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「相続時精算課税制度」の特徴とよくある誤解と間違った利用例とは?

  • 投稿日:2015年1月1日

今回は、何となく分かったつもりで理解し切れていない方が多い、「相続時精算課税制度」について、ご一緒に確認します。利用法次第では、毒にも薬にもなるものの、困った事に現在は「薬効」ばかりが注目されている為です。

 「相続時精算課税制度」は、贈与時に2500万円までは非課税で、これを超える部分についても一律20%の贈与税を納めれば済むという制度のため、非常に都合が良い制度のように見える。しかし利用方法によっては、損をしかねない代物なのです。

資産家のAさんは10年ほど前、ある病気をきっかけに、相続対策のことが急に心配になった。

そして、子供への生前贈与が有効ということを聞き、ちょうどそのころスタートした「相続時精算課税制度」では2500万円まで非課税で贈与できるというので早速、利用することにした。

何を贈与するか考えて選んだのは、所有している株のうち、当時は安定した利回りの電力株だった。東日本大震災前で価格も比較的安定した「優良株」だった事もあり、毎年の配当も子供のものになるので節税効果が高いだろうという判断もあった。

ところがその後、東日本大震災に伴う原発事故で電力株は大幅に下落したから大変だ。例えば東京電力株は1株2500円くらいだったものが、今では5分の1以下になっている。

このまま相続が発生すると、贈与した際の高値で評価して相続財産に組み入れられ、非常に不利な結果になってしまう。慌てて新しい制度に飛び付いたばかりに余計な心配が増えてしまった格好だ。このケースの教訓は、「値動きが激しい金融資産を表面的な税優遇制度の理解で慌てて保有者を変更する事のリスク」だろう。

孫まで対象者が拡大されるが注意点も

2003年1月1日以後の贈与から、通常の贈与制度(「暦年課税制度」)と選択する形で「相続時精算課税制度」が導入された。この制度を選択すると、贈与時には贈与者(父または母)1人当たり2500万円までは非課税、これを超える部分についても一律20%の贈与税を納めれば済む。

そして、相続が発生したときにそれまでの贈与分を相続財産に加算して相続税を計算する。すでに納めた贈与税額は相続税から差し引かれ、マイナスであれば還付されることになる。

2014年までは、贈与者は65歳以上の親、受贈者は贈与者の推定相続人である20歳以上の子(子が亡くなっているときには20歳以上の孫)であることが条件だったが(年齢は贈与の年の1月1日現在)、2015年1月以降の贈与から、受贈者の範囲に20歳以上の孫が追加されるとともに、贈与者の年齢要件が60歳以上に引き下げられる予定だ。贈与財産の種類、金額、贈与回数に制限はない。この様な一見好条件の制度の対象者が拡大する時は、それに関する報道も急増する時期だ。ただし、伝える方も聞く方も本当に必要な事を全て分かっていると限らない点が課題だ。

一見、生前贈与に当たって使いやすい制度に見えるが、注意点がある。

 第一に、受贈者が贈与者ごとにいったん相続時精算課税を選択すると、暦年課税の基礎控除額110万円は使えず、贈与を受けた財産が110万円以下であっても贈与税の申告をする必要がある。これを知らないと本来可能だった節税枠がむしろ減り、余計な手間だけ増えてしまう。

第二に、2500万円まで贈与時には非課税であるが、相続時には課税対象となる。特に、後で相続税が掛かると予想される際には納税資金を手当てしておくべきだ。

第三に、この制度で贈与した財産は贈与時の時価で相続税を計算することになるので、不動産や株式など価額が変動する財産については、かなり注意すべきだ。特に、贈与時より相続時に価額が下落していると不利になる。

 第四に、「小規模宅地等の特例」は相続により取得した宅地のみが対象であるため、相続時精算課税制度を使って贈与した土地については、相続時に評価減の特例が適用されない。これを知らないと、夫婦のどちらかが亡くなった後に予想外の相続税問題に直面し困惑する遺族が増えかねない。今後も毎年のように人口が減り続けるこの国では、土地などの不動産は売れるとは限らない。場所によっては本当に買い手がつかず、税金を取られるばかりの「不良資産」になりかねない。土地が複数ある場合にはどの土地について相続時に小規模宅地等の特例を使うのかをよく検討した方がいい。使い道が固まっていない土地などの不動産は、価格面は多少は妥協してでも、まだ売れるうちに売却して現金に戻すべき家庭も、ありそうだ。

一方、上手な利用法としては、遺留分対策との組み合わせが挙げられる。遺言によって特定の相続人にだけ資産を引き継がせたい場合、あらかじめ遺留分を持つ他の相続人に相続時精算課税制度でまとまった資産を贈与し、「遺留分放棄」をしてもらうのだ。

 また、企業の相続対策には、意外と有効だ。自社株の評価額を引き下げた後に、相続時精算課税制度で後継者へ自社株を贈与すれば、その後、後継者が事業を発展させ自社株の評価額が上がっても、贈与時の低い評価額で相続税を計算することができる。これなら後継者が見つかりそうな日本企業は、実は多いのだ。上手く行えば「相続対策に失敗した為に引き起こされた会社消滅による失業者増加」という情けない社会問題も、緩和されよう。

あるいは、アパート、賃貸マンションなどの収益不動産を相続時精算課税制度で早めに子や孫へ贈与するのもいいだろう。不動産は相続税評価額での評価となるため現金で贈与するより有利で、贈与後、収益不動産の賃料収入は贈与を受けた子や孫の所得となって、親の相続財産が増える事を防げる。ただしこれは、場所選びなどがかなり重要になりそうだ。今後は交通・商業の利便性は当然として、近所の医療・介護施設の利用可能性を含めた質量が、特に重視されそうだ。

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AOIAフェローのDataと小勝負からでした。今回は、以上になります。

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