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中国の偽造品をなくすと何が起こりそうか?

  • 投稿日:2015年2月18日

今回は、身近なテーマをやや意外な角度から考えてみます。実はこれは日本有数の巨大企業グループの経営にも関わる、重要なお話なのです。

中国は良くも悪くも、模倣と偽造が得意で巨大な工業国です。その結果、案の定というか、中国製の偽造品も中国の内外を問わず、急増中です。「偽造品をなくせ」というのは簡単ですが、既にかなり巨大な産業ですし、あのアリババグループの経営にも関わる課題として注目されるにいたった今日、実はこれは日本の株価を考える上でも、無視しきれないテーマになりつつあるのです。アリババグループの大株主は、日本有数の上場企業でもあります。これで今回のテーマに興味を持てたでしょうか?

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 プラダのバッグのコピー品や米アップルストアの偽店舗、果ては人工の卵まで、偽造品を作り出す中国の能力はもはや伝説的と言っていいだろう。実際、欧米の関税当局が没収した偽造品は、その約4分の3が中国製だ。中国政府は、電子商取引大手アリババに偽造品対策強化を要請するなど、こうした問題に表向きは取り組んでいるように見える。しかし問題は、偽造品を作る動機が単純ではないところにある。偽造行為は革新や信用を損ねる一方で、偽造品のない中国が誰にとっても良い世界だとは言い切れない。

古典である「書経」にも偽造された部分がひそかに付け加えられるなど、中国は少なくとも3世紀から偽造品に悩まされてきた。そして現在、偽造品は中国の電子商取引(eコマース)で、大流行中の様なのだ。

偽造品の追跡はかつて、無秩序に広がったサプライチェーン(流通網)に入り込むことを意味していた。しかしアリババ傘下のネットモール「淘宝(タオバオ)」は、中国のオンライン消費活動の約85%を占めるまでになり、偽造品の集積所にもなった。英高級ブランド「ジミー・チュウ」の靴を検索すれば、中国各地のサプライヤーから50ドル未満の靴が数百件も表示される。本物なら通常、値段はその10倍以上だ。・・・・つまり格安品のほぼ全ては、偽造品と考えた方がよい事になる。本物を9割引きで売るお人好しは、果たして何人いるだろうか? 実はこの問題は日本のインターネットショッピングにも一部とはいえ存在し、「格安の新品のブランド品」との宣伝にひかれて買ってはみたものの「本物の偽造品」で、日本の税関に強制没収されたり、下手したら罰金刑になったりと、踏んだり蹴ったりの状況が待っている。これくらいの事は、新聞の社会面にも書いている。

偽造の防止自体はそれほど難しい話ではない。第一にそれは生来の革新性を奨励することになる。消費者が手にしているのが本物だと分かれば、小売価格は上昇し、無駄な消費は減るだろう。官僚主義を改めると中国政府が宣言したことで、役人たちも自分たちが役に立つ新たな理由を見つけたようだ。中国国家工商行政管理総局(SAIC)などは先月、アリババの管理不行き届きが原因で、同社プラットフォーム「淘宝(タオバオ)」上で偽造品が横行していると批判する報告書をまとめている。

 実はアリババは、事前に中国国家工商行政管理総局(SAIC)から「偽造品を自社のショッピングサイトで売り過ぎている」との指摘を報告書で受けていたにもかかわらず、それを伏せて(隠して)米国で株式を上場した疑惑が盛んにメディアで報道され、本当の企業価値(時価総額)が誰にも厳密には分からない状況に陥っているのだ。そのアリババの大株主は、言わずと知れた犬のCMで有名なあの巨大企業グループだ。

 一方、アリババは全社員の約10%に相当する2000人が偽造品防止に従事していると主張。しかし、850万人の販売者と10億以上の商品を扱うサイトを有する同社にとって、十分な対策とはとても言えないだろう。それに社員たちは偽造品のチェックだけをしているわけにはいかない。オンライン化粧品小売会社の聚美優品は、クリームなどが本物か調べるために化学分析を使用しているが、靴ではそのように調べられない。それに中国で偽造されたハンドバッグや服は海外からもよく買われている。

 タオバオは偽造品を「がん」と呼び、根絶すると誓っているが、その成功の代償は高くつくだろう。偽造品をなくすには、さらに多くの人件費がかかる。また、同社のビジネスモデルは、検索キーワード連動型広告で利益を上げる方法に依存している。SAICは抽出したサンプル商品の92%が偽造品、もしくは品質が不十分であったとしている。あまりに単純な調査方法だが、ほんの数%でも検索連動型広告の入札者が減れば、広告収入を直撃し、現在36%を誇るアリババの営業利益率を圧迫しかねない。

 さらに労力を費やして用心したとしても、タオバオは偽造品業者たちに隠れみのを提供するだろう。同サイト上では、買い手と売り手がメッセージサービスで直接やりとりでき、偽造品を陰で販売するのを可能にしている。ライバルの電子商取引サイト、京東(JD.com)とは違い、倉庫を持たないアリババは自社サイトで販売される商品を監視する能力に限度がある。タオバオを利用する販売者はブランド自体の会社というよりも、中間業者である傾向が強い。

偽造品をなくそうとすると、実は以下の様な課題が浮上する。

 怪しい売り手を販売サイトから締め出すことは、実際のサプライヤー(商品供給業者)の特定をより困難にする。あまりにも多過ぎる彼らは、必死になって正体を隠し、あるいは代理の業者を仕立て、生き残りを図るだろう。さらに重要な事は、雇用が危機的状況に陥るリスクだ。中国では10年以上も前から、都市部労働人口の30%近くが製造業で働いている。偽造品は、低コスト商品の大量生産に基づく経済の必要悪と言う現実もある。しかし中国の人件費上昇もあり、次第にこれは縮小する運命だろう。その代わり、もしかしたら、より貧しいASEAN諸国などに、偽造品メーカーの拠点が移る可能性がある。

 とはいえそれには今後の中国で、偽造品製造に取って代わるほど十分な雇用がサービスや消費主導型産業で生まれなければ、そう簡単には状況は改善しない。中国はまだその準備が整っていない。それが、規制当局がアリババをなかなか厳しく罰しようとはしない、最大の理由かもしれない。

私は偽造品を肯定している訳でも、また黙認している訳でもない。しかし、「必要悪」として放置して来た課題が一定の規模を超えると、「黙認して当面の安定を優先する」か、あるいは「是正する代わりに特定の企業や地域や産業に、たとえ一時的にせよ大打撃を与えるか」を、選ばなければいけなくなる時がいずれきっと来る。だからこそ、過度な模倣は避けるべきという事になる。実はこれは、日々のニュースを基盤に働いている私の様な人達にとっても、永遠の課題なのだが。

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https://argo-navi.net/mielca_aoia/PublicMailMagazineEntry.aspx?no=3

AOIAフェローのDataと小勝負からでした。

今回は、以上になります。

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【※】当ブログ記事は、AOIA株式会社のスタッフが個人的予測に基づき作成した資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。当資料は、飽く迄もAOIA株式会社のスタッフが個人的予測に基づき作成した資料であり、その正確性・完全性を保証するものではありません。当資料中に記載している内容、数値、図表、意見等は資料作成時点のものであり、今後予告なく変更することがあります。当資料中のいかなる内容も将来の投資収益を示唆ないし保証するものではありません。当資料をもとにお客様が金融商品取引行為を行われた場合、金利、通貨の価値、金融商品市場における相場その他の指標に係る変動を直接の原因として生じる利益あるいは損失は、すべてお客様に帰属します。


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