策で衰退中か?」

http://www.aoia.co.jp/wp/archives/6352

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https://argo-navi.net/mielca_aoia/PublicMailMagazineEntry.aspx?no=3

AOIAフェローのDataと小勝負からでした。今回は、以上になります。

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