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2012年8月11日(土) 今年後半から来年前半に予想される米景気減速と円高ドル安の要因とは?

  • 投稿日:2012年8月11日

「読めば明日の力になる 個人投資家の世界の経済・金融研究日記」

2012811日(土)by Dataと小勝負(AOIAアナリスト)

「円高は飽きた。早く円安にならないかな♪。そしたら為替差益で一儲けできるのに♪」

あなたもその様に考えた事はありませんか? 実は私も、何度もあります。

確かに日本と比べるとアメリカの方が、財政事情がましで、人口が増加し、株価も堅調な様ですので、「国力や経済成長率が高い国の通貨こそが上がるはず」という一般的なイメージから考えると、現在の円高ドル安傾向が続くのは、結構不思議ですよね。

その理由を詳しく説明すると専門書が軽く一冊書ける程の内容になりますが、一番分かりやすい判断基準としては、「インフレ(物価上昇)が続くアメリカの通貨ドルは価値が下落傾向で、デフレ(≒物価の長期的下落)が続く日本の通貨 円は価値が上昇傾向」だという事です。

もちろん、為替相場(通貨の交換価値)の変動には、その時々の様々な要因も働きます。

2012年初めに私が書いたコラム群「日本国債を考える1,2,3」でも予想した様に、日本の消費税増税が決まった事も、もちろん円安を食い止める要因ではあります。

今回もブルームバーグのニュースなどをもとに、今年後半から来年前半にかけて予想される米景気の動向と円高ドル安の要因を、ご一緒に考えてみましょう。政治がらみの要因が意外と目立ち、その時になってみないと分からない点が多い事は、念のため事前に申し上げておきます。

2012年8月9日(ブルームバーグ有料版)

製造業景況感は水面下

米連邦公開市場委員会(FOMC)声明の2日後に公表された非農業部門の雇用者数が16万3,000人増えたため、米金融市場の景気に対する見方が楽観に傾いています。しかし、米景気に先行するISM製造業景況指数は、2カ月連続して景気の拡大・縮小の分岐点の50を下回り、多くの経済統計は景気のピークアウト(拡大時期の終了)を示唆しています。FOMCの主流派は最高度の臨戦・警戒態勢を維持しているとみて、間違いないでしょう。

まず、米国の国内総生産(GDP)の7割強を占める個人消費に、異変が生じています。小売売上高は6月まで3カ月連続でマイナス成長です。製造業の景気先行指標となる非国防資本財(航空機を除く)新規受注額は、昨年12月をピークにして、6月までに約4%減少しました。

雇用増加は落日の輝きに過ぎないのかも知れません・・・

つい忘れがちですが、雇用統計は景気に遅れて反応します。現在の数字がいくら良くても、来月以降の米景気を必ずしも反映していない点は、注意が必要です。

今月3日に発表された7月分の雇用統計では、非農業部門の雇用者数が予想以上に増加したため、市場関係者の間では景気に対する悲観論が和らいでいますが、楽観は禁物です。失業率は8.3%にまで上昇しています。

今回の景気拡大局面で、失業率は今年4月の8.1%が底で、7月には8.3%と0.2ポイント上昇しました。過去の記録では、失業率が直近のボトムから0.5ポイント以上急上昇した場合、毎回景気後退が起こりました。

しかも困った事に、今回の景気上昇局面では今年4月の8.1%が底で、異常に高いのです。景気拡大局面で失業率が8%を下回らなかったのは、驚くべき事に大恐慌以降見られない現象です。2009年6月の景気の谷から既に3年1カ月が経過していますが、失業率は8%を下回らず、逆に上昇に転じている有様です。

これは危険な兆候です。アメリカの多数の企業の株式や債券に広く浅く投資して利益の獲得を目指す、インデックス型のファンドやETFを購入するのは、個人的にはあまりお勧めできません。米国の株式・債券を購入されたい方は、日本と同様に、厳選された一部の企業のものにすると良いでしょう。

問題は、バーナンキ議長ら金融当局者が、追加金融緩和によって、この黄昏(景気悪化)を夜明け(景気回復)に戻せると、考えている事です。

偽りの景気回復?

既に景気拡大局面が3年以上も続いている中で、失業率が8%を下回れないのは、米連邦公開市場委員会(FOMC)の量的緩和(QE)により金融市場がバブル化し、偽りの景気回復に慢心している為でしょう。これでは経済の構造改革は、なかなか進みません。

もともと雇用問題は、金融政策で改善できるほど、単純なものではありません。金融はあくまでも経済の潤滑油であり、それ自体でモノやサービスを作り出す事は、できないからです。価値あるモノを作り出すのは労働者であり、その労働者が十分な職を得られない状況を、まず修復する必要があるのです。

しかし、多くの労働者は充分な職が得られず、職を維持できたとしても賃金はインフレ率よりも抑えられ、実質的にはマイナスです。FRBのバーナンキ議長はまず金融政策の限界を認め、政府・議会の行動を促す方が、現実的です。

バーナンキ議長らFOMC指導者が、金融政策で経済が拡大するという幻想を振りまいていると、行政府や議会指導部も金融政策に過度に頼り過ぎるようになり、本格的な経済・産業改革への動きが鈍ってしまいます。

財政の健全化に向けて、政府と議会の対立が解消されず、「財政の崖」の危機に直面しているのも、金融政策により国債利回りが異常な低水準に落ち込んでいるのが、一因です。要約すると、財政改革へのインセンティブ(刺激・動機)が、超低金利政策によって、失われている訳です。

「財政の崖」問題は、どれほど深刻か?

「財政の崖」問題とは? 今年末にはいくつもの減税策が期限切れになり、来年から歳出の強制削減も始まります。その結果、驚くべき事に、何もしなければ、国内総生産(GDP)比で4%を超える規模の経済の緊縮が、少なくても計算上は自動的に起きるのです。

「来年が2%成長か、はたまたマイナス1%成長か。全く読めない」。米資産運用大手ブラックロックの債券運用責任者のフィッシャー氏は、頭を抱えています。

顧客達から大統領選と経済の分析を聞かれると「意味がない」と答えている有様です。 米商工会議所による今年7月の中小企業調査によると、政府に望むのは「邪魔をしないでほしい」が78%と「支援してほしい」の15%をはるかに上回っています。期待よりも今の停滞に疲れ果てた経営者のため息が、聞こえてくる様です。

こうした米経済の内部事情は、今後の為替レートにも、少なからず影響を与えそうです。

今回は、以上になります。

【※】当ブログ記事は、AOIA 株式会社のスタッフが個人的予測に基づき作成した資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。当資料は、飽く迄もAOIA株式会社のスタッフが個人的予測に基づき作成した資料であり、その正確性・完全性を保証するものではありません。当資料中に記載している内容、数値、図表、意見等は資料作成時点のものであり、今後予告なく変更することがあります。当資料中のいかなる内容も将来の投資収益を示唆ないし保証するものではありません。当資料をもとにお客様が金融商品取引行為を行われた場合、金利、通貨の価値、金融商品市場における相場その他の指標に係る変動を直接の原因として生じる利益あるいは損失は、すべてお客様に帰属します。


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