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ビル・グロース氏退社! 運用難のPIMCO(ピムコ)で何が起こっているのか?(前半)

  • 投稿日:2014年9月29日

このブログは、今週公開予定のAOIA会員向けニュースレター「週刊先読みダイジェスト第52号」の一部を再編集したもので、2014年9月28日(日)時点の情報をもとにしています。

皆さんは、米債券ファンド大手のPIMCO(ピムコ)を、ご存知でしょうか?

ある程度投資の世界に詳しい方なら、「世界最大級の債券ファンドで資産額は2兆ドル近く、創業者のビル・グロス氏は超有名人で、発言が何かと注目されている」くらいの事は、すらすらと言えると思います。

しかし実は、成績不振で古巣をクビになる直前に、他社に「華麗なる転職?」をした様なのです。

実は私はその10日ほど前から、『ピムコ(PIMCO) で何か奇妙な事が起こっている。米金利を読み間違えるなどの根本的なレベルのミスをして、実はかなりの損失を抱えているのでは?』と考え、注意して報道を確認して来ました。

 まだ本格的に報道されて間もないために全貌は明らかではありませんが、ほぼ以下の様な状況のようです。今回の出来事を丁寧に確認すれば、「債券の価格と利回りの関係はどうなっているのか? 金利リスクとは何か?」といった、投資の基礎的で重要な仕組みが学べます。

そして私は既に、「世界的に低金利が長期化しているため、類似の展開は今後も充分に他社でも起こり得る」と、考えています。それではご一緒に、「歴史に残るかもしれない事件」の要点を、確認してみましょう。

あのPIMCO(ピムコ)で、奇妙な動きがありました。

 本来は「シンプルでリスクが低いのが債券ファンドの魅力」でありながら、なぜか複雑で時にはハイリスクなデリバティブ取引を大々的に始めるというのです。「低金利下で資金繰りや運用成績があまり良くないからでは?」と思ったのは、何も私だけではないと思います。

2014年9月17日(水) のブルームバーグには、以下の様な奇妙な見出しがあった。

「グロース氏、FRBよりデリバティブ-ファンド成績押し上げに」

要点は、以下の通りだ。

パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の共同創業者ビル・グロース氏は、米国債投資のリターン(投資利回り)を高めるのに、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長より、デリバティブ(金融派生商品)の方が頼りになると考えている。

 グロース氏は2216億ドル規模のPIMCOトータル・リターン・ファンドが保有していた480億ドル相当もの米国債の大半を4-6月(第2四半期)に売却し、代わりに約450億ドル(約4.8兆円)相当の米国債先物を購入した。8月の届け出資料から分かった。先物は当初支払額が小さく、グロース氏は手元に残る資金をブラジル債やスペイン債、イタリア債などの高利回り証券に投資できる。

プルデンシャル・フィクスト・インカムのシニア運用者エリック・シラー氏は「彼らは現金を使って米国債に対するスプレッド(利回り格差)の大きい周辺国債(ユーロ圏周辺国の国債)を買っている」と述べた。

PIMCOは5月に、米金利が金融危機前の時代よりも長期にわたって低水準にとどまると予想した。世界的に成長率が低くなり、景気を過熱も減速もさせない中立の金利が低くなるという説をPIMCOは唱えている。同社は先物やオプション、スワップを使ってリターンを押し上げる戦略の検討を、顧客に勧めている。

 PIMCOは今月12日に提出した届け出で、トータル・リターン・ファンドを含む38本の投資信託についての制限を変更し、デリバティブ戦略を広範に活用できるようにしたと明らかにした。

・・・・・果たしてこれは、何を意味するのだろうか?

そして遂に、9月27日(土)の日経夕刊1面に、ピムコの異変を物語る見出しが登場した。

『米運用の「巨人」大揺れ ピムコの債券王グロス氏退社 実績かさ上げ?SEC調査』

 米運用業界の「巨人」ピムコが揺れている。26日に債券王の異名を持つ共同創業者、ビル・グロス氏の退社を発表した。米証券取引委員会(SEC)が債券の値付けに関し調査を進めていることも明らかになった。運用成績の低迷で旗艦ファンドからは資金流出が続いており、体制立て直しが急務になっている。

投資に集中できることを楽しみにしている――。グロス氏は26日の声明でこう語った。ピムコから移籍する独立系の米運用会社、ジャナス・キャピタル・グループで立ち上がったばかりの債券ファンドの運用に関わる。巨大かつ複雑な組織の管理業務から離れ、純粋に運用を極めたいとの思いがにじむ。

 ただ、市場の受け止めは異なる。グロス氏が担当した旗艦ファンド「トータル・リターン・ファンド」の2013年の運用成績はマイナス。「債券から株」のマネーの流れが加速するなか、金利上昇(債券価格の下落)が打撃となった。

 旗艦ファンドからは16カ月連続で資金が流出し「運用不振が退社の一因」との思惑が出ている。金融危機を背景にした債券相場上昇に乗って好成績をあげたグロス氏は「債券王」の名を欲しいままにしたが、米経済の正常化でつまずいた形だ。

 米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、最近のグロス氏はピムコ内で孤立していたと報じた。今年1月に発表した最高経営責任者(当時)モハメド・エラリアン氏の退任の背景には、グロス氏との確執があると伝えられている。運用低迷が続くにつれ、グロス氏はピムコ内の支持を失っていったもようだ。

 ピムコの苦境に追い打ちをかけかねないのが、SECによる調査だ。小口投資家向けのファンドで、運用成績をかさ上げした疑いが浮上している。ピムコは「非公表の問題ではあるが、SECに協力している」と認めた。

 米メディアによれば、調査対象となっているのはピムコが運用する債券の上場投資信託(ETF)。このETFもグロス氏が運用を担当していた。ピムコは債券について「適切に評価していた」と説明する。

 グロス氏の後任には副CIOのダニエル・アイバシン氏が昇格する。グロス氏退社が伝わると、26日の米国債券相場は軟調に推移した。退社でピムコのファンドの解約が一段と増えるとの思惑が出たためだ。解約への対応でピムコが保有する債券を売却するとの懸念が高まり、先回りして債券を売る動きが出た。

26日の米株式市場ではジャナスの株価が前日と比べ約4割高と急騰した。グロス氏の退社報道が債券相場を押し下げ、移籍先の株価が上がる。一時の輝きを失いつつあるとはいえ、同日の相場動向は債券王の存在感を見せつけた形になった。

 実はビル・グロス氏の解雇はピムコで既に決まっていた事で、独立系の米運用会社、ジャナス・キャピタル・グループへの入社日を前倒しにすることで彼は体面を保ったようです。しかしそれは、彼の成績不振を覆い隠せるものではありません。なぜ、「粉飾疑惑」まで浮上したのでしょうか?

 実はこの原因は、意外とシンプルです。それは、「金利と債券価格は逆に動き、金利低下なら債券価格は上昇するが、金利上昇なら債券価格は下落する」のに、「ビル・グロス氏は2%を下回るほどの米長期金利の低下を期待」し、『FRB(米連邦準備理事会)が米金利上昇の準備を始め実際に金利上昇が始まった』ため、おそらく「中途半端に高い債券を抱え過ぎて損失が拡大」し、「進退きわまった」のです。

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今回は、以上になります。次回は後半です。AOIAフェローのDataと小勝負からでした。

【※】当ブログ記事は、AOIA株式会社のスタッフが個人的予測に基づき作成した資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。当資料は、飽く迄もAOIA株式会社のスタッフが個人的予測に基づき作成した資料であり、その正確性・完全性を保証するものではありません。当資料中に記載している内容、数値、図表、意見等は資料作成時点のものであり、今後予告なく変更することがあります。当資料中のいかなる内容も将来の投資収益を示唆ないし保証するものではありません。当資料をもとにお客様が金融商品取引行為を行われた場合、金利、通貨の価値、金融商品市場における相場その他の指標に係る変動を直接の原因として生じる利益あるいは損失は、すべてお客様に帰属します。


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