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一筋縄ではいかない「自動運転車開発レース」

  • 投稿日:2015年3月13日

今回は、現在熱い注目を浴びている「自動運転車開発レース」について、少し変わった角度から見てみましょう。「自動運転車」の定義は厳密にはまだ固まっていない様ですが、「自動車が周囲の情報を自動で収集・分析、判断し自ら動き、極力人手を介さずに動ける自動車」が、無難かと思います。「トヨタやGMVWなどの世界主導自動車メーカーを中心に見る視点」や「自動車メーカーと有力IT会社の競争と競合の関係を中心とした分析方法」、あるいは「自動運転車が実用化された場合に想定される各国の法規制や安全基準、保険会社の事故認定基準などとの整合性に関する懸念」など、早くもハイレベルな取りくみと論争が世界規模で展開中です。今回はその要点の一部と、私達が個人投資家目線で意識すべき注意点について、ご一緒に考えてみましょう。

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 自動車産業では、伝統的なメーカーが持つ強い影響力をハイテク企業が奪い取ろうとしている。ロイターなどの報道によると、つい最近では米アップルが自動車業界に参入の構えを見せ、エンジニアやその他専門家数百人を雇うとともにカナダの部品供給会社マグナと協議しているという。アップル社はこれを否定してはいるが、日経新聞やウォール・ストリート・ジャーナルも含めたかなり多くのメディアでそれなりに本格的な内容の報道もあった為、少なくしてもそれらしき動きはあったと考えて良いだろう。株主はかなり興奮しているかもしれない。

グーグルなどが試作品を開発している自動運転車が一般の路上を走行するようになるのはまだ当分先だろうが、これに搭載するシステムから使用される素材に至るまでが、今後業界全体の構造や競争条件を揺るがしていく可能性がある。勝ち組は利益を拡大できるとはいえ、既存の自動車メーカーはどちらかといえば負け組の立場に置かれる危険がある。当たり前だが、例えばトヨタはソフト業界では世界最大・最高水準の企業ではない。

足元の自動車業界で主役を担っているのは、車台や駆動装置といった昔ながらのハードウエア。これが2つの面で変わりつつある。

 1つはテクノロジーシステム(技術の仕組み)が急発展し、少なくとも自動車の買い手にとっては外観やエンジンと同じぐらいの重要になってきた。画像処理などを行えるスマートカメラやセンサー、その他の先進運転支援システム(ADAS)が急発展して行くとともにその重要性は一段と高まり、既存の自動車メーカーが必ずしも有利な立場にない分野でビジネスが開花する道が開かれる。既に日本でも「路上駐車支援システム」や「衝突回避支援システム」などが人気で、その初期段階にある。

 2つ目はソフトウェアの果たす役割がずっと大きくなっているという点だ。既にテスラ・モーターズがソフトウエアがいかに大事かを示している。あの著名な米消費者情報誌コンシューマー・リポートは、2015年の自動車の総合評価でテスラの電気自動車(EV)「モデルS」に第1位を与えた。14年に続く栄誉で、同誌は無線を通じたソフトの更新ができるおかげで13年に販売されたモデルSでも多くの点で現在製造されたのと同じ性能を保持していると分析している。

 だが、「ソフト依存」には、光と影がある。光はもちろん、自動車の機能拡張やいままでは他業界とされて来た企業に突如プレゼントされた様にも見える巨大なビジネスチャンス、自動車の更なる高付加価値化と価格上昇の可能性などだ。影の主な部分はずばり、あまりにも多くの製造業関係者が予想外の競争条件とスキルへの適応を強いられる事や、自動車がIT専門家以外には状況把握や対応が困難になる『ブラックボックス化(悪い意味でのIT化)』、そして「事故発生時の責任の所在の曖昧さや法律・保険会社の対応困難化」だ。

それでもIT企業が続々と参入中!

 自動車産業においてソフトウエアや一部の新規のハードウエアが必要とされていることが、ハイテク企業に絶好の参入機会を与えている。自動運転に不可欠なのは、さまざまなアルゴリズム理論や、自動車内にある各種システムを統合したり、路上で他の自動車や交通信号と通信するための手段だ。頑張れば既存の自動車メーカーも同じ土俵で競えるかも知れない。ゼネラル・モーターズ(GM)の通信システムを通じて安全運転などを支援するサービス「オンスター」や、カーナビ商品にはファンが存在する。また基本的な先進運転支援システム(ADAS)機能は既に多くの自動車に取り付けられており、シティグループによると死角検知や横断者警報装置などの装備は最大で900ドル、正面衝突回避とクルーズコントロールのシステムは最大3000ドルという価格になる。

 もっとも新世代のシステムはそう簡単に装備されはしない。テスラは「ロードスター」を生み出すまで設立から5年を要した。モデルSの登場にはさらに4年かかったが、同社の野心にもかかわらず今なおニッチ(隙間)的な自動車の地位にとどまっている。だからこそボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が2025年までにADASと自動運転のハードウエア事業が420億ドル規模に達すると予想していても、期待で胸が膨らむという感覚にはならない。ドイツの調査会社は、この事業の成長ペースはもっと遅くなる場合さえあるとみている。ただBCGの試算は、向こう10年で普及率が13%にしか高まらないとの想定に基づいており、最終的な市場規模は3250億ドルになる可能性が秘められていることが分かる。これは今までとはまったく別次元のビジネスチャンスといえる。

 

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勝ち残るには何が必要か?

 自動運転車の普及においては、規制当局が安全性を確認しなければならないというのが大きな障害の1つで、それには5年以上かかる恐れがある。まだ価格が高いというのもネックとなっている。今後価格は下がっていくだろうが、買い手はハイテク各社が提供する自動運転システムやソフトウエアに対する支払いを増やしていく一方で、その分だけ既存メーカーが手掛ける分野では支出が減ると考えるのが合理的だろう。

 一方で自動運転システムが発達して安全性が高まるのに伴って、自動車に使用される素材は軽量化され、コストも下がるかもしれない。また積極的にドライブをしたいという人が減って自家用車保有の意欲や必要性も低下していく可能性が大きい。その代わりにカーシェアリングへの依存が高まる。「道案内が不要な無人の格安タクシー」が実現すれば、さぞや便利だろう。これはすべてのメーカーにとって脅威だが、特に保有すること自体やドライブの楽しみを売りにしている高級車メーカーには恐るべき事態といえる。ダイムラーやBMWはいずれもそうしたリスクを自覚し、自らのカーシェアリングサービスを運営しているくらいだ。

BCGによると、例えばニューヨークでタクシー10万台と自家用車90万台をそれなりの利用率がある大量の自動運転車にそっくり転換したとすれば、公共輸送機関よりもコストは低くなる可能性があるという。こうした変化が起きるのは何年も先の話で、一部の自動車メーカーは将来も大規模な生産を行う可能性は十分にある。いずれにしても、ほとんどの車両に最適なソフトウエアを装備できる企業が、勝者になるだろう。

 ハイテクが重要な地位を占め、車体製造コストが低下していくとともに、相応の準備をしていない自動車メーカーは、グーグルなどに基本的なハードウエアや部品を供給する下請け業者としてしか生き残れないかも知れない。そうした企業は低迷する株価(収益率)を押し上げるのに苦労するだろう。アップルやグーグルに代表されるハイテク大手が勝ち組になるとは限らないが、GMやトヨタも安穏とはしていられない。

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自動運転車の普及を妨げるかもしれない本当のライバルとは?

 だが、話はここで終わらない。仮に安全性や価格面で特に問題がないレベルまで作り込まれても、先述したように各国の法規制や保険会社の事故対応基準などが、下手したら世界中の自動車市場を過剰に細分化させ、これへの対応が関連産業にとっては過剰な負担となる可能性さえある。場合によっては単なる交通安全規制だけではなく、それこそ各国の刑法まで見直しつつ世界規模で内容をすり合わせるという、実に地味で壮大で専門的な作業が待っている可能性があるのだ。仮にこれが現実的な検討課題となった場合は、冗談抜きで、現在進行中の環太平洋経済連携協定(TPP)よろしく、関連諸国と関連産業の壮大な交渉が勃発する可能性さえ、充分想定される。その場合、どの国が主導権を握るのだろうか? 世界最大の経済力を誇る米国か、それとも国の数と交渉力・政治力が自慢の欧州諸国か、あるいは自動車販売台数では既に世界最大の市場となった中国か、はたまたそれらの国々の間の多数派工作に勝った国々か・・・?

 いずれにせよ、日本の存在感はそれほど強くならないような気がする。実はこれへの対応も、今後の自動車業界やIT業界の企業関係者と、それらの企業の株式や債券などに投資する(個人)投資家は、多かれ少なかれ求められそうな雲行きなのだ。技術は確かに世界を便利にするが、もしかしたらそれと同じくらい不便にする。人間はそれに対応した仕組みや組織、ルールなどが無いと、動けない生き物だからだ。案の定、実に奥が深い話だ。

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AOIAフェローのDataと小勝負からでした。今回は、以上になります。

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