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「米国は雇用急増と原油安で景気加速と金利上昇前倒し」は本当か?

  • 投稿日:2014年12月8日

今回は、日経新聞やウォール・ストリート・ジャーナルをかなり丁寧に読んでも分からないレベルで、米国の経済と雇用について、書いてみます。私は「勉強が仕事」ですので、代表ではありませんが、これくらいの事は分かります。

本ブログは、今週公開予定のAOIA会員向けニュースレター「週刊先読みダイジェスト第62号」副題『日米最新事情、米中株・円相場・国内人気投信 特集号』の一部を、再編集したものです。

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 米連邦準備理事会(FRB)のフィッシャー副議長は2日午前のワシントンでの講演で、米連邦公開市場委員会(FOMC)が利上げまでの間隔を示すために声明で用いている「相当な期間」との表現について「削除する時期が近づいているのは明らかだ」と述べた。具体的な利上げの時期は「景気のデータによる」と述べるにとどめた。

ただ、原油安などを背景とした低調なインフレ圧力や、日本、ユーロ圏の成長鈍化などから、市場関係者の間ではむしろ「FRBは2015年後半まで利上げに踏み切れないのでは」との観測も広がっており、出口戦略を巡る読みは錯綜(さくそう)しているのが実情だ。

確かに最近の米景気はガソリン安・寒波襲来もあり消費は増加中ですが、注目の雇用が実は曲者なのです。原油価格と為替次第では、現在の好循環が半減する可能性もありそうです。

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2014年7-9月期の米国の労働生産性は小幅に上方修正された。それでも歴史的に見ると弱い伸びにとどまり、経済成長の長期予想を疑問視する見方が強まるかもしれない。

 米労働省が3日発表した7-9月期の非農業部門の労働生産性指数(改定値)は、年率換算で前期比2.3%上昇した。速報値の2%上昇から引き上げられた。ウォール・ストリート・ジャーナルがまとめたエコノミスト予想は2.5%の上昇だった。

インフレ圧力の重要な指標とされる単位労働コストは、前期比年率で1%減となり、速報値の0.3%増から大幅に下方修正された。エコノミスト予想は0.7%減だった。

 この話が示唆するのは、増加気味の米雇用の中身の薄さ(待遇の良くない非正規雇用の多さ)です。こうした一見地味なニュースのデータに、本当の米国の姿が反映されている事は意外と多いので、関心を持つと良いでしょう。

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米景気回復に追い風が吹いている。株高に大幅な原油安が加わり、消費と雇用増の好循環が生まれている。賃金と物価の上昇率はまだ低いが、米連邦準備理事会(FRB)の利上げを後押しする環境が整いつつある。早期の米利上げ観測が広がり、円安に一段と弾みがつく可能性がある。米労働省が5日発表した11月分の雇用統計では、景気動向を映す非農業部門の雇用者数が前月比で32万1千人増と、市場予想を大幅に上回った。

 2014年7~9月期の米実質国内総生産(GDP)は前期比年率で3.9%増えた。足元の10~12月期も4%程度のプラス成長を維持しているとの見方が多い。

楽観論を支えるのは、GDPの約7割を占める個人消費の安定感だ。米IBMによると、11月下旬の感謝祭から5日間で、インターネットでの通信販売が全米で前年同期に比べて1割強増えた。米エネルギー省によると、レギュラーガソリンの全米平均価格は、直近で1ガロン(約3.8リットル)あたり2.78ドル(1リットルあたり約88円)と、この1年で約15%下がった。

 米ゴールドマン・サックスによると、米消費者が1年間に支払うガソリン代は約3700億ドル(約44兆円)。この数カ月でガソリン価格は14年前半の平均値を25%下回った。この結果、家計部門は750億ドル(約9兆円)の「減税」に等しい恩恵を受けている。浮いた費用が燃料代以外の消費に回り、実質GDP成長率を0.2~0.3ポイント押し上げるとの推計もある。

 FRBや米議会は向こう数年の米潜在成長率をおおむね2%強とみる。14年1~3月期のように、深刻な寒波の影響で一時的にマイナス成長に沈むリスクは残るが、市場ではFRBが利上げに動いても「15年を通じて2.5~3%の安定成長は可能」との見方が優勢だ。

 米国の2014年11月の平均時給は10月比9セント増の24.66ドルと、昨年6月以来の増加幅でした。前年同月比の伸びは2%台で、米連邦準備理事会(FRB)が物価の目安にする個人消費支出デフレーターの上昇率を安定して上回ります。「業種によっては労働力不足が強まり、賃金が急に上がる時期は近づいている」状況です。

調査会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスの集計では、米主要企業が発表した採用計画は11月までで累計81万人強と、2005年の集計開始以来の最多でした。

 気の早い投資家は利上げの影響を前倒しで織り込む一方、米景気の勢いを見込んで買いの機会をうかがっていて、5日の株価上昇は年末の「サンタ・ラリー」の始まりになるかも知れない。

しかし早まるのは、考えものかも知れません。以下は、米雇用のもう一つの現実です。米金利上昇は来年のいつかには行われると思いますが、近いようで意外と遠そうです。波乱要因は言わずと知れた原油価格と為替相場、そしてそれらに影響を与える「一連の外交と戦争・紛争」でしょう。

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 ヘッドライン(記事の見出し)の数値に集中し過ぎると、一部の偏った数字に振り回されて全体像が見えない「木を見て森を見ず」の過ちを犯す恐れがる。特に現在のように景気拡大局面が5年半も続いているときには、強い数値の背後に隠されている真実に目を向ける必要があろう。

 米国の2014年11月の失業率は5.8%で横ばいだったと発表された。しかし、小数点以下3桁まで計算すると、11月は5.825%となり、10月の5.756%から0.06ポイント上昇している。

こちらは家計調査に基づいており、事業所調査とはまるで別世界の様相を呈している。事業所調査では雇用者数が30万人以上も増えているが、家計調査に基づく就業者(自営業を含む)は4000人増と、ほとんどほぼ横ばいにとどまった。

 11月は毎週35時間以上働いたフルタイムの就業者数は前の月に比べて15万人も減少して、1億1948万2000人となった。過去20年間を振り返ってみると、2007年11月の1億2187万5000人が米国史上最高記録だ。そして、今月の水準はちょうど7年前のピークを240万人近くも下回っており、フルタイム就業者は米国経済の衰退化を如実に表している。

良くも悪くも今が絶頂期?

特に景気悪化で希望するフルタイム職に就けずにパートタイムに甘んじている労働者が増え、さらに二つのパートタイム職でどうにか家計を維持している雇用者を2人とカウントする事業所調査のみに集中していると、景気の山を見極めるのは不可能に近い。気が付いた時には谷底に向かって落下しているということになりかねない。過去の歴史を振り返ってみると、その繰り返しであった。

この様に、多数派の報道や意見が、全て正しいという訳でもありません。先述したように、直近の年率4%に迫る米経済成長率と、FRBや米議会が今後数年間の米潜在成長率を約2%強とみている予測とのギャップが、やや気になります。来年春頃までに、米国の株価がいちど調整局面入りする可能性を指摘する報道も、実は意外とあります。

 

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以下は、今週公開予定の「週刊先読みダイジェスト第62号」今回の主なテーマです。

第1章、日米経済最新事情

その1 米国は雇用急増と原油安で本当に金利上昇観測強化か?

その2 日本国債格下げでも異変なし 日本経済浮上中か

第2章、マーケット関係の各種重要ニュース

その1 米国株編

その2 中国株編 やはりバブルの過熱では?

その3 円相場編 年末までにやや急速なドル安円高に反転か?

その4 売れ筋国内投信編 その共通点と原油安で値崩れしそうな意外な人気者とは?

第3章、先週のマーケット状況と今週の見通し

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AOIAフェローのDataと小勝負からでした。今回は、以上になります。

【※】当ブログ記事は、AOIA株式会社のスタッフが個人的予測に基づき作成した資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。当資料は、飽く迄もAOIA株式会社のスタッフが個人的予測に基づき作成した資料であり、その正確性・完全性を保証するものではありません。当資料中に記載している内容、数値、図表、意見等は資料作成時点のものであり、今後予告なく変更することがあります。当資料中のいかなる内容も将来の投資収益を示唆ないし保証するものではありません。当資料をもとにお客様が金融商品取引行為を行われた場合、金利、通貨の価値、金融商品市場における相場その他の指標に係る変動を直接の原因として生じる利益あるいは損失は、すべてお客様に帰属します。


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