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「外貨建て保険」は本当に安くてお得か?

  • 投稿日:2014年11月29日

今回は、皆さんも気になっている『「外貨建て保険」は本当に安くてお得か?』について、ご一緒に考えてみましょう。

低金利と円安を背景に、外貨建て保険に関する問い合わせが増えています。確かに一見お得な様にも見え、私自身が数年前にある知人から相談を受けた事がありますが、その時の結論は、「ややリスクが高いので、他とも冷静に比べた方が良い」でした。実は今回のブログは、かなりそれに近い内容です。少額投資非課税制度(NISA)を使って投資しようと金融機関で相談した際、資産形成手段の一つとしてNISAとは別に外貨建ての終身保険や養老保険を紹介される時も、あるようです。確かにメリットもある外貨建て保険ですが、私は3つのポイントを押さえた上で検討するよう、勧めます。

 外貨建て保険の魅力は、円建てのものより安い保険料で死亡保障を得られることです。商品や加入者の年齢にもよりますが、円建てだと一生涯の死亡保障1000万円のために700万~800万円もの保険料を払い込む事が多く、要は死亡保障の7~8割もの保険料を払う必要があり、これからインフレが定着すれば、余裕でインフレに負けそうです。

 その一方で外貨建てなら、10万ドルの保障を、半分強の5万ドル強の保険料で確保できます。将来の保険金や満期金の支払いに備えた積み立て部分に適用する利率(積み立て利率、予定利率)を、円建てより高く見込んでいるからです。米国の方が日本よりは高金利で株価も堅調なことから見ても、それほど違和感がない「おいしい話」にも、見えます。

資産を円以外にも分散する一環で、死亡保険金を外貨で受け取りたい人にはこうした保険への加入が選択肢の一つになるでしょう。ただ保険会社がよくパンフレットで宣伝しているような「長期的な貯蓄機能」については、気を付けたい点があります。以下は、主な理由です。

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注意点その1 積み立て利率は本当の利回りではない!

 先ほども触れたように、外貨建て保険は積み立て部分に適用する利率が高めです。ところがこの積み立て利率というのは、加入者が受け取れる「本当の利回り」ではありません。例えば「積み立て利率は年3%を最低保証」と説明されても、それは「3%の利回りが保証されている」というわけではないのです。

35歳の男性が毎月184.4ドルずつ払い込む外貨建て保険商品の例で考えてみましょう。保険料と同額のお金を3%複利で運用していけば、本来は25年後に8万2450ドルになる計算ですが、この商品では5万7333ドルと、0.3%複利で運用した程度の金額です。なぜこんなに積み立て利率と差が生じるのかは、途中で解約した際の返戻率の低さをみると分かります。

 

加入年数 保険料の累計額 解約返戻金 (積立利率3%) 返戻率
3年 6639ドル 3832ドル 57.7%
10年 2万2128ドル 1万8859ドル 85.2%
20年 4万4256ドル 4万2876ドル 96.9%
25年 5万5320ドル 5万7333ドル 103.6%
30年 5万5320ドル 6万3381ドル 114.6%

(注)35歳の男性が毎月184.4ドルを60歳まで25年間

例えば加入から3年後に解約した場合の返戻金の割合は、払い込んだ保険料総額を、何と4割強も下回ります。つまり積み立て利率はあくまで保険会社が積立金に対して適用する利率であって、加入者がお金を受け取るまでには様々なコストが差し引かれます。満期近くにならないと元本を上回る返戻率にならないということは、特に契約初期にかかる代理店手数料などのコストが高いとみることができ、あまり良くない意味で典型的な「保険商品」です。

このように積み立て利率の高さにつられて「高利回り」だと早合点すると、将来「こんなに長期間加入した割には……」「ほかの投資や貯蓄手段の方が良かったかも知れない」と、後悔することになりかねません。私ならまだ、円を米ドルに直接両替して「タンス預金」する方を選ぶかも知れません。円が急落すれば、勝手に儲かります。

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注意点その2 元本割れ期間の長さを軽視していないか?

 先ほどの例を見ると、解約返戻金が「元本割れ」する状態は20年たっても解消されない事が分かります。つまり積み立て利率の3%を上回るコストが引き続きかかっていると考えられます。実はこれは、「中途売却するとなかなか最初の投資額で証券会社には買い取ってもらえない外貨建て債券」よりも条件は過酷ですし、投資信託(投信)などで「3%を上回るコストが引き続きかかっている」ものは、かなりの高コストで、投資先としては出来れば避けるべき不利な条件です。

「そんなに長期にわたってコストがかさむ金融商品が資産形成に向くだろうか」と冷静な視点が欲しいところです。25年後の払い戻し率は103.6%。私には、長期の元本割れリスクに見合うリターン(利回り)とは思えません。

中途解約の可能性も考えると、解約返戻金の低さは見逃せないポイントです。さらに「死亡保障にお金を取られるぶん、貯蓄型保険は資産形成に不利なのではないか」と考えてみることも大切でしょう。

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注意点その3 そもそも、外貨でなければいけないのか?

外貨建て保険は満期金や解約返戻金も外貨で受け取ることになりますが、それを円に換金する際の為替リスクもあります。もちろん円安で得する可能性もあるでしょうが、長期の元本割れに加えて為替変動という不確実性を負うことが、老後資金づくりに向くのかは疑問です。

こうしたデメリットもあるなかで、外貨建て保険が関心を集める背景には「円建てではお金が殖えないから」「株式や投資信託で損するのは嫌だ」という思いがあるようです。それで比較的安心なイメージがある保険に「外貨建て」「利率3%」という要素が加わった商品に反応するのではないでしょうか? しかし、少し調べれば分かる事ですが、過去5~10年間、年平均利回り5~10%くらいの比較的高成績な優良投信は、意外とあります。

 利回りの試算や確認が面倒な人は、保障や貯蓄、為替など複数の要素を組み合わせた商品は、不確実性を減らすという意味でも、あらかじめ避ける方が賢明です。また「この商品を選ぶメリットとデメリットを自分の言葉で説明できるだろうか?」と自問してみるのも、よい方法でしょう。仕組みが複雑で分かりにくい金融商品は、それだけ売り手がもうかる高コストなものが一般的だと考えれば、それほど妙な結果にはならないはずです。これは、投資信託(投信)などの他の金融商品にも言える事です。

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今回は、以上になります。AOIAフェローのDataと小勝負からでした。

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