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ロシアはルーブル相場決定ルールを知らず間違った金融政策で衰退中か?

  • 投稿日:2014年12月17日

今回は、やや大胆な内容です。通常の為替レートの決定には、その通貨を発行する国の金利が強く影響しますが、実は現在のロシアの場合はやや状況が違います。ロシアルーブルは、ロシアの金利よりも原油価格で、対米ドルレートがほぼ決まっているのです。

 言い換えると、「インフレ国の通貨は下落しやすい」という基本ルールを守って、真面目にロシア国内の金利を上げ続けても、借金を抱えた企業や個人を経済的に追い詰めて景気をさらに悪化させるだけで、実はルーブル相場を守れない可能性が高く、実際その通りになりつつあります。

もちろん、金利を上げるなとは言いません。しかしロシアの政策金利は既に10%を超え、ブラジルといい勝負なのです。このままではロシアは、欧米諸国からの経済制裁と原油価格急落による急激な景気悪化に加え、国内金利の無駄な急上昇による自家製の過剰債務・高金利問題に苦しみ、来年の経済成長率がマイナス5%では済まない可能性さえ、出てきました。

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 12月11日の外国為替市場でロシア通貨ルーブルはドルに対して過去最低を更新した。同国の中央銀行はこの日1%の利上げを決定したが、ルーブルは一時1.1%安の1ドル=55.4550ルーブルまで下落。ロシア株の指標のMICEX指数は0.4%安、ドル建てのRTS指数は1.1%安。10年物国債の利回りは17ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下し12.45%と、総崩れだった。

 ルーブル相場の安定を図る選択肢が尽きたロシア中央銀行が11日に利上げするとの見方が投資家の間で優勢だが、原油価格を見ると、利上げも役に立たない公算が大きい。

原油価格とルーブル相場の関係を示したブルームバーグのグラフ 2014年12月

 「ブルームバーグの今日のチャート」はルーブル(オレンジの線)が過去1年、北海ブレント原油価格(白い線)に追随して動き、そろって39%下落したことを示している。政策金利が引き上げられた時点を赤い丸で示したが、ルーブル相場に目立った反応は見られない。中銀は政策金利を今年既に4%も引き上げている。ダンスケ銀行のストラテジスト、ウラジーミル・ミクラシェフスキー氏は電子メールで、「これ以上の利上げは経済に壊滅的打撃を与える一方で、ルーブル安とインフレの抑制には少しも役立たないだろう」とし、「純粋に原油安の問題だ。原油相場下落に逆らおうとするのは狂気の沙汰だろう」と指摘した。

民間企業も巨額のドル建て債務を抱えたロシアのルーブル安の数少ないメリットは、原油価格がドル建てで下落しても、実はルーブル建てでは下がりにくい事だ。「ブルームバーグの今日のチャート」は、北海ブレント原油価格がドル建てで2010年以来の安値に下落した一方で、ルーブル建て価格(白い線)の平均(赤い線)は今年、1バレル=3759ルーブル(約7800円)と、過去最高となっている事を示した。

ルーブル建ての原油価格の推移のグラフ ブルームバーグ 2014年12月

 ルーブル相場は原油安に歩調を合わせる形で今年に入って40%強下落しており、それがロシア財政にプラスとなっている。財務省のデータによると、2014年1-11月の財政収支は1兆2700億ルーブルの黒字と、黒字額は前年同期の6000億ルーブル、12年の7890億ルーブルを上回る。11年は1兆3400億ルーブルの黒字だった。

 こういう独特な状況なので、ロシアはルーブル相場回復のために過度に利上げを焦っても、仕方がない。むしろ、一定水準のルーブル安と原油価格下落の妥協点を探りつつ、国内金利は無理のない範囲内で下げるべきなのだ。しかし実際に行っている事は、まるで逆だ。これでは欧米諸国からの経済制裁が仮に終わっても、ロシア経済のマイナス成長は、続きそうだ。

ちなみにルーブル急落前のロシアのGDP(国内総生産)は2兆ドル近い規模があり、「欧米諸国からの経済制裁で2%ほど経済が縮小し、1バレル60ドル台の原油価格では経済規模が5%ほど縮小しそうだ」と報道されていたのは、ごく最近の事だ。

 ロシア中央銀行は12月11日、主要政策金利を1%上げ10.5%にすることを決めた。12日から適用する。中銀はルーブル安をくい止めるために10月末に政策金利の1.5%引き上げを決めたばかり。ルーブルが下げ止まらないことから追加利上げに踏み切った。ただ、市場への効果は限定的で、11日の外為市場ではルーブルが一時、対ドルで過去最安値を更新した。

通貨安を背景に輸入品や食料品などの価格が上昇しており、連邦統計局によると11月のインフレ率は前年同月比で9.1%に達していた。

中銀は「今後もインフレリスクが高まる場合、金利の引き上げを続ける」と表明。物価上昇率を目標水準である4%に抑えるまで中長期的に金融の引き締めを続ける考えを示した。

中銀は大規模なルーブル買い介入も続けているが、原油安を受けたルーブル売り圧力が強く、効果は上がっていない。ロシアの主要株価指数であるRTSは12月11日、利上げ発表を受けて一時、前日比約4.4%安の817.42に落ち込んだ。

 利上げが景気をさらに冷え込ませる懸念も強まっている。世界銀行は12月9日、来年のロシアの経済成長率予測を2日時点の0%からマイナス0.7%に下方修正した。

・・・・・この国がいつまで迷走を続けるのか、もはや誰にも分からなくなって来ている。おそらく、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領でさえ、「ルーブル相場決定ルール」を理解しきれていない。だからこそ、為替や株価は、下落を続けるのだ。

 マーケットは意外と正直だ。知る人ぞ知る歴史的事実としては、太平洋戦争直前はもちろん、実は太平洋戦争中にも、当時の日本の敵国だった米国では日本国債の売買が続き、日本の戦局が悪化するに従い国際価格は急落し、金利は上昇を続けた。マーケットの真逆の方向に暴走する国に、未来はない。来年は、原油価格の回復でもなければ、ロシアの国家格付けが投資不適格まで下がり、ルーブルとロシア株の相場は、弱含みのままだろう。投資は引き続き見送るべきだ。

12月12日の外国為替市場でロシア通貨ルーブルはドルに対して前日に続き過去最安値を更新した。「下落に歯止めをかけるため、中央銀行が介入を実施したもようだ」と、市場参加者が述べている。ルーブルは一時2.7%安の1ドル=57.9860ルーブルとなった。マークイットによると、12月12日のロシアの5年物クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)プレミアムが、前日終値比で18ベーシスポイント(bp)上昇し、5年半ぶり高水準の442bpに達した。

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AOIAフェローのDataと小勝負からでした。今回は、以上になります。

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