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「原油安でリスクオフ」の本当の理由と原油価格のある重要な経験則とは

  • 投稿日:2015年2月9日

本ブログは、今週公開のAOIA会員向けニュースレター「週刊先読みダイジェスト第69号」の一部を再編集したものです。今回の目玉記事は、原油がテーマです。

以下は、情報誌「選択」2015年02月号 60・61ページ掲載記事です。

 各国株から外国為替まで各種市場が乱高下(ボラティリティ拡大)で始まった2015年。市場関係者の間では「年間を通じてこの傾向は増す」との見方が大勢だ。中でも原油価格の急落は大きな懸念材料で、先物取引関連の損失に加えて、意外なところにも落とし穴が潜む。投機筋は「第二のリーマン・ショック」のシナリオに戦々恐々だ。

 「恐らく我々の同業全体の70%は米国経済と株式市場に対して、楽観派だろう。しかし残りはそう遠くないうちにリーマン・ショック2が発生すると信じている」。のっけから容易ならぬことを言うのは、ある中堅ヘッジファンドの運用担当者だ。悲観論の最大の根拠は、原油価格の崩壊である。1月下旬には国際指標WTI(ウェスト・テキサス・インターミディエイト)、北海ブレントともに40ドル台。最近のゴールドマン・サックスのリポートは、「一時的ながらバレル30ドル台後半まで」下がると予想した。この見方は市場で急速にコンセンサスになりつつある。

2014年6月時点では、原油価格はバレル110ル台で、高止まりの様相だった。6月末の先物の建て玉は166万枚(16億6000バレル相当)。それがわずか半年余りで半額以下だから、先物取引関連の損失は莫大である。

 昨年末までに決済されたのは19万枚で、残りは147万枚。金額にしてざっと700億~800億ドルの損失が「含み」になっている。この建て玉の保有者は、もっぱらヘッジファンドや銀行だ。リーマン・ショック前の逆張りで荒稼ぎしたポールソン・ファンド(資産190億ドル)は、昨年36%の損失を出した。日本株へのデリバティブ投資で有名なブレバン・ハワードも、昨年マイナス0.8%と、2003年のスタート以来、初めてマイナスを記録した。年末の3カ月だけで、資産360億ドルのうち90億ドルが消えた。個人財産を運用するジョージ・ソロス氏がどのくらい損失を出したのかも注目されている。

 J・P・モルガンは昨年、原油価格崩壊の初期の時点で、「バレル65ドルが向こう3年間続けば」という条件付きで、エネルギー関連ジャンク債市場で、最大40%のデフォルトが起きると予測した。12月上旬には、米ニュースサイト「ビジネスインサイダー」が、「原油価格下落が第二のサブプライム危機のきっかけになる」と警鐘を鳴らした。

 サウジアラビアのアルワリード・ビンタラール王子が今年1月中旬に、「原油先物が100ドル台に上昇することは、今後二度とない」と発言すると、その日だけで原油価格は4%下がった。前述のヘッジファンドの運用担当者は「2008年の金融危機も、きっかけは原油価格急落からだった」と言う。もっとも、原油安は、石油関連資材のコスト安につながるため、世界経済全体には「追い風」になる。金融機関の損失の影響を「一時的」とする見方が強いのもこのためだ。

 ヘッジファンドに影響力が強いジム・オニール元ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント会長は1月上旬、オピニオン・サイト「プロジェクト・シンジケート」で、「歴史的に比較すると、5年先の先物価格は、スポット価格よりも投機の影響を受けにくく、市場の本当のニーズをより正確に反映する」とした上で、「(現時点での)5年先物価格は80ドル」とし、「今年末には現在の価格より上がっているだろう」と述べた。

すでにウォール街では、エネルギー関連株や債券を買い戻す動きもある。ジャンク債市場でも押し目は買われる「逆張り」姿勢がやや優勢である。 中略

しかも、中・長期的には、原油安が続きそうな構図がある。

第一が需給調整の難しさだ。石油輸出国機構(OPEC)と非加盟国の対立がある上に、OPECの内部対立も深刻だ。

第二には米国がシェールオイルのコンデンセート(未精製石油)輸出解禁に動いていることだ。

サウジは「バレル50ドルの安値が続けば、高いコストの米国は増産を控えるだろう」と見て、低価格で米国を抑止しようとしているが、増産ラッシュにわく米国は、サウジの恫喝など歯牙にもかけないだろう。しかも米国産石油が、貿易収支と財政収支の「双子の赤字」を急ピッチで改善しているとあっては、オバマ政権が「今さらシェール革命を止められるか」と思うのは当然だ。

「スイス・ショック」とはケタ違い

すでに原油価格の崩壊は、金融市場の先行き不安感を高め、ボラティリティが大きい取引でのやけどもかなり深刻になっている。

【コメント】

 これこそが、「原油高ならリスクオンで価格変動リスクが高い株式・REIT・新興国通貨などの買いにつながり」、「原油安なら逆にリスクオフで価格変動リスクが高い株式・ジャンク債・新興国通貨などの売りにつながり、安全資産とされる米ドル・日本円・金・(スイスフラン)の購入につながる」理由です。最近はやっと原油価格の底値が見え始めた様ですが、過去数十年間の原油価格の歴史を振り返ってみると、そう楽観できない状況です。実は原油価格は、「ちょっとした需給バランスの変化」以外にも、「産油国同士が寡占(独占)関係かそれとも競合関係か」で、価格が上下に激しく飛ぶ経験則があるのです。その結果、以下の様な慎重派の見方も注目されます。

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意外と知られていない原油価格の重要な経験則とは?

北米のシェール革命や中国経済の減速などにより原油価格は昨年来、1バレル当たり約50ドルと半値に急落。だが50ドルは底値などではなく、歴史的に見れば今後の価格動向を決定づける境界線でもあるという。

 1970年代以降、原油価格が最低でも2倍に高騰した後、世界経済は例外なく景気後退に陥って来た。逆に、原油価格が半分に下落し、6カ月以上その低価格が続くと、世界経済の成長は常に大幅に加速した。原油価格は昨年来、100ドルから50ドルに下落し、今まさにその極めて重要な水準近辺で推移している。原油市場は常に、「独占」と「競争」の狭間で揺れ動いてきた。過去の歴史を見てほしい。OPECが初めて存在感を発揮した1974年以降のインフレ調整後の原油価格の推移をずっと見てみれば、明確な2つの価格レンジに分かれる事がはっきりと分かる。

 74-85年、米国の指標原油価格は今日の価格で50-120ドルの間で推移した。だが、86-2004年は同20~50ドルの間で取引された(1990年のイラクによるクウェート侵攻直後と、98年のロシアのルーブル切り下げ直後の短い期間は除く)。そして、2005~14年には1974-85年と同様、再びほぼ50-120ドルで取引されるようになった(2008-09年の金融危機の極めて短い期間、急騰した点は例外だ)。

 これら2つの価格帯の違いは、1985年にOPECによる独占的な価格支配力が崩壊したことで説明できそうだ。この年、北海とアラスカの油田開発が本格化し、原油価格は競争的な環境の中で定まる方向にシフトした。だが、この競争が働く環境は2005年に終焉を迎えた。中国の需要が急増し、一時的に世界的な原油不足が生じ、OPECによる「価格統制」が復活したからだ。

この価格の歴史は、50ドルが独占価格と競争価格を分ける境界線であることを示唆している。そして競争的な環境と独占的な環境での価格決定のメカニズムは、今後、50ドルが底ではなく天井になることを意味している。競争が厳しい市場にあっては、価格は限界コストに等しくなる。簡単に言うと、原油価格は、「効率的な供給者が世界の需要を完全に満たすのに必要なだけの原油を生産する費用を回収できる水準」ということになる。

昨年夏まで、原油は独占的な価格決定環境の下で生産されていた。サウジが「生産調整者」となって、供給が需要を上回れば即、供給を放り込んだからだ。だがこのやり方は、ほかの生産者、特に米国とカナダの生産者に供給を急増させる強いインセンティブを与えた。生産コストがはるかに高いにもかかわらず、北米のシェールオイルやシェールガスの生産者は、サウジによる価格保証のおかげで莫大な利益を手にすることができた。だが、サウジは、自国の生産量を減らすという犠牲を払うことによってのみ価格を維持できた。そしてその間際を縫って米国の生産者は増産に走った。そのためサウジのリーダーたちは昨秋には当然、これは間違った戦略だ、との判断を下したわけだ。

だが、OPECが原油市場でのシェアを回復するか少なくとも維持するには、価格を押し下げて、米国の生産者に生産量を大幅に削減させ、世界の需給の均衡を図るしか方法がない。

簡単に言えば、サウジは「生産調整者」としての役割を放棄し、米国のシェール生産者にその役割を押し付ける必要があるということだ。

ちなみに、大方のシェールオイルの生産コストは50ドル近辺で、従来型油田の限界的な生産コストの損益分岐水準は20ドル近辺である。

従って、新たな時代における競争的な原油の取引レンジは、20~50ドルになるということだ。

これだけでも今後の原油価格の予想は容易ではありませんが、最近はこの小さなマーケットでも、コンピューターを駆使した超高速取引(HFT)が主役となり、必要以上に一方的な価格の上昇と下落を促しがちです。既に何度も書いて来ましたが、原油価格の上下は、それと連動性が高いコモディティー(資源)、ロシアルーブルやカナダドルなどの資源エネルギー大国の通貨も上下させ、更には鉱山の権益内容や原油備蓄量などを反映して、石油・化学会社や、日本の大手商社の経営状況や株価にも、影響を及ぼしています。実は先週の日本の株価が期待されたほどには伸びなかった一因は、こういった「原油安のマイナスの影響」が、先に集中的に表れたためでもあります。

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以下は、今週公開の「週刊先読みダイジェスト第69号」主な内容です。

第1章:知られざる原油の現実 増え続ける埋蔵量と不安定な価格変動と今後の展望

第2章:予想外に好調な米雇用に内在する課題とマーケットへの影響

第3章:先週のマーケット状況と今週以降の見通し 材料不足で日本株は当面一進一退か?

 

「週刊先読みダイジェスト第69号」を教材に使っている授業の無料ガイダンスは、こちらです。

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日時:2015年02月21日(土) 17:00~18:30

場所:東京都港区虎ノ門

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AOIAフェローのDataと小勝負からでした。今回は、以上になります。

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【※】当ブログ記事は、AOIA株式会社のスタッフが個人的予測に基づき作成した資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。当資料は、飽く迄もAOIA株式会社のスタッフが個人的予測に基づき作成した資料であり、その正確性・完全性を保証するものではありません。当資料中に記載している内容、数値、図表、意見等は資料作成時点のものであり、今後予告なく変更することがあります。当資料中のいかなる内容も将来の投資収益を示唆ないし保証するものではありません。当資料をもとにお客様が金融商品取引行為を行われた場合、金利、通貨の価値、金融商品市場における相場その他の指標に係る変動を直接の原因として生じる利益あるいは損失は、すべてお客様に帰属します。

 

 


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