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2013年3月11日(月) カナダに忍び寄る不動産ブームの崩壊

  • 投稿日:2013年3月11日

こんにちは。不動産関係の話題も結構好きな、Dataと小勝負です。

今日と明日は、カナダに忍び寄る不動産ブームの崩壊について考えてみます。

「読めば資産形成の力になる 個人投資家の世界の経済・金融研究日記」by Dataと小勝負(AOIAフェロー)

近頃は「都市開発(ニュータウン開発)」絡みも含めて「カナダの不動産に投資すると儲かります(儲かりそうです)」といった投資話も結構ありますが、そろそろ旬の時期は終わりつつあるようです。

もともと私はそれほど興味がありませんでしたが、いまでは更に「米国の方が良さそうだ」と、考えています。

特にリスクが高そうなのはあの大都会のトロント市です。バンクーバー市は不動産価格が上昇し過ぎた結果、近頃は下落傾向です。「家賃収入」や「値上がり益」狙いなら、他にもっと良さそうなところは、結構ありそうです。

3月4日にブルームバーグの端末を職場で見ていたら、気になるニュースがありました。

記事名は「加中銀総裁は晴れて旅立てるか-転身の陰で忍び寄る不動産ブーム崩壊」です。

以下は、その記事を読んで考えたことです。

カナダのプリンス・エドワード島出身で世界保健機関(WHO)の人事担当上級幹部だったハーバート・クロケット氏は、引退後の2005年に母国で不動産投資に乗り出しました。

クロケット氏(75)はトロントで高層ビルの投資ブームが起こる直前の8年前、トランプ・インターナショナル・ホテル・アンド・タワーが建設する65階建てホテルのワンベッドルーム・スイートを、90万4,000カナダ・ドル(現在のレートで約8100万円)で購入。その後完成したホテルは、マンハッタンのホテルのような高級感を漂わせています。

しかし、彼の幸福感は、長くは続きませんでした。

世界経済の回復がカナダの輸出を押し上げるよりも先に、借金を原動力とした過度の不動産ブームに支えられた同国の景気拡大は停滞に陥るのではないかと、投資家らは懸念しています。

実際に景気が鈍化した場合、7月1日にイングランド銀行(英中銀)総裁に就任予定のカナダ銀行(中央銀行)のカーニー総裁は、経歴に汚点を残すことになりかねません。

トロント経済は悪い意味でカナダ経済の縮図です・・・

特に、コンドミニアム(日本では高級マンションとよんでいます)の暴落が、懸念されています。

トロントでは不動産の供給過剰が深刻な状態です。スカイスクレーパーページ・ドットコムによると、2月下旬時点で建設中の高層ビルは144棟と、世界の都市で何と最多です・・・・!

トロントの調査会社アーバネーションは、昨年10-12月(第4四半期)末時点のコンドミニアム新築案件数は25万3,768件と、前年比で更に10%増加したと発表しています。

現在フランスのクロゼに住むクロケット氏は、「供給過剰により同氏のスイートの客室稼働率は約25にとどまっており、月当たり7,000カナダ・ドルの損失を被っている」と説明しています。

投資リターンの説明で事実を歪曲(わいきょく)したとして、同氏はトランプ・グループを率いるドナルド・トランプ氏と不動産開発会社を相手取り、290万カナダ・ドルもの賠償訴訟を起こしています。

クロケット氏は訴状で、「不動産開発会社タロン・インターナショナル・デベロップメントは年間のリターンを最大27%と説明し、客室料金やモーゲージ金融について透明性を欠いていた」と、主張しています。

カナダ銀行(中央銀行)のカーニー総裁(47)自身ばかりか、ラガルド国際通貨基金(IMF)専務理事ら多方面の人物から、安定性が高いモデルと高く評価されているカナダ経済ですが、不動産市場の悪化はカナダ経済の停滞を示す数少ない強力な根拠です。

昨年9月時点で世界経済フォーラム(WEF)は、カナダの銀行システムを5年連続で「健全性が世界一高い」と評価しました。金融危機のさなかでもカナダの銀行株は米銀行株ほど下がらず、S&Pトロント総合銀行株指数は2011年に2007年の高値を初めて超え、今年2月20日に過去最高値を付けたほどです。

こうした「カナダの恵まれた状況」が、異例とも言えるカーニー氏の英中銀総裁起用を後押しした公算は、確かに高そうです。

しかし、総裁が大西洋をまたぐ転身の準備を整える中、カナダの世帯が現在抱える債務は過去最高となり、昨年7-9月(第3四半期)成長率は1年ぶりの低水準にとどまりました。

米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは1月28日にこの問題を指摘し、世界経済フォーラムから高評価を受けていた6行を格下げ。債務と住宅高騰に伴い、家計がさらなる悪材料に対し脆弱(ぜいじゃく)になっていると説明しています。

・・・・私は米国とカナダの経済状況を比較したレポートを仕事で書いた事がありますが、米国と比べたカナダ経済の主な課題・弱点は、以下の通りです。

1、 過去数十年間の平均値でみると、経済成長率で概ね米国に劣っている。

2、 その結果、一人当たりの経済力でも、米国ほどではない。

3、貿易金額の過半数が米国向けで、良くも悪くも景気やインフレ率などが米国に振り回されやすい。

4、米国向けの主な輸出品は天然ガスなどの「エネルギー」だったが、米国では近年シェールガス革命が進行し、安価な天然ガスや石炭が余り出し、カナ  ダ産のエネルギー資源へのニーズが減少傾向。この結果、カナダの国際収支や経済成長率には下落圧力が働いている。

5、 近年のカナダ経済はそれを補うために「国内消費(内需)」を拡大させたが、その主役は「住宅などの不動産」だった。

困ったことにカナダの住宅は米国の住宅と比べると、買い手の経済力(年収)から見ると割高。同様に両国の不動産業が国内総生(GDP)  に占める割合を比べると、カナダの方が大きく肥大化。米国は過去の急激な縮小からの回復期の為、概ね大崩れするリスクはカナダほどにはない。

・・・なかなかのものですね。

無謀な借り入れ

カナディアン・インペリアル・バンク・オブ・コマース(CIBC)投資銀行部門の副主任エコノミスト、ベンジャミン・タル氏は、「カナダは世界的な信用危機の克服を先導したことで高く評価されるかもしれないが、それは無謀な借り入れに基づくものだ」と指摘しています。「いま、そのつけが回って来ている」とし、「カナダは長い低成長期に入るだろう」と予想しました。

米住宅市場の活気とは対照的に、カナダの不動産ブームは後退しつつあります。カナダの今年1月の新築住宅建設は前月比19%減少し、2009年末以来の低水準にまで縮小しました。中古住宅販売も前年同月比8.8%の縮小です。

トロントに限っても昨年の新築コンドミニアム販売は前年比で、実に36%も減りました。同中古販売は10%減と、2008年以来の前年割れです。「アーバネーション」が明らかにしました。

カナダの大都市の平均住宅価格は概ねまだ上昇傾向ですが、割高感があったバンクーバーは例外で、ピークの2011年5月から今年1月まで8%も下がりました。一方、米国では昨年の新築・中古物件販売は前年比9.9%増と、1998年以来の大幅な伸びとなりました。

さらばカナダ

カナダの独立系不動産仲介会社最大手、ライト・アット・ホーム・リアルティの営業担当、スティーブ・ヘネシー氏は、向こう2年でトロントの住宅価格は20%下落するとの見通しを示した上で、「大幅な調整局面となる」と説明しました。

カナダは幸い、米国のようにサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)や規律を欠いた銀行融資の問題も、ありません。そうしたカナダの住宅市場を混乱に陥れる要因は、世界経済のさらなる減速かもしれません。

輸出と雇用に一段の下振れ圧力が加った場合、限度額いっぱいまでお金を借りた消費者は、不動産投資から手を引く事態となりかねないのです。

その結果、カナダの低金利は続きそうだとの見方も、台頭しつつあります。

クロケット氏の訴訟は曲折が見込まれていますが、カーニー氏も英中銀総裁として新たな難題に直面しそうです。

英国経済が昨年10-12月にマイナス成長となった結果、前例のない三番底リセッション(景気後退)の影響への対処を迫られる可能性があるのです。こうした英国経済の不振を受けて、私が昨年8月に予想したとおりに英ポンドは下落しました。

しかし、カナダで住宅販売の縮小が続き家計の債務が増加の一途をたどれば、カーニー氏本人は今回の「カナダ中銀総裁から英中銀総総裁への転身」を、絶妙のタイミングの逃避行だったと考える様になるかもしれません。

期待値がもともと低かった分、仕事で感じるプレッシャーはそれほど深刻ではなさそうです。

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http://www.aoia.co.jp/321.html

今回は、以上になります。

【※】当ブログ記事は、AOIA 株式会社のスタッフが個人的予測に基づき作成した資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。当資料は、あくまでもAOIA株式会社のスタッフが個人的予測に基づき作成した資料であり、その正確性・完全性を保証するものではありません。当資料中に記載している内容、数値、図表、意見等は資料作成時点のものであり、今後予告なく変更することがあります。当資料中のいかなる内容も将来の投資収益を示唆ないし保証するものではありません。当資料をもとにお客様が金融商品取引行為を行われた場合、金利、通貨の価値、金融商品市場における相場その他の指標に係る変動を直接の原因として生じる利益あるいは損失は、すべてお客様に帰属します。


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